「お隣のおばあさんが、大腿骨頸部骨折(だいたいこつけいぶこっせつ)をしたらしいよ!」
「そうなの?でも、そもそも大腿骨って場所はどこ?」
高齢化社会となり、寝たきりのもっとも多い原因となる大腿骨頚部骨折ですが、
- 大腿骨の場所がどこにあるのか
- 大腿骨頸部の場所はどこなのか
そのような疑問を持たれる方も多いと思います。
そこで今回は、大腿骨(「だいたいこつ」英語表記で「Femur」)の場所(位置)や解剖について図(イラスト)や実際のレントゲン画像、CT画像、MRI画像を用いて解説しました。
大腿骨の場所はココ!
ズバリ・・・大腿骨は、太ももの太い骨です!
股から膝までの長くて強大な骨で、上は股関節、下は膝関節と接しています。
長さは、37〜41cmで、身長に比例します1)。
大腿骨の場所をCT、MRI画像でチェック
大腿骨を実際のCT画像で確認してみましょう。
症例 50歳代男性
下肢CTの冠状断像です。
前から見た図と考えてください。
ふとももの真ん中あたりに左右に認める太い骨が大腿骨です。
大腿骨より下に見えているのは下腿の骨である脛骨(けいこつ)です。
下腿にはこの脛骨と腓骨(ひこつ)(この画像ではみえていません)があります。
大腿骨のMRIの画像も見てみましょう。
症例 50歳代男性
MRIのT2強調像の冠状断像です。
両側の大腿骨の様子がわかります。
大腿骨の場所がわかりましたね。
では骨折が起こりやすい大腿骨頸部とはどこなのでしょうか?
次に大腿骨自体の構造、解剖を見てみましょう。
大腿骨の構造・解剖は?
大腿骨の解剖を図で表すと次のようになります。
大腿骨の上にあたる部分を大腿骨頭といい(2/3が球面)、その部分は寛骨臼と股関節にはまっており、関節面には大腿骨靭帯がつきます(大腿骨頭のほぼ中央には大腿骨頭窩がある)。
また、その下は大腿骨頚(少し細い短円柱状で大腿骨頭に続いて屈曲して大腿骨体に移行)といい、大転子・小転子といった部位があります。
そして、大腿骨の下にあたる部分は遠位端といい左右に張り出した形状をしており、それぞれを内側顆・外側顆、その間を顆間窩(後面で深い凹み)といいます。
大腿骨に起こりやすい問題・疾患は?
大腿骨に起こる疾患を挙げると、
- 大腿骨骨折(近位部骨折・頚部骨折・幹部骨折)
- 大腿骨壊死(特発性大腿骨頭壊死症)
- ペルテス病・・・成長期に大腿骨頭骨橋で血流障害が起きて骨壊死をきたす
- 大腿骨頭すべり症・・・骨端が頚部に対して後ろにすべる
などが挙がります2)。
中でも頻度が高い大腿骨骨折は次のように、骨折が起こる場所により分類されます。
とくに大腿骨骨折は場所により病名が異なるものの、高齢者に多い病態で、歩行困難ともなるため「寝たきり」の原因ともなります。
足の付け根のところで骨折が起こるのが大腿骨頸部骨折です。
一つ大腿骨頸部骨折の画像を見てみましょう。
症例 70歳代女性 転倒
股関節のレントゲン画像です。
左に比べて右の大腿骨頸部は短縮を認めています。
大腿骨頸部骨折と診断されました。
参考文献:
1)解剖学講義P143〜145
2)整形外科疾患ビジュアルブック P302〜311
イラスト解剖学 第4版P100
最後に
大腿骨について、ポイントをまとめます。
- 大腿骨は、太もも(大腿)の太い骨のこと
- 股から膝までの長くて強大な骨で、身長に比例して37〜41cmある
- 大腿骨は、上の部分を大腿骨頭・その下が大腿骨頚・下は遠位端といい内側顆と外側顆がある
- 大腿骨に起こる疾患で最も重要で、寝たきりの原因にもなるのが大腿骨頚部骨折である
大腿骨の場所、大腿骨頸部の場所、ご理解いただけましたでしょうか。
参考になれば幸いです<(_ _)>