腹部のCTで前立腺の石灰化が偶発的に見つかることがしばしばあります。

この前立腺の石灰化に病的意義はあるのでしょうか?

今回は前立腺の石灰化とCT画像所見についてまとめました。

前立腺の石灰化とは?

  • 中高年男性で高頻度に認められ、50歳以上では一般的に認められる。
  • 発生頻度は加齢とともに増加する。
  • 前立腺石灰化の発生における主要なメカニズムの一つは、アミロイド小体(corpora amylacea)の石灰化と、前立腺分泌物の単純な沈着であると考えられている。

前立腺の石灰化の原因

  • 原発性(特発性):最多
  • 糖尿病
  • 感染症(例:結核、細菌性前立腺炎)
  • 良性前立腺肥大症(BPH):BPH患者の10%に石灰化が見られる。
  • 前立腺癌
  • 放射線療法
  • 医原性:尿道ステント留置や手術などが原因となる場合がある。

前立腺の石灰化と臨床症状

  • 前立腺石灰化は、通常臨床的に問題になることは少ないが、排尿困難、血尿、閉塞、骨盤痛、または会陰部痛などの症状と関連しているとも報告されている。
  • 前立腺尿道周囲に位置する石灰化は導管を閉塞させ、炎症を引き起こし、最終的に線維化や組織の硬化につながり、下部尿路症状(LUTS:Lower Urinary Tract Symptoms)を引き起こすと考えられている。
  • まれに、石灰化が尿道から排出されることもある。

前立腺の石灰化の画像所見

  • 前立腺石灰化は、CT画像で最もよく検出する。石灰化の正確な位置、サイズ、数を詳細に評価することが可能。石灰化は両側性に見られ、後葉および側葉に認められるが、片側性に見られることもある。CTを用いた研究では、石灰化の大部分が中心帯(79.3%)に位置し、次いで尿道周囲帯(48.6%)、移行帯(42.0%)であった。
  • 超音波検査(エコー)では小さな石灰化は超音波ノイズの中に紛れて識別が難しい場合がある。
  • またMRIにおいても信号強度のばらつきや病変の小ささのため、前立腺内の石灰化を検出するのに限界がある。

症例 60歳代男性 スクリーニング

前立腺に右優位に石灰化を認めています。上記のエリアでいうと中心帯に相当します。

また、前立腺静脈叢の一部に石灰化を認めており、静脈石を疑う所見です。

尿管結石などと間違えないように注意が必要です。

いずれも特に病的意義はないと判断できます。

関連記事:輸精管の石灰化のCT画像診断

参考文献・出典

ご案内

腹部画像診断を学べる無料コンテンツ

4日に1日朝6時に症例が配信され、画像を実際にスクロールして読影していただく講座です。現状無料公開しています。90症例以上あり、無料なのに1年以上続く講座です。10,000名以上の医師、医学生、放射線技師、看護師などが参加中。

胸部レントゲンの正常解剖を学べる無料コンテンツ

1日3分全31日でこそっと胸部レントゲンの正常解剖の基礎を学んでいただく参加型無料講座です。全日程で簡単な動画解説付きです。

画像診断LINE公式アカウント

画像診断cafeのLINE公式アカウントで新しい企画やモニター募集などの告知を行っています。 登録していただくと特典として、脳の血管支配域のミニ講座の無料でご参加いただけます。