【症例】70歳代 女性
多発性骨髄腫と診断されている。
画像はこちら
異常所見は？
頭蓋内出血や占拠性病変を疑う所見を認めていません。
次に骨条件を見てみましょう。
大小不同の多数の溶骨性病変を認めています。
その様子はスカウト画像でも確認できます。
多発性骨髄腫があり、これらは、いわゆるpunched-out lesionsの所見です。
診断：多発性骨髄腫による骨病変（punched-out lesions）
胸腹部CTもありましたので、そちらも見てみましょう。
Th8に溶骨性変化および周囲に膨隆する腫瘍を認めています。
こちらも多発性骨髄腫による病変が疑われます。
関連：多発性骨髄腫とは？画像所見の特徴・punched out lesionとは？
今日は以上です。
今回の気づきや感想などを下のコメント欄にお願いします。
多発性骨髄腫と聞いて、ちょっとバイアスがかかった目で溶骨性病変をみてしまいました。前情報を無くしてくも膜嚢胞と言われても信じてしまいそうです（笑）
左の乳突蜂巣の含気が右よりも悪そうに見えたのですが、正常範囲内なのでしょうか。
アウトプットありがとうございます。
＞ちょっとバイアスがかかった目で溶骨性病変をみてしまいました。
多発性骨髄腫の場合はそれでよいと考えます。
＞左の乳突蜂巣の含気が右よりも悪そうに見えたのですが、正常範囲内なのでしょうか。
水浸しではありませんが、少し乳突蜂巣炎がありそうですね。
ご指摘いただきありがとうございます。
多発性骨髄腫(MM)、ポリクリの時以来の登場でした。ポリクリで、MMの臨床症状はCRABって覚えるんだよと血液内科の女医さんに教えていただいたことを思い出しました。
正解に至るのは今回病名が記載されていたので難しくなかったですが、実際にくも膜顆粒と判別できるかが少し心配になりました…。サイズと部位、MRI画像などを統合して判断すればよいのでしょうか…。
PS.明日から2月！3日坊主になりかけていた筋トレを再開しながら復習もしたいと思います。(運動していないときも、ちっとも食べる量は減りません(笑))
アウトプットありがとうございます。
＞ポリクリで、MMの臨床症状はCRABって覚えるんだよと血液内科の女医さんに教えていただいたことを思い出しました。
調べてみました。
CRABと称される臓器障害 (高カルシウム血症 / 腎不全 / 貧血 /骨病変) なのですね。
https://hokuto.app/post/xq9KqeH9HqnsYvQKC3a5
＞実際にくも膜顆粒と判別できるかが少し心配になりました…。サイズと部位、MRI画像などを統合して判断すればよいのでしょうか…。
くも膜顆粒と鑑別ができないこともあると思いますが、くも膜顆粒の好発部位でないところやたくさんあるところなどから判断します。
＞筋トレを再開
私も週に2回程度なんちゃって筋トレをしています。
腹部CTで胃内に高吸収なものがあり(141/332)、腹部TIPSの症例10で学んだホスレノールに似ているなと思ったのですが、多発性骨髄腫の本症例ではこの高吸収は何によるものでしょうか？
アウトプットありがとうございます。
＞腹部TIPSの症例10で学んだホスレノールに似ているなと思ったのです
ホスレノールの場合はもっとアーチファクトを引いた高吸収になります。
今回は症例29のものです。
> 今回は症例29のものです。
あ、そうなんですね。私はまだ症例23なので、もう少し先にそれが届くということですね。
（腹部TIPSは人によって進捗が違うことにいま気が付きました。ネタバレさせてしまい申し訳ありません。。。）
たしかに症例29と似ていますね。
腹部TIPSにつきましては、ある程度ならばネタバレしても大丈夫です。
人によっては復習にもなりますし。
お世話になっております。新卒1年目の放射線技師です。
今回は多発性骨髄腫について勉強させていただきました。
リンク先（https://遠隔画像診断.jp/archives/4982）の最後の症例（60歳代男性）の頭部CTですが、この1枚だけだと「くも膜顆粒だから正常」と読み飛ばしてしまいそうです。他の部位にも同様の打ち抜き像があれば多発性骨髄腫とも考えることができるかと思うのですが、これがもし一か所のみで単発性形質細胞腫であった場合、臨床症状と照らし合わせてこれが多発性骨髄腫かどうか鑑別するためには、ドクターにMRI撮像を勧めた方がよいのでしょうか？それとも他検査で鑑別ができるものなのでしょうか？
