肺がんドックの結果の見方 低線量CT検診の判定区分A〜E

肺がんドックのCTで「結節あり」「C判定」と書かれていました。肺がんなんでしょうか…?
低線量CTでは、小さな結節(白い点)が見つかるのはよくあることで、そのほとんどは肺がんではありません。大事なのは「大きさ」と「判定区分」です。C判定なら、ふつうは1年後のCTで大丈夫ですよ。

先に結論:肺がんドック(低線量CT)の結果の見方

  • 結節が見つかるのは珍しくない:低線量CTでは小さな結節がよく写り、精密検査になった人の多くは最終的に肺がんではありません(偽陽性)
  • 判定はA〜Eの5段階:肺がんを疑うのはE判定だけ。C判定は「異常はあるが精査不要」で、次回の定期検診へ
  • 目安は大きさ6mm:結節の最大径と短径の平均が6mm未満ならC、6mm以上で肺がんを疑えばE
  • E判定なら精密検査(薄いスライスのCTなど)。D判定は肺がん以外の病気の精査です


肺がんCT検診の判定区分の表

低線量CT肺がん検診とは

低線量CT(ていせんりょうシーティー)は、ふつうのCTより放射線の量を下げて胸を撮る検査です。胸部レントゲンでは心臓や骨に隠れる場所も見えるため、小さな肺がんを早く見つけやすいのが特徴です。

日本では、厚生労働科学研究班が「対策型検診のための低線量CTによる肺がん検診マニュアル(案)概要版」(令和8年1月)をまとめています。ここでは対象を50〜74歳で、喫煙指数(1日の本数×年数)が600以上、禁煙している場合は禁煙から15年以内の人としています。人間ドックの「肺がんドック」はこれより広い人が受けていることもあります。

判定区分(A〜E)の意味

結果用紙の「判定」は、日本肺癌学会の「肺がん検診の手引き(肺癌取扱い規約第9版)」にある「低線量CT肺がん検診の判定基準と指導区分」に準じて付けられます(上記マニュアルに引用)。

判定 意味 主な例 次にすること
A 読影不能 撮影条件不良・体の位置のずれなど 撮り直し
B 異常所見なし 正常な個人差(正常亜型)を含む 定期の低線量CT検診
C 異常はあるが精査不要 平均径6mm未満の結節、古い炎症の跡、石灰化、気腫性変化など 定期の低線量CT検診
D(D1〜D4) 肺がん以外で治療が要りそうな病気 D1 活動性結核、D2 肺炎・気胸など、D3 大動脈瘤など、D4 縦隔・胸壁の腫瘍など その病気の精密検査
E(E1・E2) 肺がんの疑い 平均径6mm以上で肺がんを疑う結節、肺がんによる胸水・無気肺など。E1=否定できない、E2=強く疑う 肺がんの精密検査

同じマニュアルでは、検診機関が精密検査に紹介する目安として「平均値6mm以上の結節」「新たに出現した、肺がんを否定できない平均値4mm以上の結節」を挙げ、逆に6mm以上でも過去のCTと比べて変わらない結節や、肺内リンパ節と判断できる結節は、紹介不要(12か月後の検診)としています。E判定の人の精密検査は、日本CT検診学会の「低線量CTによる肺がん検診の肺結節の判定基準と経過観察の考え方」に沿って行われます。経過観察の間隔については「肺結節のCTフォローは何カ月後?」で詳しく説明しています。

E判定でした。もう肺がんと思ったほうがいいですか?
E判定は「くわしく調べる必要がある」という意味で、肺がんと決まったわけではありません。ただ、放っておかずに精密検査を受けてくださいね。

結節の大きさと肺がんの割合

「結節(けっせつ)」は肺の中の丸い小さな影のことです(くわしくは「結節影とは?」)。オランダ・ベルギーのNELSON試験で見つかった結節9,681個を調べた研究では、2年以内に肺がんと診断された割合は、結節の大きさで大きく違いました(Horeweg 2014)。

  • 5mm未満:0.4%(結節がない人の0.4%と差がない)
  • 5〜10mm:1.3%(経過観察CTが必要な中間の群)
  • 10mm以上:15.2%(すぐに精密検査が必要)

中間の大きさの結節では、体積が2倍になるまでの日数(体積倍加時間)が短いほど肺がんの割合が高くなっていました。つまり「大きさ」に加えて「大きくなっているかどうか」が大切で、これが経過観察のCTをする理由です。

カナダの研究では、肺がんの可能性を高める特徴として、年齢が高いこと、女性、家族歴、肺気腫、結節が大きいこと、肺の上のほう(上葉)にあること、すりガラス部分と濃い部分が混ざった結節(部分充実性)、結節の数が少ないこと、ふちがトゲトゲしている(スピキュラ)ことが挙げられています(McWilliams 2013)。

症例 40歳代男性 症状なし。就職時の胸部X線で影を指摘された

孤立性肺結節 胸部CT 横断像(肺野条件)
引用:Radiopaedia(Solitary pulmonary nodule – incidental)

肺を見やすくした条件の胸部CTです。右肺の上のほうに、まわりがくっきりした丸い白い影(約1cm)が1つあります。中身が詰まった「充実性結節」と呼ばれるタイプで、この方は症状がなく偶然見つかりました(検診用の低線量CTではなく、精密検査のCTの画像です)。

