「お隣のおばあさんが、大腿骨頸部骨折(だいたいこつけいぶこっせつ)をしたらしいよ!」
「そうなの?でも、そもそも大腿骨って場所はどこ?」

高齢化社会となり、寝たきりや要介護の大きな原因の一つとなる大腿骨頚部骨折ですが、

  • 大腿骨の場所がどこにあるのか
  • 大腿骨頸部の場所はどこなのか

そのような疑問を持たれる方も多いと思います。

そこで今回は、大腿骨(「だいたいこつ」英語表記で「Femur」)の場所(位置)や解剖について図(イラスト)や実際のレントゲン画像、CT画像、MRI画像を用いて解説しました。

大腿骨って、どんな骨なの?

太ももの中にある、体でいちばん長くて太い骨です。上は骨盤と股関節を、下はすねの骨と膝関節をつくっているんですよ。

先に結論:大腿骨の場所と部位

  • 大腿骨は太ももの中にある体でいちばん長く太い骨で、上は股関節、下は膝関節をつくります
  • 上から骨頭・頸部・大転子/小転子・骨幹・顆部に分かれ、高齢者の転倒では頸部・転子部の骨折が多く、寝たきりの原因になりやすいため早期の手術が勧められます(Bhandari 2017)
  • レントゲン・CT・MRIでの位置関係を知っておくと、骨折や大腿骨頭壊死などの説明が理解しやすくなります

大腿骨の場所はココ!

ズバリ・・・大腿骨は、太ももの太い骨です!

股から膝までの長くて強大な骨で、上は股関節、下は膝関節と接しています。

長さは身長に比例します1)。

大腿骨の場所をCT、MRI画像でチェック

大腿骨を実際のCT画像で確認してみましょう。

症例 50歳代男性

下肢CTの冠状断像です。

前から見た図と考えてください。

ふとももの真ん中あたりに左右に認める太い骨が大腿骨です。

大腿骨より下に見えているのは下腿の骨である脛骨(けいこつ)です。
下腿にはこの脛骨と腓骨(ひこつ)(この画像ではみえていません)があります。

 

大腿骨のMRIの画像も見てみましょう。

症例 50歳代男性

MRIのT2強調像の冠状断像です。

両側の大腿骨の様子がわかります。

大腿骨の場所がわかりましたね。

 

では骨折が起こりやすい大腿骨頸部とはどこなのでしょうか?
次に大腿骨自体の構造、解剖を見てみましょう。

大腿骨の構造・解剖は?

大腿骨の解剖を図で表すと次のようになります。

大腿骨の上にあたる部分を大腿骨頭といい(2/3が球面)、その部分は寛骨臼と股関節にはまっており、関節面には大腿骨頭靭帯がつきます(大腿骨頭のほぼ中央には大腿骨頭窩がある)。

また、その下は大腿骨頚(少し細い短円柱状で大腿骨頭に続いて屈曲して大腿骨体に移行)といい、大転子・小転子といった部位があります。

そして、大腿骨の下にあたる部分は遠位端といい左右に張り出した形状をしており、それぞれを内側顆・外側顆、その間を顆間窩(後面で深い凹み)といいます。

 

大腿骨に起こりやすい問題・疾患は?

大腿骨に起こる疾患を挙げると、

  • 大腿骨骨折(近位部骨折・頚部骨折・幹部骨折)
  • 大腿骨壊死(特発性大腿骨頭壊死症)
  • ペルテス病・・・小児期に大腿骨頭(骨端部)で血流障害が起きて骨壊死をきたす
  • 大腿骨頭すべり症・・・骨端が頚部に対して後内方にすべる

などが挙がります2)。

中でも頻度が高い大腿骨骨折は次のように、骨折が起こる場所により分類されます。

とくに大腿骨骨折は場所により病名が異なるものの、高齢者に多い病態で、歩行困難ともなるため「寝たきり」の原因ともなります。

足の付け根のところで骨折が起こるのが大腿骨頸部骨折です。

一つ大腿骨頸部骨折の画像を見てみましょう。

症例 70歳代女性 転倒

股関節のレントゲン画像です。

左に比べて右の大腿骨頸部は短縮を認めています。

大腿骨頸部骨折と診断されました。なお、高齢者で股関節部の骨折が疑われるのにレントゲンで明らかな骨折が見えない場合でも、MRIで手術が必要な骨折(不顕性骨折)が見つかる頻度は約39%と報告されています(Haj-Mirzaian 2020)。80歳以上(44%)や外傷歴のある人(41%)ではさらに高く、痛みが強いときはMRIなどの追加検査を考えます。

股関節レントゲンで大腿骨頸部骨折を見るポイント

見るところ 骨折を疑う所見
左右の比較 痛い側の頸部が短い・形が違う(上の症例のように左右を並べて比べるのが基本)
骨の輪郭(皮質) 頸部の骨の縁に段差・とぎれがある
骨の中の模様(骨梁) 骨梁の線が途中で折れ曲がる、骨どうしが食い込んだ部分が白い帯(硬化線)に見える
シェントン線 閉鎖孔の上縁から大腿骨頸部の内側へつながるなだらかな弧がずれている
脚の向き 脚が外向きにねじれて写り、小転子がいつもより大きく見える

ずれの少ない骨折はレントゲンで見えにくいため、所見がなくても痛みが続くときはCTやMRIで確認します。足の付け根の痛みで歩けないときは、早めに整形外科を受診してください。

関連記事:大腿骨頸部骨折と転子部骨折の違い|レントゲン・CT画像所見と治療(人工骨頭・骨接合)

参考文献:
1)解剖学講義P143〜145 
2)整形外科疾患ビジュアルブック  P302〜311
イラスト解剖学 第4版P100

最後に

大腿骨について、ポイントをまとめます。

  • 大腿骨は、太もも(大腿)の太い骨のこと
  • 股から膝までの長くて強大な骨で、長さは身長に比例する
  • 大腿骨は、上の部分を大腿骨頭・その下が大腿骨頚・下は遠位端といい内側顆と外側顆がある
  • 大腿骨に起こる疾患で最も重要で、寝たきりの原因にもなるのが大腿骨頚部骨折である

 

大腿骨の場所、大腿骨頸部の場所、ご理解いただけましたでしょうか。

参考になれば幸いです<(_ _)>

  1. Bhandari M, Swiontkowski M. Management of Acute Hip Fracture. N Engl J Med. 2017;377(21):2053-2062. PubMed
  2. Haj-Mirzaian A, Eng J, Khorasani R, et al. Use of Advanced Imaging for Radiographically Occult Hip Fracture in Elderly Patients: A Systematic Review and Meta-Analysis. Radiology. 2020;296(3):521-531. PubMed

画像診断を無料で学べるコンテンツ

腹部画像診断を症例で学ぶ
無料講座

腹部画像診断を症例で学ぶ

4日に1回、朝6時に症例が届き、実際に画像をスクロールして読影する講座です。90症例以上・1年以上続く講座で、医師・医学生・放射線技師・看護師など10,000名以上が参加中です。

講座に参加する(無料) →
胸部レントゲンの正常解剖を31日で
無料講座

胸部レントゲンの正常解剖を31日で

1日3分、全31日で胸部レントゲンの正常解剖の基礎を学ぶ参加型の講座です。全日程に簡単な動画解説が付いています。

講座に参加する(無料) →
画像診断LINE公式アカウント
登録特典あり

画像診断LINE公式アカウント

新しい企画やモニター募集のお知らせを配信しています。登録すると特典として、脳の血管支配域のミニ講座に無料で参加できます。

LINEで友だち追加 →