前脈絡叢動脈(anterior choroidal artery:AChA、AChoA)は細く短いが、内包後脚・視索・外側膝状体など臨床的に重要な領域へ灌流を持つ動脈である。
梗塞や、ICA終末部近傍(Pcom周囲)病変の読影では、AChAの同定が診断精度に直結することがある。
前脈絡叢動脈(anterior choroidal artery:AChA、AChoA)とは?どこから起始する

AChAは典型的には内頚動脈(ICA)交通部〜終末部から分岐し、Pcom(後交通動脈)起始よりも遠位側(末梢側)に位置する。解剖学的検討では、AChA起始はPcom起始から平均2.4mm遠位であったと報告されている。
- 典型の並び(近位→遠位):Pcom → AChA → ICA終末(MCA/ACA)
- 注意:Pcomが太い(fetal-type)・P1低形成などでは、MIPだけだとPcomが強調され、AChAが埋もれやすい。
MRAでの前脈絡叢動脈(anterior choroidal artery:AChA)の同定
- AChAは細径のため、MIP像(Maximum Intensity Projection)だけに頼ると見落としやすい。AChA同定の基本は、3D-TOFのMRA元画像でICA終末部を薄切りで追い、細い分岐を拾うことである。
- 太い枝としてPcomを確認し、そこからさらに遠位のICA壁に目を凝らす。
- AChAはPcom起始の直後(遠位側)から出ることが多い。起始がPcomから平均2.4mm遠位という解剖学的データが、探索の「距離感」の目安になる。PcomをAChAと間違えたり、AChAをPcomと間違えないように注意。
- AChAは起始後、後方〜外側へ向かい、視索(optic tract)周囲をかすめるように走り、側脳室側頭角の脈絡叢へ向かう流れを取ることが多い。微小外科解剖でも、AChAが脈絡叢(側頭角)に到達する走行が整理されている。
- AChAには起始の変異があり、Pcomと共通幹を形成するなど稀なバリエーションも報告されている。
症例 40歳代男性 スクリーニング

左のICAからPcomが分岐、そのやや末梢からAChAが分岐していることを確認できます。

MIP画像でもAChAを同定することができます。
症例 30歳代男性 スクリーニング

こちらの症例のMIP画像でもAChAを同定することができます。
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参考文献
- Wiesmann M, et al. Identification and Anatomic Description of the Anterior Choroidal Artery by use of 3D-TOF Source and 3D-CISS MR Imaging. AJNR. 2001.
- Ferreira A, et al. Microsurgical Anatomy of the Anterior Choroidal Artery. 1990.
- Fujii K, et al. Microsurgical anatomy of the choroidal arteries. J Neurosurg. 1980.
- Helgason C, et al. Anterior Choroidal Artery-Territory Infarction. JAMA Neurology. 1986.
- Hupperts RMM, et al. Infarcts in the anterior choroidal artery territory. Brain. 1994.
- (変異・総説として)Lu Z, et al. Anterior choroidal artery and fetal-type posterior communicating artery… Frontiers in Surgery. 2025.
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