再生不良性貧血
・再生不良性貧血は、末梢血でのすべての血球の減少と骨髄の細胞密度の低下を特徴とする疾患である。
・先天性と後天性があり、後者には1次性(特発性) と2次性がある。多くは特発性で、2次性には薬剤性や放射線照射後の骨髄の脂肪化が含まれる。長期生存例では、後に骨髄異形成症候群や急性骨髄性白血病へ移行する例もある。
再生不良性貧血のMRI画像所見
・高度に脂肪髄化した骨髄は、MRIのT1強調像ではびまん性の均一な高信号を呈し,STIR像では低信号となる。
・放射線治療後では、照射野に一致した骨髄の脂肪化が認められる。
・慢性例や治療後の再生不良性貧血では、低形成の骨髄内にT1強調像で結節状または不均一な斑状の低信号域が認めら れることがあり、島状の造血巣と考えられる。
・骨髄 MRI所見は造血機能を表す指標となるので、本症の重症度の判定や経過観察に有用。
・ガイドラインでは、骨髄造血能のSTIR画像による分類として楠本らの4型を提唱している。
- 1型:高信号域が極めて少ないもの(典型的な脂肪髄)→重症再生不良性貧血はこれ。
- 2型:高信号域が椎体周辺にみられる正常パターンと考えられるもの
- 3型:高信号域の分布が正常パターンを取らず不均一なもの
- 4型:高信号域が増加し分布が均一なもの(典型的な細胞髄)
※骨髄異形成症候群は3,4型を取ることが多い。しかし低形成性MDSは1型を取ることもあり,また中等症再生不良性貧血の多くは3型を取るため,MRIによって両者
を鑑別することは困難。
参考)T1強調像で骨髄の信号が上昇する病態
- 脂肪髄(加齢を含める)
- 変性(Modic type2)
- 放射線照射
- 再生不良性貧血
- 血管腫
- 出血
- ステロイド投与