大腸癌に対する術式
結腸癌に対する主な術式
- 回盲部切除術
- 右半結腸切除術
- 横行結腸切除術
- 左半結腸切除術
- S状結腸切除術
など。
直腸癌に対する主な術式
- 高位前方切除術(high anterior resection;HAR)
- 低位前方切除術(low anterior resection;LAR)
- 超低位前方切除術(Ultra-low anterior resection;ULAR)
- 括約筋間直腸切除術(intersphinceric resection;ISR)
- 直腸切断術(腹会陰式直腸切断術(abdominoperineal resection;APR)、Miles手術)
などがある。
高位前方切除術と低位前方切除術の違い
- 腹膜翻転部よりも高位で切除するか、低位で切除するかで高位前方切除術と低位前方切除術に分けられる。
各術式の切離ラインと注意点
切離ラインは
- 高位前方切除術(high anterior resection;HAR)
- →低位前方切除術(low anterior resection;LAR)
- →超低位前方切除術(Ultra-low anterior resection;ULAR)
- →括約筋間直腸切除術(intersphinceric resection;ISR)
と下に行くほど、吻合部が肛門側に近くなり、縫合不全のリスクが高くなる。リスクに応じてcovering ストマが造設される。
高位前方切除術(high anterior resection;HAR)
- 腹膜反転部よりも高位で切除する。
低位前方切除術(low anterior resection;LAR)
- 腹膜反転部よりも低位で切除する。
超低位前方切除術(Ultra-low anterior resection;ULAR)
- 低位前方切除術よりもさらに低位で切除する。
括約筋間直腸切除術(intersphinceric resection;ISR)
- 内肛門括約筋のみ切除し、外肛門括約筋は残す。このため肛門からの排便機能はある程度維持される。
直腸切断術/腹会陰式直腸切断術(abdominoperineal resection;APR)/Miles手術
- 直腸切断術は腹腔側と会陰側からのアプローチを併用するため、腹会陰式直腸切断術(abdominoperineal resection;APR)とよばれ、Miles手術も同義。肛門括約筋も含め直腸を切断する。
- 肛門は機能が失われるので閉鎖され、会陰創が残る。
- 閉鎖した肛門の代わりに人工肛門が造設される。
- 吻合部がないので縫合不全は起こらないが、骨盤底に死腔が形成されるため死腔炎のリスクがある。
Hartmann手術
- 一般的にS状結腸から直腸にかけて切除が必要だが、腸閉塞症例や穿孔症例や膿瘍形成、栄養不良状態など縫合不全のリスクが高い場合に、結腸または直腸を切除したのち、自然肛門を残したまま一時的に人工肛門(ストーマ)を造設する術式。
- 状況が改善した後、必要に応じて腸管吻合を行い人工肛門(ストーマ)を閉鎖する。
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参考文献:
- 臨床画像 Vol.38 No.7 増刊号2022 P58-9
- 病気がみえるVol.1 消化器(第6版)電子版