蝶形椎体(butterfly vertebra)
- 椎体は左右の軟骨化中心から形成されるが、これが正中で癒合不全を来すと蝶形椎体(butterfly vertebra)となる。
- 腰椎に好発する。
- 他の脊椎奇形や縦隔、尿路、消化器奇形を合併することがある。
- 通常は無症状で偶発的に見つかるが、分離した矢状裂に椎間板ヘルニアをきたすこともある。
- 椎体の左右の軟骨化中心が片側しか発生しないと、hemivertebra(半椎)となる。
蝶形椎体(butterfly vertebra)の画像所見
- CTやMRIの冠状断像やレントゲン正面像であたかも椎体が蝶の形をしたように中心部のみに凹みを認める。
- 圧迫骨折と間違えないように注意。
症例 40歳代男性
引用:radiopedia
椎体 L1 の中心に凹みあり。蝶形椎体を疑う所見。
側弯あり。
関連記事:隅角解離の画像診断(limbus vertebra)
参考文献:
- 骨軟部疾患の画像診断 第2版 P302-3
- 画像診断に絶対強くなるツボをおさえる! P142-4
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いつも勉強させていただいてます。
質問なのですが、初期の圧迫骨折の見分け方は前方成分が両側ともに潰れているかの判断でよろしいでしょうか?
また、蝶形椎体の場合、前後椎体の肋骨、棘突起に癒合形成を起こすことはありますでしょうか?
コメントありがとうございます。
>初期の圧迫骨折の見分け方は前方成分が両側ともに潰れているかの判断でよろしいでしょうか?
両側のことが多いですが、片側のみ前方が軽度に潰れる(非対称)こともあるためこの所見だけで初期の圧迫骨折かどうかを判断する基準にはならないと思います。
悩ましい場合はMRIが撮影できたらわかりますが・・・。
>蝶形椎体の場合、前後椎体の肋骨、棘突起に癒合形成を起こすことはありますでしょうか?
通常、単独で存在し、周囲の正常椎体との癒合を伴わないことが多いです。
ただし、他の先天奇形(Klippel-Feil症候群など)を合併する場合は、隣接椎体や肋骨、棘突起との癒合(synostosis)を伴うことがあります。