尿管狭窄とは 原因・症状とCT・尿路造影の見方

CTで「尿管狭窄があって腎臓が腫れている」と言われました。尿管が細くなるってどういうことですか?がんの心配はありますか?
腎臓から膀胱へ尿を運ぶ管(尿管)のどこかが狭くなって、尿の流れが悪くなっている状態です。原因は結石の治療後や手術後のような良性のものから、がんによるものまでさまざまです。CTや造影検査で何を見ているのかを整理しますね。

先に結論:尿管狭窄は「原因探し」が大事。CTで狭い場所・長さ・周りの様子(腫瘤やリンパ節)を確認し、尿路造影で狭窄の形を詳しく見る

項目 要点
何か 尿管の一部が狭くなり、その上流の尿管・腎盂が拡張(水尿管・水腎症)する状態
主な原因 結石やその内視鏡治療、手術による損傷、放射線治療、腎移植や尿路変向の吻合部、結核などの炎症、悪性腫瘍(尿管がん・周囲からの浸潤や転移)、先天性
症状 急に詰まると疝痛(わき腹の強い痛み)、ゆっくり進むと無症状のことが多い
画像 CT(CTウログラフィ)、逆行性・順行性の尿路造影、MRウログラフィなど
次にすること 泌尿器科で原因を確かめ、腎臓の働きを守る治療(ステント・拡張・再建手術など)を検討

尿管狭窄とは

尿管は腎盂から膀胱まで尿を運ぶ管で、もともと腎盂尿管移行部・総腸骨動脈との交差部・膀胱への入り口の3か所が生理的に狭くなっています。尿管の区分と走行は尿管の区分(上部・中部・下部尿管)の解剖とCTでの追い方で解説しています。

尿管狭窄(ureteral stricture)は、病気や治療の影響で尿管の一部が狭くなり、尿の通り道が細くなる状態です。狭い所より上(腎臓側)に尿がたまり、水尿管や水腎症になります。水腎症の程度の見方は水腎症とは?原因・グレードとCT画像診断をご覧ください。

原因

尿管の閉塞は、尿管そのものの病気(内因性)と、外から圧迫・巻き込む病気(外因性)に分けられ、外傷、放射線、医原性の損傷、尿路結石、悪性腫瘍、先天性の原因などがあります(Ganzer 2015)。

原因 報告されている頻度・特徴
結石の治療後 メタ解析で狭窄の頻度は体外衝撃波結石破砕術(SWL)後1.3%、経皮的腎砕石術(PCNL)後2.1%、尿管鏡(URS)後1.9%。嵌頓結石では4.9%。上部尿管の結石、術前の水腎症、術中の尿管穿孔、嵌頓結石で危険が高い(Moretto 2024)
日本の尿管鏡レーザー砕石 82施設14,125人で狭窄は0.8%、狭窄部の長さの中央値10mm(Inoue 2024)
尿路変向(回腸導管など)の吻合部 約10人に1人に起こる長期の合併症。吻合部の血流不足と線維化が原因と考えられている(Abdalla 2024)
腎移植後 移植から狭窄までの期間は平均17か月。ドナー年齢、虚血時間、ステントを置かない手術などが危険因子(Patel 2024)
尿路結核 進行すると尿管狭窄、水尿管・水腎症、膀胱容量の低下などを起こす(Muneer 2019)
悪性腫瘍 原因不明の尿管閉塞をCTで調べた36例では、尿管や周囲への転移性がんが22例ともっとも多かった(Bosniak 1982)

腎移植後の合併症全体は腎移植後の合併症とCT画像所見で整理しています。

症状

急に尿の流れが止まると疝痛のような痛みが出ることが多い一方、ゆっくり進む慢性の閉塞による水腎症は無症状のことが多いとされます(Ganzer 2015)。そのため、ほかの目的で撮ったCTや健診のエコーで水腎症として偶然見つかることもあります。わき腹や腰の痛み、発熱、血尿など気になる症状があれば医療機関を受診してください。

CT・尿路造影の見方

CTで見ること

CTは閉塞の原因を探すのに役立ち、原因がはっきりしない尿管閉塞36例のうち33例(91.7%)で原因の特定に役立ちました(Bosniak 1982)。読影では次の順に確認すると整理しやすくなります。

  1. 拡張の終わる場所:腎盂・尿管の拡張をたどり、細くなる場所(狭窄部)を決める
  2. 狭窄部の尿管壁:壁が厚いか、腫瘤があるか、造影されるか
  3. 尿管の周り:周囲の腫瘤、リンパ節腫大、動脈瘤、炎症の波及、尿の漏れ(尿瘤)
  4. 尿管の中:X線で写りにくい結石が隠れていないか
  5. 治療歴との関係:結石治療・手術・放射線の範囲と狭窄の場所が一致するか

Bosniak 1982の検討では、原因として転移性がんのほか、リンパ腫、原発性尿管腫瘍、X線透過性の結石、隣接する腸の炎症、大動脈・腸骨動脈瘤、線維性の索状物、尿瘤、放射線線維化が見つかっています。一方で、放射線治療後の3例では腫瘍の再発と放射線による線維化をCTで区別できませんでした。

