【新腹部救急】症例1
【症例】 70歳代女性
【主訴】 右下腹部痛
【現病歴】本日に右下腹部痛があり、当院外科受診。
【既往歴】 大腸ポリープ・大腸憩室
【身体所見】 右下腹部に限局性の圧痛あり
【データ】白血球 12900、CRP6.10
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虫垂は腫大し、壁の肥厚及び造影効果増強を認めています。
虫垂の周囲には脂肪織濃度上昇を認めています。
また、虫垂根部に高吸収な糞石を認めていることもわかります。
また筋膜の肥厚を認めていることがわかります。
次に冠状断像を見てみましょう。
冠状断像においても同様の所見を認めており、虫垂の先端が盲端となっていることを確認することが重要です。
診断:急性虫垂炎(根部に糞石あり、穿孔や膿瘍形成なし)
その他所見:
- 肝嚢胞あり。石灰化あり。
- 腎嚢胞あり。
【新腹部救急】症例1の動画解説
急性虫垂炎の画像診断のポイント
お疲れ様でした。
今日は以上です。
今回の気づきや感想などを下のコメント欄にお願いします。
ある程度大きいので粘液種も疑うのかなと思いましたが、単純に虫垂炎なんですね。どの辺からがんを疑うのかむずかしいです。ありがとうございました。
アウトプットありがとうございます。
もちろん常に粘液腫も考えなければならないですが、症状があって、炎症所見があってとなると、まずは虫垂炎ですね。
もちろん目立つ場合は注意が必要ですが。
虫垂炎や憩室炎の場合、膜の肥厚を認めることがありますが、筋膜と腹膜の見分け方はありますでしょうか?
補足:どこからどこまでが筋膜か?腹膜か?ということを知りたいと思い質問致しました。よろしくお願いします。
アウトプットありがとうございます。
境界などはわからないですね。連続したりもしますので。
今日もありがとうございます。
動画での病理との対比でいうと今回の症例は蜂窩織炎性虫垂炎でしょうか?
アウトプットありがとうございます。
>病理との対比でいうと今回の症例は蜂窩織炎性虫垂炎でしょうか?
おっしゃるとおりです。病理も今一応確認しましたが、Plegmonousな急性虫垂炎の所見で悪性所見は認めません。と記載がありました。
記念すべき腹部一例目はやはり虫垂炎ですね!
腹部救急画像の基本でありながら,奥が深いなあと思います.
脂肪の少ない子供などでは同定に苦慮することも多いので,子供編の解説もあれば嬉しいかもしれません.
アウトプットありがとうございます。
>やはり虫垂炎ですね!
そうですね。これまでの出題パターンからも(^_^;)
>脂肪の少ない子供などでは同定に苦慮することも多いので,子供編の解説もあれば嬉しいかもしれません
当院では小児例が少ないので、脂肪が少ない人をまた探してみたいと思います。
虫垂よめて良かったです(;´д`)
気になったのですが、右腎結石と水腎症ではないでしょうか?間違ってたら恥ずかしいのですが…
アウトプットありがとうございます。
右腎結石はないようです。
確かに少し腎盂が開いているように見えますが、腎杯は開いていないですね。
水腎症というにはちょっと物足りない感じです。
いつも勉強になっています。ありがとうございます。
質問なのですが右尿管結石かと思ったのですが違いますでしょうか?尿管開口部が分かりにくく連続性は確認できなかったのですが、右腎は左腎に比べ腫大し腎盂の拡張もあると思ったので質問致しました。
アウトプットありがとうございます。
今回の虫垂炎の炎症が右尿管の一部に及んでいる可能性はあると思います。
ただし、右尿管結石そのものは同定できません。
また、確かに横断像では右腎は左腎に比べると大きく見えますが、冠状断像ではそうでもありません。
大きな腎嚢胞がありますので、そのせいで大きくも見えてしまっているような気がします。
仮に右尿管結石があり、尿路の閉塞〜狭窄を来しているならば、
・右腎腫大 ←今回はこれはないと考えます。
・右腎周囲脂肪織濃度上昇
・右腎の造影遅延(左腎に比べて造影効果が悪くなる)
といったことが起こることがありますが、今回これらの所見は認めていません。
少し右の腎盂は拡張して見えますが、腎外腎盂か、もしかしたら虫垂炎の炎症が右尿管に及んでいることが原因なのかもしれません(多分違うと思いますが)。
参考
https://xn--o1qq22cjlllou16giuj.jp/archives/5542
新講座開設ありがとうございます。またよろしくお願いします。
前回の腹部の講座は何度も復習したので、今回の講座で活かせるよう頑張ります。
アウトプットありがとうございます。
毎度です!是非今講座でもよろしくお願いします。
kenkenさんの質問とやや重複しますが、外側円錐筋膜の肥厚があれば、腹膜炎ということになりますか?
