咀嚼筋間隙(MS:Masticator space)とは?
- 深頸筋膜浅葉の厚い筋膜で覆われ、舌骨上部のみに存在し、頭蓋底を底辺とする逆三角形の形を形成する。
- 咀嚼筋(咬筋、側頭筋、外側翼突筋、内側翼突筋の4つ)、下顎骨、三叉神経第3枝(V3)、顎動脈(およびその分枝)、顎静脈などが含まれる。
- 前方で頬間隙、後方で耳下腺間隙、内側後方で傍咽頭間隙(PPS:Parapharyneal space)に接する。
- 咀嚼筋間隙由来の病変は傍咽頭間隙(PPS:Parapharyneal space)を後方へ圧迫する。
- 咀嚼筋間隙由来の病変は下顎骨内と骨外の病変に分けられる。
- 神経に沿った進展や側頭筋に沿った上下方向への炎症の進展を来すことがある。
咀嚼筋間隙病変の画像所見
- 下顎骨内と骨外の病変に分けて考える。
- CTでは骨条件にして下顎骨の所見を確認する。
- 周囲間隙の傍咽頭間隙や頬間隙の脂肪がどのように偏位しているかに着目し、病変の主座を考える。
- 周囲から咀嚼筋間隙に進展した腫瘍の場合、下顎神経を介した神経周囲進展をすることがあるので、卵円孔や海綿静脈洞内に病変がないかをチェックする。
参考文献:
- 画像診断 Vol.37 No.4 増刊号 2017 P72
- 頭頸部 画像診断の勘ドコロNEO P200
- カンゲキするほどわかる頭頸部間隙の画像診断 P82-95