豊胸術は美容目的や乳房再建の一環として行われることが多く、CT画像においてもその影響が明確に現れます。
本記事では、豊胸術後のCT画像における特徴的所見と注意点を、インプラントの種類別に解説します。
インプラントの種類とCT画像上の特徴
シリコンインプラント
- 高密度の楕円形または涙滴型の構造物として認められる
- カプセル内に均一な高吸収域(密度は100〜150 HU前後)を示す
- インプラント周囲の被膜(カプセル)は薄く、明瞭な境界を持つ
生理食塩水インプラント
- 水に近い吸収値(約0 HU)で、内部が均一な低吸収域
- インプラント内のコイルやバルブが金属アーチファクトとして描出されることもある
症例 50歳代女性、80歳代女性
左は内部が低吸収であることから生理食塩水(生食)バッグにより、右は高吸収であることからシリコンバッグによる豊胸術後であることがわかる。
自家脂肪注入(脂肪移植)
- 皮下脂肪と類似した低吸収域(-50 〜 -100 HU)
- 石灰化・脂肪壊死・油嚢胞(oil cyst)を伴うことがある
豊胸術後の合併症とCT所見
● カプセル拘縮(Capsular contracture)
- 被膜が肥厚し、インプラントが変形
- 石灰化を伴う場合、被膜に沿った高吸収帯として描出
● インプラント破裂
- シリコンの「extracapsular rupture」では、乳腺やリンパ節内への遊離シリコン(silicone granuloma)を認める
- 「linguine sign」などはMRI所見であり、CTでは破裂自体は非特異的所見
● 感染・炎症
- インプラント周囲の脂肪織濃度上昇
- 液体貯留、皮膚や皮下軟部組織の浮腫・肥厚
参考文献:
- Chen Y, et al. Imaging features of complications of breast augmentation with silicone implants. J Comput Assist Tomogr. 2011;35(3):303–310. [PMID: 21587184]
- Leung JWT, et al. Imaging of breast implants and associated complications: A pictorial review. Insights Imaging. 2019;10(1):65. DOI:10.1186/s13244-019-0756-8
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