子宮留膿腫(Pyometra)とは?

  • 子宮留膿腫は子宮頸管の狭窄や閉塞により、子宮腔内分泌物の排出障害をきたし、これに細菌感染が生じて、子宮内腔に膿が貯留した状態。
  • 加齢に伴う感染防御能低下、寝たきりや認知障害などADLの低下、尿便失禁の合併による清潔度の低下を背景としていることが多いため、高齢者に多くみられる。
  • 頸管狭窄や閉塞に伴う排泄障害の原因として、子宮体癌、頸癌などの悪性腫瘍を合併するものは22~33%程度。
  • 流出路の狭窄や閉鎖を来す子宮や膣の奇形、放射線治療による頸管炎、加齢に伴う子宮内膜萎縮、頸管狭窄も原因となる。
  • 感染経路は上行性感染が最も多く、レンサ球菌、大腸菌などの好気性菌が半数を占めるが、バクテロイデス属などの嫌気性菌との混合感染も多くみられる。
  • 症状は膿性帯下、不正性器出血、下腹部痛が三徴とされる。
  • 膿や壊死物質の貯留により子宮内圧が高まると子宮収縮をきたし、下腹痛とともに膿が排出され腹痛が消失する現象(Simpson徴候)が特徴的。
  • 無症状で、不明熱のみを呈する症例も多くみられる。
  • 閉経後、高齢者で頸管が閉鎖した際に、少量の子宮留水症が見られることがある。閉経後女性での頻度は8.9%とした報告もあり、必ずしも病的所見とはいえない。
  • 子宮留膿腫自体は予後良好な慢性疾患であるが、重症化すると子宮内腔は拡張し、筋層に炎症が波及して、筋層の脆弱化、伸展、菲薄化を来す。さらに子宮が破裂し、急性腹症を呈することがある。この場合は消化管穿孔による汎発性腹膜炎に類似する症例を認め臨床的に鑑別を要する。関連記事:腹膜炎の原因・CT画像診断のポイント!

子宮留膿腫(Pyometra)の画像所見

  • 画像所見では、子宮内腔の拡大および内腔に液体貯留(貯留した膿や壊死組織を反映して水あるいは軟部濃度)を認める。貯留腔拡大に伴う子宮腫大とともに壁は引き伸ばされ菲薄化する。
  • 大腸菌、嫌気ガス産生菌が繁殖すると内腔にairを伴うことがある。ただし頻度は低い。
  • 内膜に一致する造影増強効果を認めるが、子宮腫瘍合併のない場合は比較的均一である。
  • MRIでは、T2強調像で高信号、T1強調像で低信号を呈し、ときに層状構造を伴うこともあるが、T1強調像では血腫ほどの高信号は示さない。内容液は膿性を反映して、DWI高信号、ADC低信号を認める。
子宮留水症・留膿症・留血症の鑑別診断
T1WI,T2WI DWI/ADC
子宮留水症 T1WI低信号、T2WI高信号 高信号/高信号(拡散制限なし)
子宮留膿症 T1WI低信号、T2WI高信号 高信号/低信号(拡散制限あり)
子宮留血症 出血の時期に依存するが、多くの場合はT1WIで高信号 拡散制限なし〜あり

 

参考文献:

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