【新腹部救急】症例17

【症例】60歳代男性
【主訴】水様性下痢、腹痛
【現病歴】2日前から水様性下痢、下腹部痛あり。今朝まで持続した。今朝からは痛みは少しましだが、動くと下す。非常にお腹が張っている。
【既往歴】腸捻転で内視鏡的整復をした(5年前)
【データ】WBC 5200、CRP 0.20

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正中から左腹部に著明な腸管の拡張を認めています。

直腸から口側に腸管を追うとS状結腸の拡張を認めており、鳥のくちばしのようなbeak signを認めていることがわかります。

また同部で下行結腸に繋がる腸管(S状結腸)を横切っていることがわかります。

冠状断像で見ると、渦巻状のWhirl signを認めています。

腸間膜および腸管が渦巻のように捻れている様子が分かります。

冠状断像を前後にスクロールしてS状結腸の様子をシェーマにすると上のようになります。

S状結腸軸捻転を疑う所見です。

冠状断像を見るとよく分かりますが、下行結腸の固定不良があり、これも軸捻転の起こりやすさに寄与しているようです。

 

診断:S状結腸軸捻転

 

※内視鏡的整復が行われました。
※S状結腸軸捻転症例では腹部レントゲンにおけるcoffee bean signが有名で重要ですが、今回レントゲンは撮影されていませんでした。

関連:S状結腸軸捻転とは?原因、症状、CT、治療まとめ!

その他所見:

  • 膵のう胞疑い。
  • 左大腿骨頚部術後。
【新腹部救急】症例17の動画解説

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