腎結核
- 肺・骨・消化管など他臓器の初発結核巣から腎への血行性感染で生じる。
- 肺結核からの血行性播種性転移が最多。ただし、同時期に活動性肺結核を有するものは5%と少ない
- 肺結核の肺外病変として腎結核は15-20%と最多。
- 症状は、乏尿、排尿困難、血尿、腹痛などさまざま。
- 片側の腎に発症することが多い。
- 皮髄境界に乾酪壊死巣、空洞を形成、癒合拡大を示す。
- 漏斗部に瘢痕収縮による狭窄を生じると腎杯の拡張を来す。腎盂拡張のない病変部腎杯の拡張が特徴的。
腎結核のCT画像診断
- 画像では、初期には所見に乏しい。
- 初期は腎の大きさは正常で、腎盂の表面に軽度の不整がみられる程度。
- 肉芽腫が低吸収域としてみられるようになり、単発・多発腫瘤を形成。石灰化と乾酪壊死を認めるようになる。
- さらに進行すると、皮質の不整、菲薄化、萎縮が起こり、最終的には、腎全体に実質の破壊を生じ腎の著明な萎縮、石灰化をきたし、いわゆる漆喰腎となる。
- 排池性尿路造影の腎乳頭の不整な虫食い像。
- 腎杯頚部の狭窄を生じると、 腎盂拡張を伴わない腎杯拡張。
症例 70歳代女性 漆喰腎
右腎皮質から髄質にかけて著明な石灰化および腎萎縮を認めており、漆喰腎と診断されました。
動画で学ぶ漆喰腎
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漆喰腎は初めて知りました。海綿腎との区別は石灰化が髄質にあるか皮質にあるかの違いとの認識で良いでしょうか?
コメントありがとうございます。
☑️海綿腎は両側のことが多い。
☑️漆喰腎は片側のことが多い。
☑️漆喰腎は皮質から髄質にびまん性に石灰化が及ぶことが多い。また萎縮も認める。
☑️漆喰腎は肺野やリンパ節などにも石灰化肉芽腫を認めることがある。
あたりで鑑別ですかね。
漆喰腎は皮質から石灰化を来しますが最終的には髄質にも及びますので、腎の石灰化では皮質、髄質両方に起こるようです。皮質の石灰化として掲載されている教科書もありますが、「知っておきたい泌尿器のCT、MRI改定第2版P199」によると髄質の方に分類されていますので、記事も修正しました。
結核は片側だけに所見がみられるのでしょうか?
頸動脈を見ていたときにも、片側だけのリンパセツ腫大に対して鑑別に結核がありました。
片側のみに認めることはしばしばあります。