先に結論:腎盂癌の画像診断

  • 腎盂癌は、腎臓の中で尿が集まる腎盂の粘膜(尿路上皮)から出るがんで、血尿(痛みのない肉眼的血尿)で見つかることが多く、喫煙が大きな危険因子です
  • 造影CT(CTウログラフィ:排泄相)で、腎盂の中の造影欠損・壁の厚みとして見え、腎臓の形を保ったまま中から広がるのが、外にふくらむ腎細胞癌との違いです
  • 英語ではrenal pelvic cancerと呼び、尿管癌とあわせて上部尿路上皮癌(UTUC)として扱います
  • 尿管・膀胱にも同時に、あるいは後からできやすいため、尿路全体を確認し、治療後も膀胱鏡などで経過観察します

※痛みのない血尿が出たときは、泌尿器科を受診してください。

腎盂癌(renal pelvis carcinoma)

・腎腫瘍の1割を占め、ほとんどが尿路上皮癌(移行上皮癌)。

・扁平上皮癌は7%と比較的稀。多くは腎結石を合併する。多くは浸潤性。

・危険因子は加齢、男性、喫煙。

・非浸潤性である乳頭状の形態を呈するものと、早期から浸潤性である低分化の腫瘤がある。

・腎実質に浸潤した場合、腎の形態は通常保たれる(病変の主座はそもそも腎洞内)。

・腎盂尿管移行部に腫瘍が及ぶと水腎症をきたす。・多発・再発が特徴で、膀胱癌患者の2〜4%に上部尿路癌が生じる一方、上部尿路癌の約40%に膀胱癌が発生する。また診断時に約60%が浸潤癌であり、尿路全体の評価と治療後の膀胱鏡を含む経過観察が重要である。

腎盂癌の病期分類

T因子
  • Ta:乳頭状非浸潤癌
  • T1:粘膜上皮下結合組織に浸潤する腫瘍
  • T2:筋層に浸潤する腫瘍
  • T3:腎盂筋層をこえて腎盂周囲脂肪織または腎実質に浸潤する腫瘍
  • T4:隣接臓器または腎臓をこえて浸潤する腫瘍
N因子
  • N0:所属リンパ節転移なし。
  • N1:最大径が2cm以下の1個のリンパ節転移
  • N2:最大径が2cmをこえる1個のリンパ節転移、または多発リンパ節転移
  • ※UICC第8版に基づく(第7版まではN2が2〜5cm、N3が5cm超とされていた)。

※所属リンパ節:腎門部、腹部傍大動脈、傍大静脈リンパ節。腎門部リンパ節は腎動静脈の周りにあり、造影CTで腫大の有無を確認する。

腎盂癌の画像所見

・主にCTで評価する。

・腎洞内の脂肪消失や尿管内の陰影欠損、尿管壁の肥厚が特徴的。

・CTが施行できない場合はMRで評価する。T1WIにて腎実質と比較して等〜軽低信号、T2WIで等〜軽度高信号。

・造影にて比較的弱い造影効果。

・拡散強調像(DWI)では高信号となる。CTウログラフィの後にDWIを追加した検討では、感度はCTU 98%・DWI 92%、特異度はCTU 78%・DWI 91%で、壁肥厚だけの病変では、正しく診断できた割合がCTU単独の36%からDWI追加で79%に上がった(Akita 2018)。

・T2以下:腎盂の壁肥厚あるいは、内部に造影欠損像として癌を認める。腎盂壁の外側面は平滑である。

・T3:癌部の腎盂壁の不整や周囲脂肪組織の毛羽立ち、吸収値の上昇を認める。または、腎実質への浸潤を認める。

・T4:癌と隣接臓器の連続性を認める。腎周囲の脂肪組織への浸潤を認める。

 

腎盂壁肥厚の鑑別
  • 腎盂腎炎・尿路感染、尿路結石、尿管ステント留置後、膀胱尿管逆流でも腎盂の壁は厚くなります。
  • 炎症による肥厚は全周性でなめらか・両側性のことが多く、腫瘍は偏在性・限局性で腎洞脂肪へ広がる傾向があります。判断に迷うときは、DWIや尿細胞診、尿管鏡を組み合わせます。
尿管癌の画像所見
  • CTウログラフィ排泄相で尿管内の造影欠損、尿管壁の限局性肥厚として見え、上流が拡張(水腎・水尿管)します。
  • 尿路上皮癌は多発しやすいため、尿管に病変があれば腎盂・反対側・膀胱まで尿路全体を確認します(Browne 2005)。

症例 60歳代男性 血尿

腎盂癌(尿路上皮癌) CTウログラフィ 排泄相 冠状断像
引用:Radiopaedia(Urothelial carcinoma on CT urography)

排泄相で、右腎盂は排泄された造影剤で白く満たされていますが、左腎では腎盂の位置を軟部組織が占め、造影剤がわずかしか入っていません。症例報告では、左腎上極から腎盂へ浸潤して腎盂の中心部を埋める浸潤性腫瘤で、生検で尿路上皮癌と確認されています。

あわせて読みたい:尿管狭窄とは、尿管癌の病期診断とCT画像所見

参考文献

  1. Browne RF, Meehan CP, Colville J, et al. Transitional cell carcinoma of the upper urinary tract: spectrum of imaging findings. Radiographics. 2005;25(6):1609-27. PubMed
  2. Vikram R, Sandler CM, Ng CS. Imaging and staging of transitional cell carcinoma: part 2, upper urinary tract. AJR Am J Roentgenol. 2009;192(6):1488-1493. PubMed
  3. Rouprêt M, Seisen T, Birtle AJ, et al. European Association of Urology Guidelines on Upper Urinary Tract Urothelial Carcinoma: 2023 Update. Eur Urol. 2023;84(1):49-64. PubMed
  4. Akita H, Kikuchi E, Hayakawa N, et al. Performance of diffusion-weighted MRI post-CT urography for the diagnosis of upper tract urothelial carcinoma: Comparison with selective urine cytology sampling. Clin Imaging. 2018;52:208-215. PubMed

画像診断を無料で学べるコンテンツ

腹部画像診断を症例で学ぶ
無料講座

腹部画像診断を症例で学ぶ

4日に1回、朝6時に症例が届き、実際に画像をスクロールして読影する講座です。90症例以上・1年以上続く講座で、医師・医学生・放射線技師・看護師など10,000名以上が参加中です。

講座に参加する(無料) →
胸部レントゲンの正常解剖を31日で
無料講座

胸部レントゲンの正常解剖を31日で

1日3分、全31日で胸部レントゲンの正常解剖の基礎を学ぶ参加型の講座です。全日程に簡単な動画解説が付いています。

講座に参加する(無料) →
画像診断LINE公式アカウント
登録特典あり

画像診断LINE公式アカウント

新しい企画やモニター募集のお知らせを配信しています。登録すると特典として、脳の血管支配域のミニ講座に無料で参加できます。

LINEで友だち追加 →