亜急性連合性脊髄変性症(subacute combined degeneration of spinal cord)
- ビタミンB12の欠乏によりメチルマロン酸が蓄積し、生じる脊髄障害で、側索・後索に好発する(連合とは、側索+後索のこと)。
- 活性型ビタミンB12は、いくつかの酸素触媒反応、特にミエリンの合成に不可欠。
- ビタミンB12は胃壁細胞由来の内因子と結合し、回腸末端より吸収される。欠乏の原因は様々で日本では胃切除後症例が多くみられた。他に、悪性貧血、Crohn病などに伴う摂取不足(海外では菜食主義者)が原因となる。
- 全身性疾患であり、脊髄病変の他に大球性貧血による髄外造血、痴呆・精神症状、視神経炎などを合併することがある。
- 頸髄〜胸髄に好発するが、延髄にも生じうる。
- 痙性不全性両麻痺、深部感覚低下を主徴とする。
亜急性脊髄連合変性症の画像所見
- 脊髄の軽度の腫大と、両側左右対称性に脊髄背側のT2WI高信号を認める。
- 典型例では、T2WIの横断像で両側後索(特に楔状束)に一致した高信号を認め「逆V字」「逆ウサギの耳」「ハの字型」と表現される。後索全体(両側の薄束、楔状束)の高信号。
- 側索に高信号を認めることもある。
- 大脳白質にT2WIで斑状の高信号を複数認め、特に脳室周囲に多く分布するとされるが、画像的には非特異的である。
症例 70歳代男性 ビタミンB12低下あり。感覚障害が主たる末梢神経障害。萎縮性胃炎あり。
C6-7レベルを中心に脊髄後索にT2WIにて淡い高信号あり。
臨床的にも画像的にも亜急性連合性脊髄変性症が疑われる。
症例 50歳代男性 B12低値
引用:radiopedia
頚髄レベルで広範に脊髄に異常高信号あり。横断像では後角を中心にハの字型の高信号を認めている。
亜急性連合性脊髄変性症と診断されました。
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