先に結論:視路(見えたものが脳に届く道)の順番と場所
| 順番 | 部位 | 場所・ポイント |
|---|---|---|
| 1 | 網膜→視神経 | 眼球の後ろから頭蓋内へ |
| 2 | 視交叉 | 下垂体の上。左右の目の鼻側(内側)の線維だけが交差する |
| 3 | 視索(しさく) | 視交叉から後ろへ、大脳脚をまわりこむ |
| 4 | 外側膝状体 | 視床の後下部(視床枕の下外側)にある中継点。中脳の大脳脚の外側、側脳室下角の上内側。MRIでは見分けにくい |
| 5 | 視放線(しほうせん) | 側脳室の下角〜後角の外側に沿って後ろへ扇状に広がる線維(前の部分はマイヤーループ) |
| 6 | 一次視覚野 | 後頭葉の内側、鳥距溝(ちょうきょこう)のまわり(ブロードマン17野) |
視交叉より後ろ(視索〜視覚野)が片側で障害されると、両目とも反対側の視野が半分見えなくなる(同名半盲)。視交叉の障害(下垂体腺腫など)では両耳側半盲になります。
外側膝状体はどこ?→視床のいちばん後ろの下側にある小さな膨らみで、視索の終点です。MRIの横断像では中脳(大脳脚)が見える高さで、大脳脚の外側後方、冠状断では海馬と側脳室下角の上内側が目印です。
外側膝状体はどこ?MRIで探すときの目印
外側膝状体(がいそくしつじょうたい)は、視床の後部の下面にある小さな神経核で、網膜からの情報を視覚野へ中継する場所です。単独では見つけにくいので、まわりの構造から位置を絞り込みます。
| 目印 | 外側膝状体との位置関係 |
|---|---|
| 視索 | 視交叉から大脳脚の外側をまわって後ろへ走り、その終点が外側膝状体 |
| 視床枕 | 外側膝状体は視床枕の下外側にぶら下がるように位置する |
| 内側膝状体 | 聴覚の中継核。外側膝状体のすぐ内側に並ぶ |
| 大脳脚・迂回槽 | 横断像で中脳の高さ、大脳脚の外側後方で迂回槽に面する |
| 側脳室下角・海馬 | 冠状断で海馬と側脳室下角(側頭角)の上内側 |
| 視放線 | 外側膝状体から始まり、側脳室の外側を後頭葉へ向かう |
1.5TのMRIで8人の健常者を撮像した研究では、外側膝状体はプロトン密度強調像の横断像で全例、周囲の白質より高信号の小さなくさび形として見え、視覚刺激で活動した視床の領域(23±3 mm²)と位置が一致しました(Fujita 2001)。T1強調像・T2強調像では周囲の白質とのコントラストが小さく、見分けにくいとされています(Fujita 2001)。
通常の頭部MRI(T2強調像・FLAIR)では外側膝状体そのものの輪郭は追いにくいため、「視索をたどって、視床の後下端で終わるところ」と考えると位置をつかみやすくなります。
視路の局所解剖
- 網膜で視覚信号を感知した後、視神経→視交叉→視索→外側膝状体→視放線→後頭葉の一次視覚野に到達する。
- 後頭葉の一次視覚野はブロードマン第17野に相当し、後頭葉の内側から後端にかけて存在する。
- 後頭葉内側には鳥距溝(読み方は「ちょうきょこう」)があり、一次視覚野はその周囲に存在する。
- 視放線は外側膝状体からはじまり、側脳室の下角から後角に沿うように走行する。

