耳下腺間隙(PS:parotid space)とは?
- 深頸筋膜浅葉が耳下腺を囲むことにより形成された領域で、耳下腺・リンパ節・顔面神経・下顎後静脈、外頸動脈が含まれる。
- 上・中咽頭レベルにおいて最外側に位置する間隙で、外耳道から下顎角の範囲に存在する。
- 耳下腺深葉は茎下顎裂(茎突下顎トンネル)を介して傍咽頭間隙方向に伸びている。傍咽頭間隙との間の筋膜は薄く、欠損することもある。このため内側の傍咽頭間隙への耳下腺病変の進展路となることがある。
- 顔面神経の画像での認識は難しいため、すぐ内側を走行する下顎後静脈を指標にする。
- 外頸動脈は耳下腺前縁近くで、下顎枝後縁に近接しながら頭尾方向に走行し、下顎枝後方に見られる2本の血管の内側の細いもの。下顎後静脈は内頸動脈の外側にある。
耳下腺間隙病変の画像所見
- 耳下腺腫瘍では、下顎後静脈を参考に浅葉か深葉かを判定する。
- 顔面神経の走行路を確認し、神経周囲進展の有無を確認する。
- 傍咽頭間隙、咀嚼筋間隙の膿瘍は、腫瘍に比べて耳下腺間隙に進展しやすい。
参考文献:
- 画像診断 Vol.37 No.4 増刊号 2017 P73-4
- 頭頸部 画像診断の勘ドコロNEO P328
- カンゲキするほどわかる頭頸部間隙の画像診断 P96-105