腎性全身性線維症(NSF:nephrogenic systemic fibrosis)とは?
- NSFとは、重篤な腎機能障害患者に、特に透析患者においてGd造影剤の投与数日から数ヶ月、時に数年後に皮膚の腫脹、発赤、疼痛などが急性ないし亜急性に発症する疾患。
- 進行すると皮膚の硬化、筋肉表面や腱などに石灰化を生じ、関節が拘縮して高度の身体機能障害に陥り、時に死亡例も報告されている。
NSFの危険因子
- 長期透析が行われている終末期腎障害
- 非透析例でGFRが30ml/min/1.73m2未満の慢性腎不全
- 急性腎不全
(その他)
- Gd造影剤の大量投与、反復性投与
- 大きな組織障害(活動性感染症、動静脈血栓症、大きな外科手術など)
- 肝移植後または肝移植待機中の腎機能低下患者
- エリスロポエチンの併用
- 腹水や羊水など体腔内に液体貯留が認められる場合
GFR値によるガイドライン
- 0〜29:原則としてGd造影剤は使用しない。(やむを得ず併用する場合には、NSF発症報告の多い造影剤の使用を避ける)。
- 30〜59:利益と危険性とを慎重に検討し、最少量を使用する。
- 60〜:危険性が高いとする根拠には乏しい。
- 急性腎不全では腎機能が安定していないので、eGFRによる評価は行うべきではない。
- eGFRの正確度はGFR実測値の±30%の間に75%の症例が含まれる程度である。