視路の障害部位と視野の欠け方
| 障害部位 | 視野の欠け方 |
|---|---|
| 視神経 | 障害側の目だけが見えにくい |
| 視交叉(下垂体腺腫など) | 両耳側半盲(両目の外側半分が欠ける) |
| 視索・外側膝状体 | 反対側の同名半盲 |
| 側頭葉の視放線(マイヤーループ) | 反対側の上4分の1の同名性欠損 |
| 頭頂葉の視放線 | 反対側の下4分の1の同名性欠損 |
| 後頭葉(鳥距溝の一次視覚野) | 反対側の同名半盲(中心部が残る黄斑回避を伴うことがある) |
視路のMRI画像における同定
- 視神経、視交叉、視索の同定は容易。
- 外側膝状体の同定は難しい。1.5TのMRIでは、外側膝状体はT1強調像やT2強調像では周囲白質とのコントラストが小さく同定しにくいが、プロトン密度強調像では周囲白質より高信号の小さなくさび形の領域として全例で同定でき、視覚刺激によるfMRIの賦活部位とも一致したと報告されている。視床枕の後外側、聴覚の中継核である内側膝状体の外側に位置する。位相差強調画像を用いれば外側膝状体周囲の白質線維を低信号に描出することにより、それらに囲まれた外側膝状体の輪郭が描出される。
- 視放線は側脳室に沿って認められ、T2WIで軽度高信号、T1WIで軽度低信号を呈する構造として同定することができる。
- 視放線を含む白質線維は拡散テンソル画像で側脳室に沿って前後方向に走行する線維束として認められる。
- 鳥距溝は大脳内側面を前後に斜走する脳溝で矢状断像や冠状断像で同定しやすい。

解剖を見ていくと、

網膜→視神経→視交叉

視索→外側膝状体→視放線→視覚皮質
へと伝わります。
(それぞれの場所、特に外側膝状体の場所はおおよそとなります。)
視路を連続画像で見る場合はこちらをクリック。
実際には1スライスでこれらが見えることはありませんが、イメージとして1スライスにまとめて視路、視覚野を書き込むと以下の様なイメージになります。

次に拡散テンソル画像を見てみましょう。

視放線は拡散テンソル画像で側脳室に沿って前後方向に走行する線維束として認められる。
鳥距溝(ちょうきょこう)はどこ?
鳥距溝は、後頭葉の内側面を後頭極の近くから前方へ走る深い脳溝です。前のほうで頭頂後頭溝と合流し、矢状断では横向きの「Y」字のように見えます。
- 鳥距溝の上が楔部(けつぶ)、下が舌状回(ぜつじょうかい)で、この両岸の皮質が一次視覚野です。
- 鳥距溝が深いため、側脳室の後角の内側の壁には鳥距(ちょうきょ)と呼ばれる膨らみができます。
- 矢状断では大脳内側面の後ろ寄り、冠状断では後頭葉の内側に横向きに切れ込む溝として見つけます。
視路でよくある疑問(Q&A)
Q. 鳥距溝(ちょうきょこう)とはどこですか?
A. 後頭葉の内側面を前後に走る脳溝で、前方で頭頂後頭溝と合流します。その上下の皮質が一次視覚野で、上の皮質(楔部)は視野の下半分、下の皮質(舌状回)は視野の上半分を受け持ちます。矢状断・冠状断で見つけやすい構造です。
Q. 外側膝状体はどこにありますか?
A. 視床の後部(視床枕の下外側)にある小さな中継核で、すぐ内側に聴覚の中継核である内側膝状体があります。視索がここで終わり、視放線がここから始まります。
Q. 外側膝状体はCTで見えますか?
A. CTでは周囲の白質との差がほとんどなく、外側膝状体そのものを見分けることはできません。視床・大脳脚・迂回槽の位置からおおよその場所を推定します。
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実際の画像で確かめるには、画像診断cafeの頭部MRIの正常解剖ツールで、スライスを動かしながら構造をタップすると名前が表示されます(無料・登録不要)。全体の見方は頭部MRIの解剖にまとめています。
参考文献:
- 頭部 画像診断の勘ドコロNEO P10
- 画像所見から絞り込む!頭部画像診断やさしくスッキリ教えます P36−7
- 画像診断 Vol.43 No.1 2023 P34-5
- イラスト解剖学 第10版 P753-5
- Fujita N, Tanaka H, Takanashi M, et al. Lateral geniculate nucleus: anatomic and functional identification by use of MR imaging. AJNR Am J Neuroradiol. 2001;22(9):1719-1726. PubMed
- Ebeling U, Reulen HJ. Neurosurgical topography of the optic radiation in the temporal lobe. Acta Neurochir (Wien). 1988;92(1-4):29-36. PubMed
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