Chance型骨折/Chance骨折(Chance fracture)
- 胸腰椎移行部に多い伸延損傷(distraction injury)。
- 椎体・椎弓根・椎弓を含めた横骨折。middle columnを横断する。
- 以前はシートベルト損傷として知られていたが、近年は高齢者の転倒によるものも増えている。
- シートベルト装着下では、躯幹部の過屈曲と強い腹部圧迫を伴う。
- 通常の過屈曲損傷では椎体部分を力点として椎体前方に圧迫が加わるが、Chance型骨折ではより前方を力点とし、脊椎に伸延・牽引が加わる。
- 脊椎の前方に圧迫・軸圧が加わるため同時に腸間膜や腸管の臓器損傷を伴うことがある。
症例 20歳代男性
引用:radiopedia
L3 椎体には粉砕骨折を認め、骨折線は棘突起にまで及んでいます。
また椎体の骨折による偏位により、重度の脊柱管狭窄症を認めています。
Chance型骨折を疑う所見です。
脊椎の前方に圧迫・軸圧が加わることにより、骨折が椎体のみでなく後方成分まで及んでいると考えられます。
参考文献:
- 画像診断 Vol.37 No.10 2017 P1037
- 画像診断 Vol.33 No.14 2013 P1593
- すぐ役立つ救急のCT・MRI 改訂第2版 P361