尿管の壁が厚くなっていたり、造影される腫瘤があるときは尿管がんを考えます。詳しくは腎盂癌・尿管癌の画像診断を参照してください。結石と静脈石の見分け方は静脈石のCT画像所見にまとめています。

尿路造影で見ること

尿路造影(逆行性腎盂造影や、腎瘻からの順行性造影)では、造影剤で尿管の内腔を直接映し、狭窄の場所・長さ・形と、造影剤がその先へ流れるかを確認します。狭窄の長さは治療法を選ぶうえで重要で、2cm以下の良性狭窄ではバルーン拡張や内視鏡的切開が選択肢になり、それより長い狭窄では再建手術が検討されます(Ganzer 2015)。

症例 10歳代女性 尿管狭窄

尿管狭窄 造影CT 排泄相 冠状断像
引用:Radiopaedia(Ureteral stricture)

右の腎盂・腎杯が造影剤をためて拡張しています。症例ページでは、腎盂尿管移行部のすぐ下(L2の高さ)の近位尿管が短い区間で細くなっており、結石や腫瘤は見られないと記載されています。

治療の考え方

治療は原因、全身状態、見込まれる経過によって決まります(Ganzer 2015)。

  • 良性で2cmまでの狭窄:内視鏡を使ったバルーン拡張や尿管切開術が選択肢(Ganzer 2015)
  • 良性で長い狭窄:さまざまな再建手術。専門施設では腹腔鏡やロボット支援でも行われる(Ganzer 2015)
  • 悪性の閉塞:尿管ステント(金属ステントを含む)などで尿の通り道を確保(Ganzer 2015)

よくある疑問(Q&A)

Q1. 尿管狭窄=がんですか?

いいえ。結石の治療後、手術後、移植後、炎症など良性の原因も多くあります。ただし原因不明の閉塞では悪性腫瘍が見つかることも多く(Bosniak 1982)、CTや尿の検査で原因を確かめることが大切です。

Q2. 痛みがないのに治療が必要ですか?

慢性の閉塞は痛みが出にくい一方で、続くと腎臓の働きが落ちることがあります。治療の要否は腎機能や原因から主治医が判断します。

Q3. 結石の手術のあとに狭窄になることはありますか?

あります。頻度は数%以下ですが、嵌頓結石や術中の尿管穿孔があった場合に起こりやすいと報告されています(Moretto 2024)。

検査結果の意味や治療の選び方は主治医に相談してください。

参考文献

  1. Ganzer R, Franz T, Rai BP, et al. [Management of ureteral strictures and hydronephrosis]. Urologe A. 2015;54(8):1147-56. PubMed
  2. Moretto S, Saita A, Scoffone CM, et al. Ureteral stricture rate after endoscopic treatments for urolithiasis and related risk factors: systematic review and meta-analysis. World J Urol. 2024;42(1):234. PubMed
  3. Inoue T, Tanaka H, Masuda T, et al. Japanese survey of perioperative complications and ureteral stricture after ureteroscopy with laser lithotripsy for upper urinary tract stones in multicenter collaborative study. Int J Urol. 2024;31(7):795-801. PubMed
  4. Abdalla A, Cohn JA, Simhan J. Unraveling the Complexities of Uretero-Enteric Strictures: A Modern Review. Curr Urol Rep. 2024;25(11):287-297. PubMed
  5. Patel S, Denis T, Gaba F, et al. Risk Factors and Rates of Occurrence of Ureteral Stricture Formation Following Renal Transplantation: A Literature Review. Exp Clin Transplant. 2024;22(9):655-663. PubMed
  6. Bosniak MA, Megibow AJ, Ambos MA, et al. Computed tomography of ureteral obstruction. AJR Am J Roentgenol. 1982;138(6):1107-13. PubMed
  7. Muneer A, Macrae B, Krishnamoorthy S, et al. Urogenital tuberculosis – epidemiology, pathogenesis and clinical features. Nat Rev Urol. 2019;16(10):573-598. PubMed

画像診断を無料で学べるコンテンツ

腹部画像診断を症例で学ぶ
無料講座

腹部画像診断を症例で学ぶ

4日に1回、朝6時に症例が届き、実際に画像をスクロールして読影する講座です。90症例以上・1年以上続く講座で、医師・医学生・放射線技師・看護師など10,000名以上が参加中です。

講座に参加する(無料) →
胸部レントゲンの正常解剖を31日で
無料講座

胸部レントゲンの正常解剖を31日で

1日3分、全31日で胸部レントゲンの正常解剖の基礎を学ぶ参加型の講座です。全日程に簡単な動画解説が付いています。

講座に参加する(無料) →
画像診断LINE公式アカウント
登録特典あり

画像診断LINE公式アカウント

新しい企画やモニター募集のお知らせを配信しています。登録すると特典として、脳の血管支配域のミニ講座に無料で参加できます。

LINEで友だち追加 →