先に結論:橋本病(慢性甲状腺炎)

  • 橋本病は甲状腺に対する自己免疫による慢性甲状腺炎で、中年女性に多く、甲状腺機能低下症の最も多い原因です。多くは甲状腺機能が正常のまま経過します
  • 血液検査で抗TPO抗体・抗サイログロブリン抗体が陽性になり、エコーではびまん性腫大・内部エコーの低下と不均一が見られます
  • 単純CTで甲状腺の吸収値が全体に低下するのが特徴で(正常はヨードを含むため高吸収)、CTで偶然見つかることもあります。まれに甲状腺悪性リンパ腫を合併します

橋本病(慢性甲状腺炎)とは?

  • 甲状腺ホルモンの合成・分泌障害をきたす自己免疫性疾患の1つ。
  • 70−80%は甲状腺機能は正常であるが、一部は経過中に低下する。甲状腺機能低下症の原因として最も多い。
  • 頻度5-17%、加齢により増加し40-50歳にピークあり。圧倒的に女性に多い。
  • 不定愁訴、前頸部違和感を主訴とする。
  • 血液検査にて、fT3↓、fT4↓、TSH↑、TgAb・TPOAb+。ただし、甲状腺機能正常の期間もあり、むしろその方が長い。
    ※橋本病もBasedow病と同じく抗甲状腺抗体(抗マイクロゾーム抗体(95%以上で陽性)、抗サイログロブリン抗体(60-70%で陽性))を有する。
  • 視診および触診にて、甲状腺全体の硬い腫大、表面小葉構造の触知→萎縮。
  • 悪性リンパ腫(特にMALTリンパ腫)を合併することがある。
  • また、バセドウ病と橋本病は相互移行や合併がしばしばみられる。
  • 慢性甲状腺炎:甲状腺腫あり→橋本病、甲状腺腫なし→萎縮性甲状腺炎
  • 橋本脳症:甲状腺機能正常・異常に拘わらず意識混濁・幻覚・片麻痺・失語→抗N末端αenolase(NAE)抗体が約半数で陽性(特異性が高い)、ステロイド有効

治療

分類 半減期 効果発現に 用途
チラーヂンS T4 7日 3~5日 補充療法の主役
チロナミン T3 1日 1~3日 急速な補充が必要なとき
  • 鉄剤、制酸剤(Al)との併用は避ける。
  • Schmidt症候群=橋本病+アジソン病や汎下垂体機能低下症では副腎ホルモン→甲状腺ホルモンで補充する

橋本病の画像診断

  • US所見:びまん性腫大。峡部も腫大。辺縁結節状変化。エコーレベル低下。内部エコー不均一か。TSH高値ならば血流増加する。リンパ節腫大。
  • 単純CTで甲状腺はびまん性に腫大し、甲状腺の吸収値が一様に低下するのが特徴。デュアルエナジーCTでも橋本病では甲状腺のヨード濃度・総ヨード量が低いことが示されています。一方、甲状腺原発悪性リンパ腫は橋本病よりさらに低吸収を示すことが多く(単純CTの平均吸収値53.5HUを境に感度90.6%・特異度88.9%で鑑別)、著明な低吸収の腫大を見たらリンパ腫の合併を考えます。

関連)甲状腺のCT画像診断のポイントは?正常値は?

症例 40歳代女性 橋本病(腫大は目立たない)

hashimoto

甲状腺両葉は正常よりも低吸収化(黒い)しています。

甲状腺の腫大は目立ちませんが、甲状腺機能低下に矛盾しない所見です。

症例 80歳代女性 橋本病

甲状腺両葉は正常よりも低吸収化(黒い)しています。

甲状腺の腫大をやや認めており、甲状腺機能低下に矛盾しない所見です。

この症例を動画で確認してみましょう。

参考文献

  1. Caturegli P, De Remigis A, Rose NR. Hashimoto thyroiditis: clinical and diagnostic criteria. Autoimmun Rev. 2014;13(4-5):391-7. PubMed
  2. Geng D, Zhou Y, Su GY, et al. Influence of sex, age and thyroid function indices on dual-energy computed tomography-derived quantitative parameters of thyroid in patients with or without Hashimoto’s thyroiditis. BMC Med Imaging. 2023;23(1):25. PubMed
  3. Luo J, Huang F, Zhou P, et al. Is ultrasound combined with computed tomography useful for distinguishing between primary thyroid lymphoma and Hashimoto’s thyroiditis? Endokrynol Pol. 2019;70(6):463-468. PubMed
  4. Yoneda M. [Hashimoto’s Encephalopathy and Autoantibodies]. Brain Nerve. 2018;70(4):305-314. PubMed

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