先に結論:副鼻腔炎の合併症
- 副鼻腔炎の重い合併症は眼窩内合併症(眼窩蜂窩織炎・骨膜下膿瘍・眼窩内膿瘍)と頭蓋内合併症(硬膜外膿瘍・硬膜下膿瘍・脳膿瘍・海綿静脈洞血栓症)です
- まぶたの腫れに加えて、眼球突出・眼球運動障害・視力低下があれば眼窩内に及んでいる(Chandler分類II以上)可能性があり、すぐ造影CT・MRIで確認します
- 骨膜下膿瘍・眼窩内膿瘍や頭蓋内合併症は手術(排膿)が必要になることが多く、早期の診断が大切です
症例 年齢不詳 篩骨洞炎に続発した眼窩骨膜下膿瘍

引用:Radiopaedia(Subperiosteal orbital abscess)
左眼窩の内側壁(紙様板)に沿って、辺縁が造影される凸レンズ状の低吸収域があり、骨膜下膿瘍です。隣接する左篩骨洞は混濁しており、篩骨洞炎からの波及と考えられます。膿瘍により左内直筋が外側へ圧排されています。
副鼻腔炎の合併症
- ポリープ、貯留/粘液嚢胞、骨髄炎。眼窩への感染は篩骨洞から紙様板を介して、頭蓋内への感染は前頭洞炎から骨の欠損部や骨髄炎を介して広がることが多いです。眼窩内・頭蓋内合併症を疑ったら断面画像での評価が必須です。
頭蓋内合併症
- 硬膜外膿瘍、硬膜下蓄膿
- 骨髄炎
- 海綿静脈洞血栓
- 脳膿瘍
眼窩内合併症
- 蜂窩織炎
- 骨膜下膿瘍:骨膜に沿った凸レンズ状の軟部構造、小児~青年期に多い、外科的治療の適応
- 眼窩内膿瘍
- 視神経炎
眼窩内蜂窩織炎 Chandlerの分類
- Ⅰ (眼窩中隔前蜂窩織炎)
- Ⅱ(紙様板の骨膜炎、眼窩内蜂窩織炎)
- Ⅲ(眼窩骨膜下膿瘍)
- Ⅳ(眼窩、円錐内膿瘍)
- V(海綿静脈洞血栓) ごくまれ
眼窩蜂窩織炎の画像所見(Chandler分類との対応)
| Ⅰ 隔膜前蜂窩織炎 | まぶたの軟部組織の腫れ。眼窩内の脂肪は保たれる |
| Ⅱ 眼窩蜂窩織炎 | 眼窩内の脂肪の濃度上昇、外眼筋の腫大 |
| Ⅲ 骨膜下膿瘍 | 眼窩の壁に沿う凸レンズ状で辺縁が造影される液体 |
| Ⅳ 眼窩内膿瘍 | 眼窩内の、辺縁が造影される液体貯留 |
| Ⅴ 海綿静脈洞血栓 | 海綿静脈洞の造影欠損、上眼静脈の拡張 |
★疑った場合は造影CTまたは造影MRI(適宜脂肪抑制像)で断面画像評価を行う。眼窩の炎症の評価は造影CTが第一選択とされ、小さな内側の骨膜下膿瘍で視力が保たれていれば、まず抗菌薬による治療を試みることが多いです。
眼窩蜂窩織炎でよくある疑問(Q&A)
Q. Chandler分類(チャンドラー分類)とは何ですか?
A. 1970年にChandlerらが提唱した、急性副鼻腔炎からの眼窩合併症を炎症の広がりでⅠ〜Ⅴに分ける分類です(Chandler 1970)。
まぶたの腫れに加えて目の痛み・見えにくさ・目の動かしにくさがあれば、早めに医療機関を受診してください。
関連記事:急性副鼻腔炎のCT・MRI画像所見|液面形成(air-fluid level)と眼窩・頭蓋内合併症(Chandler分類)
参考文献
- Bedwell J, Bauman NM. Management of pediatric orbital cellulitis and abscess. Curr Opin Otolaryngol Head Neck Surg. 2011;19(6):467-473. PubMed
- Sansa-Perna A, Gras-Cabrerizo JR, Montserrat-Gili JR, et al. Our experience in the management of orbital complications in acute rhinosinusitis. Acta Otorrinolaringol Esp (Engl Ed). 2020;71(5):296-302. PubMed
- Chandler JR, Langenbrunner DJ, Stevens ER. The pathogenesis of orbital complications in acute sinusitis. Laryngoscope. 1970;80(9):1414-28. PubMed
- Dankbaar JW, van Bemmel AJ, Pameijer FA. Imaging findings of the orbital and intracranial complications of acute bacterial rhinosinusitis. Insights Imaging. 2015;6(5):509-18. PubMed
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