ご教授いただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
アウトプットありがとうございます。
＞リンク先（https://遠隔画像診断.jp/archives/4982）の最後の症例（60歳代男性）の頭部CTですが、この1枚だけだと「くも膜顆粒だから正常」と読み飛ばしてしまいそうです。
こちらはくも膜顆粒としては場所と形態がやや非典型的ですね。
ただし、おっしゃるように、本当に多発性骨髄腫なのかという疑問が持たれた症例で結局生検で診断しています。
典型的ではない溶骨性病変を認めた場合はMRI含め他の検査もして総合的に精査する必要があります。
ですので、MRI含めて他の検査も進めていただけたらと思います。
精査したところで生検しないとわからないこともしばしばありますが。
鑑別診断たくさんありますので(^_^;
コメントありがとうございます。
関連のリンク先拝見しました。
鑑別診断、こんなにあるのですね！
もっと知識をつけて、怪しい所見があれば主治医に相談してみたいと思います。
ありがとうございました。
お世話になっております。
今回は病歴があり分かりましたが、くも膜顆粒との鑑別が難しそうだと感じました。好発部位を知ることの大切さを感じたので、意識して違和感を感じれるように精進します。
また、本題と外れてしまい申し訳ないのですが、両側卵巣が膨隆、石灰化しているように見えたのですが(横断像163-169付近)、血管と重なっており何をみているのか分かりません。
指摘が必要なものでしょうか？
ご教示いただければ幸いです。
アウトプットありがとうございます。
＞両側卵巣が膨隆、石灰化しているように見えたのですが(横断像163-169付近)、血管と重なっており何をみているのか分かりません。
卵巣静脈が石灰化していると考えられます。
卵巣静脈が拡張したり(石灰化して)少し膨隆して見えることはしばしばあります。
腫瘤としては同定できず、有意ではありません。
今回は大ヒントがあり、ひさびさ正解でした(^^;
punched-out lesionなど、学生さんの方がより用語が出てきやすいかもしれませんね☆彡
アウトプットありがとうございます。
それほど激しいpunched-out lesionではなかったですが、ヒントになってよかったです。
確かに国家試験で問われるところですので、学生さんの方が用語に敏感なところかもしれません。
多発性骨髄腫であることから溶骨性変化を考えなければならないのだとは思いますが、特に板間層の信号低下の場合は溶骨性の変化なのか、びまん性骨硬化像により相対的に正常部の信号が低く見えてしまうのか悩ましく感じました。
（びまん性硬化像なのに、部分的に明らかな低信号という概念はないのかもしれませんが … ）
アウトプットありがとうございます。
＞びまん性骨硬化像により相対的に正常部の信号が低く見えてしまうのか悩ましく感じました。
これは前の症例に少し引っ張られているような気もしますが(^_^;)
punched-out lesionsは有名ですが、その目で見ないと見落としてしまいそうですね。
骨髄腫の、画像初めて見ました
ありがとうございます。
穴が空いている所は
くも膜顆粒かな？と思いスルーしました。
板間層が少しすりガラス影？のように見えました。
これが骨髄腫の所見かと思ってしまいました。
70代の方の板間層はこのように見えるのでしょうか…？
また、一つ勉強になりました、
ありがとうございます。
アウトプットありがとうございます。
溶骨性病変は単なる血管のこともありますし、くも膜顆粒のこともありますので、判断が難しいこともありますね。
サイズが大きなもので、くも膜顆粒ではないものは指摘するようにしましょう。
国試で勉強した時はもう少しわかりやすい写真でしたが、今回のような症例では事前情報がなければ一見見落としてしまいそうですね。
アウトプットありがとうございます。
私も同じことを思いました(^_^;)