低線量CT検診の効果:NLSTとNELSON

米国のNLST(約5万3千人)では、低線量CTを年1回・3回受けた群は、胸部レントゲンの群に比べて肺がんによる死亡が20%少なく、全体の死亡も6.7%少なくなりました(NLST Research Team 2011)。NELSON試験(男性13,195人)でも、CT検診の群は検診なしの群に比べ、10年時点の肺がん死亡が0.76倍に減っています(de Koning 2020)。

不利益:偽陽性と被ばく

偽陽性(ぎようせい)とは、「異常あり」とされたのに、結果的にがんではなかったことです。NLSTでは3回の検診でCT群の24.2%が陽性となり、そのうち96.4%は偽陽性でした(NLST Research Team 2011)。一方、体積を測ってから判断したNELSONでは、追加のCTになった人は平均9.2%、精密検査への紹介は2.1%にとどまりました(de Koning 2020)。

被ばくについては、国のマニュアル(案)のQ&Aで、低線量CT1回は約1.0〜1.5ミリシーベルトで、日本人の年間の自然被ばく(約2.1ミリシーベルト)と同程度かやや少ない、と説明されています(胸部レントゲンは1回約0.05ミリシーベルト)。イタリアで10年間毎年CT検診を受けた5,203人の解析では、累積の被ばくの中央値は男性9.3、女性13.0ミリシーベルトで、放射線で生じうるがんは、検診で見つかった肺がん約108例に対し1例と見積もられました(Rampinelli 2017)。

次にすること

  • B・C判定:次回の定期検診へ。前回と比べられるよう、同じ施設で受けると比較しやすくなります
  • D判定:書かれている病気(結核・肺炎・大動脈瘤など)について、呼吸器内科などで精密検査
  • E判定:呼吸器内科・呼吸器外科など、肺の精密検査ができる医療機関へ。薄いスライスのCTで、大きさ・性状・変化を確認します
  • どの判定でも、せき・血痰(けったん)・息切れなどの症状があれば、次の検診を待たずに受診してください

胸部レントゲンの検診との違いは「肺がん検診に!胸部レントゲン読影で知っておくべき7つの境界線」も参考にしてください。

よくある疑問(Q&A)

Q. すりガラス状の結節と言われました。
A. すりガラス状(淡く白い)結節は、ゆっくり変化するものが多く、すぐ精密検査ではなく経過観察になることがあります。濃い部分が混じる部分充実性の結節は、肺がんの可能性を高める特徴の一つとされています(McWilliams 2013)。方針は主治医と相談してください。

Q. 毎年CTを受けて被ばくは大丈夫?
A. 1回あたりは自然被ばく1年分と同程度で、喫煙歴の多い人では、早期発見の利益の方が大きいと考えられています。一方、国のマニュアル(案)では、たばこを吸わない人・少ししか吸わない人への低線量CT検診はエビデンスがないため推奨されない、としています。

Q. 結節が複数あると言われました。
A. 小さい結節が多数あること自体は珍しくありません。上の研究では、結節の数が少ないほうが肺がんの可能性が高いという結果でした(McWilliams 2013)。一番大きいもの・変化しているものが評価の中心になります。

まとめ

  • 低線量CTでは結節がよく見つかり、そのほとんどは肺がんではない
  • 判定はA〜E。肺がんを疑うのはE判定だけで、目安は平均径6mm
  • 5mm未満の結節の肺がんの割合は、結節がない人と同程度
  • NLST・NELSONで肺がん死亡の減少が示された一方、偽陽性と被ばくという不利益もある
  • E判定は精密検査へ。最終的な判断は主治医に相談してください

▶ ほかの所見も調べる:健診・人間ドックの画像検査で言われやすい所見一覧

参考文献

  1. National Lung Screening Trial Research Team; Aberle DR, Adams AM, Berg CD, et al. Reduced lung-cancer mortality with low-dose computed tomographic screening. N Engl J Med. 2011;365(5):395-409. PubMed
  2. de Koning HJ, van der Aalst CM, de Jong PA, et al. Reduced Lung-Cancer Mortality with Volume CT Screening in a Randomized Trial. N Engl J Med. 2020;382(6):503-513. PubMed
  3. Horeweg N, van Rosmalen J, Heuvelmans MA, et al. Lung cancer probability in patients with CT-detected pulmonary nodules: a prespecified analysis of data from the NELSON trial of low-dose CT screening. Lancet Oncol. 2014;15(12):1332-1341. PubMed
  4. McWilliams A, Tammemagi MC, Mayo JR, et al. Probability of cancer in pulmonary nodules detected on first screening CT. N Engl J Med. 2013;369(10):910-919. PubMed
  5. Rampinelli C, De Marco P, Origgi D, et al. Exposure to low dose computed tomography for lung cancer screening and risk of cancer: secondary analysis of trial data and risk-benefit analysis. BMJ. 2017;356:j347. PubMed
  6. 令和7年度厚生労働科学研究費補助金 がん対策推進総合研究事業「低線量CTを用いた新しい肺がん検診の体制構築に関する研究班」. 対策型検診のための低線量CTによる肺がん検診マニュアル(案) 概要版. 令和8年1月. 厚生労働省

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