Klippel-Feil症候群
- ①短頚、②後頭部毛髪線の低位、③頚部運動制限の3徴を示す先天性頚椎癒合症である。
- 最近では、一般に先天的な頚椎癒合椎があれば本症候群に含め、約 60%で側弯症を合併する。
- 胎生期の肩甲骨下降障害と考えられる片側の肩甲骨挙上(Sprengel変形) の合併率も高い(約30%)。2カ所以上で癒合椎がある場合や、環椎後頭骨癒合(occipitalization of the atlas)、頭蓋底陥入などの頭蓋頚椎移行部異常を伴うものは高率に神経症状を発症する。
- 後天性の脊椎癒合を示す疾患としては化膿性脊椎炎後、関節リウマチ、ピロリン酸カルシウム結晶沈着症、神経障害性骨関節症、変形性脊椎症など椎間腔狭小化を来す疾患が挙がる。治癒した化膿性脊椎炎による癒合椎は、椎間腔と椎体の境界が不明瞭である点が鑑別点の一つとなる。
Klippel-Feil症候群の分類
Feilは3型に分類している。
- type I :多椎間の頚椎および上部胸椎の癒合
- type Ⅱ:1あるいは2椎間の癒合
- type Ⅲ:頚椎の癒合に加え,下位胸椎あるいは腰椎の癒合
Klippel-Feil症候群のMRI所見
- 癒合椎には本来の椎間板腔に相当する部位で、スズメバチの腰(wasp-waist)と呼ばれる特徴的な前後径の短縮あり。
- これは椎間板炎,外傷,術後性変化などの後天性癒合椎との鑑別点となる。
癒合椎とは
- 癒合椎は、上下の脊椎が癒合したものであり、完全な塊状椎と椎体、椎弓や突起などが一部癒合した部分的癒合椎に分けられる。
- 癒合により神経孔が狭小化している場合は,加齢や運動による変形性変化が加わると神経症状を引き起こすこともある。
- 塊状椎は、仙尾骨では生理的に認められる。
参考文献)
- 画像診断 Vol.42 No.11増刊号2022 P170-1
- 脊椎脊髄疾患のMRI