頭部画像診断 TIPS症例45

【頭部】TIPS症例45

【症例】40歳代 男性
【主訴】しゃべりにくい。
【現病歴】5年前からしゃべりにくさを自覚。

スクリーニング

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CT

MRI

異常所見と診断は?

まずはCTから見てみましょう。

小脳半球および虫部に萎縮を認めています。

小脳の脳溝がこのように開大している際に小脳の萎縮を考えます。

萎縮はどちらかと言えば上部優位に認めています。

中小脳脚や脳幹はほぼ正常であり、小脳のみに萎縮が目立つことが分かります。

次にMRIを見てみましょう。

MRIでも同様で、小脳の萎縮が目立ちますが、中小脳脚や脳幹部はほぼ保たれているように見えます。

このような所見を見た際に考えなければならないのが、脊髄小脳変性症です。

脊髄小脳変性症はタイプが多いですが(個人的にも苦手な疾患ですが、)今回のように小脳のみに萎縮が目立つ場合は、SCA6,SCA31,CCAの可能性を考慮します。

 

診断:脊髄小脳変性症(純小脳型)疑い

 

※萎縮の局在をまず確かめ、小脳虫部上半から半球に限局していれば、頻度を考慮ししつつSCA6,31,CCAの可能性を考慮する。(よくわかる脳MRI P575)

関連:脊髄小脳変性症の分類・画像所見のポイント!

【頭部】TIPS症例45の動画解説

 

お疲れ様でした。

今日は以上です。

今回の気づきや感想などを下のコメント欄にお願いします。

過去のコメント
  1. CTのaxialでは気付かずsagittalで気付きました。sagittalは頭のCTでは一番価値のある順位が低いと思っていますのでaxialでピント来るようになりたいものです。小脳が落ち込んでいる場合も同じですね。最近のpacsではviewerないでmprが確認できるものもあるので(synapse 5など、回し者ではないです)しっかり確認したいです。ありがとうございました。

    1. アウトプットありがとうございます。

      >sagittalは頭のCTでは一番価値のある順位が低いと思っていますのでaxialでピント来るようになりたいものです。

      変性症の分野では矢状断像は大活躍ですが、普段は下垂体を見るときなどは重宝しますね。
      横断像でも脳溝の線が見えるのは萎縮を示唆する所見ですので意識するようにしましょう。

      >最近のpacsではviewerないでmprが確認できるものもあるので(synapse 5など、回し者ではないです)

      うちも確認できると思いますが、viewerを立ち上げるタイムロスがありますね(^_^;)
      忙しいときは技師さんに電話して作ってくださいとお願いします。

  2. 脊髄小脳変性症は種類がたくさんあるのでいつも覚えようとしても難しいですね
    画像からも萎縮の範囲である程度絞れるんですね

    1. アウトプットありがとうございます。

      >脊髄小脳変性症は種類がたくさんあるのでいつも覚えようとしても難しいですね

      私の苦手範囲の一つでもあります。

      >画像からも萎縮の範囲である程度絞れるんですね

      そうですね。どこに萎縮があるかで頻度からある程度絞ることができます。