先に結論:脛骨天蓋骨折(ピロン骨折)
- ピロン骨折は、高い所からの転落や交通事故などでかかとから強い力が縦にかかり、すねの骨(脛骨)の足首側の関節面が距骨に突き上げられて割れる骨折です。腓骨骨折を伴うことが多く、関節面の粉砕・陥没が問題になります
- 足首の内くるぶし・外くるぶしが折れる果部骨折とは異なり、関節の天井そのものが壊れるため、治療が難しく、変形性足関節症を残しやすい骨折です
- 骨片の位置・関節面の段差を正確に知るため、CT(MPR・3D)での評価が手術計画に欠かせません。Rüedi-Allgöwer分類やAO/OTA分類が使われます。腫れが強いため、まず創外固定をして腫れが引いてから手術することもあります
※高い所から落ちて足首が腫れ、体重をかけられないときは、すぐに救急を受診してください。
脛骨天蓋骨折(pilon骨折)1)-3)
- 脛骨の長軸方向から足関節に向かう強い軸圧がかかることで発症する。
- 関節面に軸圧がかかることによって生じた関節内骨折であり、整復や内固定が困難。
- 脛骨天蓋骨折のほか、pilon骨折(ピロン骨折)、plafond骨折(プラフォン骨折)と呼ばれることがある。
- 脛骨骨折の3〜10%を占める(Dreisbach 2026)。
- 高所転落や車の正面衝突などの高エネルギー外傷による軸圧で起こることが多いが、低エネルギーのねじれる力で起こることもある(Dreisbach 2026)。
- pilonはフランス語で「すりこぎ棒」という意味。脛骨関節面(すりこぎ棒)が距骨(すり鉢)に強く当たってすりこぎ棒が折れるという語源。その結果、脛骨が関節面から骨折をするが、腓骨骨折も合併することが多い。
- Rüedi分類(リュエデイ)がよく用いられる。単純X線とCTを比較した検討では、CTで骨片数・陥没・粉砕の程度がより多く判明し、22例中14例(64%)で手術計画が変更された(Tornetta 1996)。また126例のピロン骨折を解析した研究では、骨折線は矢状方向と冠状方向の2系統(10型)に大別され、そのパターンは外傷エネルギー・外力の向き・年齢で決まるとされる(Topliss 2005)。

脛骨天蓋骨折(pilon骨折)と足関節果部骨折の違い2)
足関節を天蓋(テント)に見立てて、天蓋(テント)そのものの破損が脛骨天蓋骨折(pilon骨折)であり、それを支える支柱の破損が果部骨折(外果・後果・内果骨折)と考えると理解しやすい。

Rüedi分類

- TypeⅠ:転位のほとんどない亀裂骨折
- TypeⅡ:比較的大きい骨片で関節面の粉砕はないが、明らかな転位を認める骨折
- TypeⅢ:天蓋部の粉砕や圧迫骨折
- TypeⅡ、Ⅲは手術が検討されることが多い。
あわせて読みたい:脛骨高原骨折(プラトー骨折)とは?原因と分類(Schatzker分類)、レントゲン・CT画像診断のポイント
参考文献:
- 依光 正則. ピロン骨折. 臨床整形外科 56(5):573-576, 2021
- 骨折ハンター P274-276
- レジデントノート Vol.21 No.17(増刊)2020 P187-189
- Topliss CJ, Jackson M, Atkins RM. Anatomy of pilon fractures of the distal tibia. J Bone Joint Surg Br. 2005;87(5):692-7. PubMed
- Tornetta P 3rd, Gorup J. Axial computed tomography of pilon fractures. Clin Orthop Relat Res. 1996;(323):273-6. PubMed
- Dreisbach R, Gabel J, Stuby F, et al. [Pilon Tibial Fractures – What Can We Achieve?]. Z Orthop Unfall. 2026. PubMed
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