ナットクラッカー症候群(現象)(nutcracker)

  • 左腎静脈捕捉症候群やナットクラッカー症候群、ナットクラッカー現象、クルミ割り現象などと呼ばれる。
  • 大動脈と上腸間膜動脈の間に挟まれた左腎静脈がうっ滞した状態で、左腎静脈圧の上昇により腹痛や血尿などの症状がある場合にナットクラッカー現象陽性と呼ばれる。
  • 画像的にあたかもクルミがクルミ割り器に挟まっているかのようにみえるためこのように呼ばれる。
  • 左腎静脈の圧上昇により、静脈側副血行路が発達し、左卵巣静脈が拡張した骨盤内うっ滞症候群や左精巣静脈が拡張することによる精巣静脈瘤の原因となる。

ナットクラッカー症候群のCT画像所見

  • 左腎静脈が上腸間膜動脈より遠位径が近位径で1.5倍以上で、大動脈と上腸間膜動脈との間の距離が3mm以下の場合にナットクラッカー現象陽性と判定されるが、血尿などの見られない正常例も50%以上にも見られる。
  • そのため、単純CTや平衡相の造影CTのみでは診断できず、カラードップラー超音波検査や造影CT早期相で側副血行路に血流(逆流)を確認する必要がある。
  • 他、カラードップラー超音波検査で狭窄部と腎門部の最高血流の流速比やCT angiographyの矢状断像で腹部大動脈と上腸間膜動脈のなす角が39%以下の所見も参考になると報告されている。

症例 50歳代女性 肉眼的血尿

大動脈-上腸間膜動脈の前後で左腎静脈の狭窄を認めています。

まるで、ナッツ(左腎静脈)がくるみ割り器(上腸間膜動脈と大動脈)により挟まれているように見えます。

左腎静脈を尾側に追うと左卵巣静脈の拡張および蛇行を認めています。

nutcracker現象の可能性があります(このCT所見だけでは診断はできません)。

エコー所見と併せて、nutcracker現象による肉眼的血尿と診断されました。

関連記事:骨盤うっ血症候群のCT,MRI画像所見のポイント!卵巣静脈、骨盤静脈叢の拡張。

参考文献:

 

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