腹部のCTで前立腺の石灰化が偶発的に見つかることがしばしばあります。

この前立腺の石灰化に病的意義はあるのでしょうか?

今回は前立腺の石灰化とCT画像所見についてまとめました。

CTで「前立腺に石灰化がある」と言われました。前立腺がんですか?

前立腺の石灰化は、中高年の男性にとてもよく見られる変化で、それ自体はがんではありません。多くは治療もいりませんよ。

先に結論:前立腺の石灰化とは

  • 前立腺の中にカルシウムがたまって白く写るもの。「前立腺結石」とも呼ばれます
  • 中高年の男性によく見られ、加齢や前立腺の炎症のあとに起こります
  • 多くは症状がなく、治療は不要です
  • 石灰化があること自体は前立腺がんのサインではありません。がんが心配なときは、石灰化とは別にPSA検査などで確認します
  • 排尿時の痛み・発熱・残尿感などがあるときは、泌尿器科で相談を

前立腺の石灰化とは?

  • 中高年男性で高頻度に認められ、50歳以上では一般的に認められる。
  • 発生頻度は加齢とともに増加する。泌尿器科でCTを受けた4,805人の検討では、3,280人(約68%)に前立腺の石灰化がみられ、石灰化のある人は年齢が高かった(Kim 2025)。
  • 前立腺石灰化の発生における主要なメカニズムの一つは、アミロイド小体(corpora amylacea)の石灰化と、前立腺分泌物の単純な沈着であると考えられている。

前立腺の石灰化の原因

  • 原発性(特発性):最多
  • 糖尿病
  • 感染症(例:結核、細菌性前立腺炎)
  • 良性前立腺肥大症(BPH):前立腺の石灰化の多くはBPHに伴うと考えられている。摘出前立腺298例の病理では88.6%に石灰化があり、多くはBPHに関連していた(Suh 2008)。
  • 前立腺癌
  • 放射線療法
  • 医原性:尿道ステント留置や手術などが原因となる場合がある。

前立腺の石灰化と臨床症状

  • 前立腺石灰化は、通常臨床的に問題になることは少ないが、排尿困難、血尿、閉塞、骨盤痛、または会陰部痛などの症状と関連しているとも報告されている。
  • 前立腺尿道周囲に位置する石灰化は導管を閉塞させ、炎症を引き起こし、最終的に線維化や組織の硬化につながり、下部尿路症状(LUTS:Lower Urinary Tract Symptoms)を引き起こすと考えられている。
  • まれに、石灰化が尿道から排出されることもある。
  • CTでは石灰化のある人、特にCT値100HU以上の濃い石灰化がある人で排尿症状のスコア(IPSS)が高かった(Kim 2025)。また、石灰化が広い範囲にある場合や尿道の周りにある場合に、慢性前立腺炎の症状が強い傾向が報告されているが、いずれも観察研究で因果関係ははっきりしていない(Bhowmik 2026)。

前立腺の石灰化の画像所見

  • 前立腺石灰化は、CT画像で最もよく検出する。石灰化の正確な位置、サイズ、数を詳細に評価することが可能。石灰化は両側性に見られ、後葉および側葉に認められるが、片側性に見られることもある。CTを用いた研究では、石灰化の大部分が中心帯(79.3%)に位置し、次いで尿道周囲帯(48.6%)、移行帯(42.0%)であった。
  • 超音波検査(エコー)では小さな石灰化は超音波ノイズの中に紛れて識別が難しい場合がある。エコーで見られる小さく多発する石灰化は加齢に伴う偶然所見であることが多い一方、大きく粗い石灰化は慢性前立腺炎・慢性骨盤痛症候群の症状と関連していたと報告されている。
  • またMRIにおいても信号強度のばらつきや病変の小ささのため、前立腺内の石灰化を検出するのに限界がある。

症例 60歳代男性 スクリーニング

前立腺に右優位に石灰化を認めています。上記のエリアでいうと中心帯に相当します。

また、前立腺静脈叢の一部に石灰化を認めており、静脈石を疑う所見です。

尿管結石などと間違えないように注意が必要です。

いずれも特に病的意義はないと判断できます。

関連記事:輸精管の石灰化のCT画像診断

前立腺の石灰化でよくある疑問(Q&A)

Q. 前立腺の石灰化は治りますか?直し方はありますか?
A. 症状がなければ石灰化そのものを取り除く治療は行いません。排尿時の痛み・残尿感・会陰部の痛みなどがある場合は、前立腺炎や前立腺肥大症の症状として泌尿器科で治療を相談します。

Q. 石灰化があると前立腺がんになりやすいのですか?
A. 石灰化は前立腺がんの患者さんにもよくみられ(PSMA-PET/CTとMRIを受けた前立腺がん85人の54%: Singh 2021)、がんのない人にも多いため、石灰化だけでがんの有無は判断できません。摘出前立腺298例でも、がんの部分に一致した石灰化は4例だけでした(Suh 2008)。がんが心配な場合はPSA検査などで確認します。

参考文献・出典

▶ ほかの所見も調べる:健診・人間ドックの画像検査で言われやすい所見一覧

  1. Suh JH, Gardner JM, Kee KH, et al. Calcifications in prostate and ejaculatory system: a study on 298 consecutive whole mount sections of prostate from radical prostatectomy or cystoprostatectomy specimens. Ann Diagn Pathol. 2008;12(3):165-170. PubMed
  2. Geramoutsos I, Gyftopoulos K, Perimenis P, et al. Clinical correlation of prostatic lithiasis with chronic pelvic pain syndromes in young adults. Eur Urol. 2004;45(3):333-337. PubMed
  3. Bhowmik P, Shafiq MU, Krishan A, et al. Prostatic calculi in men with chronic prostatitis and chronic pelvic pain syndrome: A systematic review (2015-2025). Urol Ann. 2026;18(3):235-245. PubMed

画像診断を無料で学べるコンテンツ

腹部画像診断を症例で学ぶ
無料講座

腹部画像診断を症例で学ぶ

4日に1回、朝6時に症例が届き、実際に画像をスクロールして読影する講座です。90症例以上・1年以上続く講座で、医師・医学生・放射線技師・看護師など10,000名以上が参加中です。

講座に参加する(無料) →
胸部レントゲンの正常解剖を31日で
無料講座

胸部レントゲンの正常解剖を31日で

1日3分、全31日で胸部レントゲンの正常解剖の基礎を学ぶ参加型の講座です。全日程に簡単な動画解説が付いています。

講座に参加する(無料) →
画像診断LINE公式アカウント
登録特典あり

画像診断LINE公式アカウント

新しい企画やモニター募集のお知らせを配信しています。登録すると特典として、脳の血管支配域のミニ講座に無料で参加できます。

LINEで友だち追加 →