大動脈後性左腎静脈(retroaortic left renal vein)
- 本来左腎静脈は大動脈の腹側から下大静脈に合流するが、大動脈後性左腎静脈は文字通り大動脈の後を通って下大静脈に合流する奇形。
- 左腎静脈が椎体と大動脈の間に挟まれてナットクラッカー現象と同様の機序で血尿を起こすことがある。
- 本邦における頻度は剖検例で0.75%。
- 左腎静脈の異常として、大動脈の背側を走行する大動脈後性左腎静脈の他に、前後を走行する大動脈周囲(回旋)左腎静脈(circumaortic left renal vein)がある。
- 腹部大動脈瘤手術の際や腎臓移植のためドナーとして採取する場合に注意が必要。
下大静脈フィルタを留置する際に注意すべき奇形
- 重複下大静脈
- 左下大静脈
- 大動脈後左腎静脈(retroaortic left renal vein)
- 大動脈周囲(回旋)左腎静脈(circumaortic left renal vein)
症例 50歳代 男性
腎静脈が大動脈の背側を通して下大静脈に合流しています。
大動脈後性左腎静脈を疑う所見です。