この間、腹膜炎疑いにするかどうか迷いました。
アウトプットありがとうございます。
限局的な腹膜炎の可能性がある、とまでは画像からは記載することができますが、腹膜炎の診断は最終的には臨床症状、身体所見によってなされます。
ブートキャンプで鍛えていただいた後なので、見逃しようがないと思いました。成長させていただき、ありがとうございます。一つ質問なのですが、カタル性虫垂炎の段階で、まだ周囲脂肪織濃度の上昇がないとき、どのような所見をもって「有意な中垂腫大」と捉えると良いでしょうか?「7-8mm以上で含気がないとき」以外に、参考になる所見はございますか?右下腹部痛が主訴で、ちょうど8mmくらいの虫垂でそれ以外に所見がないと、虫垂炎と考えるべき??といつも悩んでしまいます。
アウトプットありがとうございます。
それは私も悩むところで、あとは臨床症状と併せてということになります。
右下腹部痛があるならば含気がなく7-8mmあれば有意と考えられます。
症状の記載がなく非救急でスクリーニングでたまにそのような症例もありますがその場合は、r/o 急性虫垂炎、腹痛症状いかがでしょうか?なんて記載することもあります。
新講座開設ありがとうございます。またよろしくお願いします。
横断像の47-51スライスあたりの盲腸について一部粘膜下層の肥厚があるように見えましたが、いかがでしょうか。そうであればこちらも今回の虫垂炎と関連した所見ということでよろしいでしょうか。
アウトプットありがとうございます。
おっしゃるとおり全周性ではなく半周性弱ですが盲腸の粘膜下層の肥厚を認めています。
虫垂炎の炎症が波及した反応性の肥厚と考えられます。より波及が強くなると全周性に肥厚します。
回腸の入り込んでいる場所に確信は持てなかったですが、腫大している腸管が盲端となっていることやその地腸管が推定する回腸流入部より尾側であることを確認し診断に至ることができました。
なかなか確信までは至りませんでしたが復習して少しずつ自信を持てるようにしたいです…。
アウトプットありがとうございます。
>腫大している腸管が盲端となっていることやその地腸管が推定する回腸流入部より尾側であることを確認し診断に至ることができました。
本当に虫垂なのかの確認作業は重要ですね。
虫垂炎が疑わしいと診断できれば、あとは穿孔の有無や膿瘍形成のチェックですね。
横断像42〜43/82で虫垂右側に接して小さな低吸収域が見えますが、これはairではなく脂肪を見ているのでしょうか?
アウトプットありがとうございます。
脂肪とガスを分離できる画像を追加しました。
おっしゃるように脂肪で、穿孔しているわけではありません。
画像を追加してくださり、ありがとうございます。ウインドウが違うだけでとても見やすくなりますね。これなら脂肪だと自信を持って言えます。
初回に見た通常のウインドウ条件の画像ではairかなと思い、穿孔疑いとしてしまいました・・・。
逆にこちらの画像がないと少しきついですね。
ガスと脂肪の鑑別は重要ですね。
上行結腸憩室炎かと思っちゃいました・・・。
成長してないな・・・。
アウトプットありがとうございます。
憩室にしては長いですね。
特に冠状断像で細長い管腔構造であることを確認しましょう。
特典2から取り組んだので、解説を聞いたあとでしたので「これは蜂窩織炎性の虫垂炎ダ!」とまで言うことができました。横断像から3D構成する能力がないので、冠状断を見たときに「え、上にあがっていってる!」とびっくりしました。
アウトプットありがとうございます。
>「これは蜂窩織炎性の虫垂炎ダ!」とまで言うことができました。
そこまで言及できたら完璧ですね。
>横断像から3D構成する能力がないので、冠状断を見たときに「え、上にあがっていってる!」とびっくりしました。
先端が上を向いていることはしばしばありますよ。
肝の石灰化が気になりました。この様な線状の石灰化は、脈管の石灰化を示唆しているのでしょうか?走行方向からは脈管の石灰化には見えませんが。