MRI造影剤が禁忌となる患者さんは?
MRI造影剤ガドリニウム(Gd)が禁忌となっている方はどのような方ですか?
以下に当てはまる方です。
- Gd造影剤に過敏症の既往歴のある患者
- 気管支喘息の患者
- 重篤な腎障害のある患者
- 重篤な肝障害のある患者
- 一般状態の極度に悪い患者
Gd造影剤に過敏症の既往歴のある患者
まずは、過去にGd造影剤でアレルギー反応が出た方です。
どれだけ危険か?
- MRI用造影剤副作用ありだと、副作用発現率(%) 21%
- ヨード造影剤副作用歴ありだと副作用発現率(%) 6%
- 全症例での副作用発現率(%) 2.4%
どうしても必要な場合はどうするか?
- 異なる種類のGd造影剤を使う。
- 予防薬としてステロイドと抗ヒスタミン剤を前投与する。
気管支喘息の患者
続いて喘息の方です。こちらは絶対禁忌となっています。
- 喘息の既往歴のある患者の副作用発現率は3.7%、ない患者に比べて1.5倍高かった。
- 既往歴もダメ。
- ただし、無治療、無症状の状態が5年以上持続している場合を治癒と扱い、造影検査を行うことあり。
CTのヨード造影剤の場合は原則禁忌ですが、MRのGd造影剤だと絶対禁忌なのはなぜでしょうか?
過去に死亡例があるからです。
関連記事)CT造影剤(ヨード)を喘息患者に使う場合
重篤な腎障害のある患者
腎機能障害のある人にもGd造影剤は絶対禁忌です。
からです。
透析している人は大丈夫ですか?
CTのヨード造影剤と異なり、透析していても絶対禁忌となります。
関連記事)CT造影剤(ヨード)を腎機能障害に使う場合のポイントは?禁忌?
MRI造影剤を慎重に投与すべき患者さんは?
慎重投与する方はどんな方ですか?
以下の方です。
- アレルギー体質の患者。(アレルギー性鼻炎、発疹、蕁麻疹などを起こしやすい、家族にいる。薬物過敏症の既往がある人)
※アレルギー歴のある人の副作用発現率3.7%、ない人の発現率は1.9%。
※予防薬として確実なものはない。高リスク患者にはステロイドや抗ヒススタミン剤を前投与。 - 痙攣、てんかんおよびその素質のある患者。
- 高齢者。(ただし有意な差はなかった。)
- 幼児、小児、低出生体重児、乳児、新生児、妊婦、授乳婦。
Gd造影剤の副作用発現率が高くなる患者因子は?
- 喘息既往歴
- MRI用造影剤の副作用歴
- ヨード造影剤の副作用歴
- アレルギー歴
ヨード造影剤とGd造影剤は異なりますが、アレルギー体質という意味で発現率は高くなります。
患者の不安を減らす方法は?
- 事前の検査説明。
- 検査中の適度な会話。
- 患者の姿勢を変える。
- 音楽を流す。
- 患者をリラックスさせる。
前投薬として用いられることがある薬剤は?
- アレルギー歴ありの患者:ステロイド、抗ヒスタミン薬
- 恐怖あるいは不安を感じる患者:ジアゼパムなどの鎮静剤。
なるほど。参考になりました。