大動脈乳頭(aortic nipple)とは?
- 正常では左第2−4肋間静脈は副半奇静脈に合流して、そこから左(最)上肋間静脈が、左腕頭静脈へ流入する。
- 胸部レントゲンにおいて、約10%の頻度で、左(最)上肋間静脈が大動脈弓の外側に沿って走行し、大動脈から乳頭(nipple)が突出したように見え、これを大動脈乳頭(aortic nipple)と呼ぶ。
- 大動脈乳頭(aortic nipple)自体には、特に病的意義はない。
- 左腕頭静脈閉塞や上大静脈症候群を起こしている場合は、左(最)上肋間静脈が側副路として拡大していることがあり、この大動脈乳頭(aortic nipple)が目立つ場合がある。
症例 30歳代女性
引用:radiopedia
胸部レントゲンの正面像の大動脈弓部のところを拡大したものです。
大動脈弓部から上外側に突出像を認め、大動脈乳頭(aortic nipple)を疑う所見です。
CTでは横断像で、左上肋間静脈が大動脈弓の外側に沿って走行している様子がわかります。
また、冠状断像ではレントゲンと同じように大動脈から乳頭(nipple)を形成しているように見えます。
ちなみに横断像では、副半奇静脈から左上肋間静脈が大動脈弓部の外側に向かって走行し、左腕頭静脈に合流する様子がよくわかります。。
参考文献:画像診断 Vol.41 No.6 2021 P544-5