今回は、T2*強調像と磁化率強調像(SWI)の意義について紹介します。

T2*強調画像とは?

まずは、T2*強調画像についてです。
T2*強調像とは広義にはT2強調画像に属しますが、通常のT2強調画像とは異なります。

どういった点が異なるかというと、T2*強調像は磁場の不均一である磁化率の変化を鋭敏に捉えています。
T2強調像などと比べて、磁性体をより明瞭に低信号として捉えて描出するという特徴があります。

そのため、主に出血の検出目的で用いられます。

T2*強調像で低信号となる状態

『画像所見から絞り込む!頭部画像診断(羊土社)P172』を参考に、T2*強調像で低信号となる状態をまとめました。
正常なものと病変なものに分けられます。

正常なものでは、脈絡叢や松果体、淡蒼球など非常に頻度の高い石灰化を低信号として捉えます。
また、加齢に伴う鉄沈着(大脳基底核や赤核など)も低信号となります。
あとは、血管、頭蓋骨、副鼻腔などの空気といったものが挙げられます。

一方で、病変として一番大事なのが出血です。
デオキシヘモグロビン、メトヘモグロビン、へモジデリンなどを全て低信号として捉えます。

あとは、血栓や病的な石灰化、異物や異常な場所に存在する空気などが挙げられます。

では、実際の画像を見て確認していきましょう。

T2*強調像の正常例

このように、脳室やくも膜下腔は高信号ですがその境界が分かりにくく、全体的に高信号となっています。
のっぺりとした感じで、T2強調像と比べてコントラストがつきにくいのが、このT2*強調像の特徴だと言えます。

こちらは、淡蒼球の部分です。
両側に無信号域を認めていて、生理的な鉄沈着や石灰化を反映していることが分かります。
T2強調像に比べて磁化率変化に鋭敏であるため、低信号や無信号域を捉えやすくなっています。

T2*WI 正常例 赤核

こちらは、中脳の赤核です。
両側にわずかな無信号を認めています。

SWIとは?

SWIとは、susceptibility-weighted imagingの頭文字を略したもので、磁化率強調画像のことです。
比較的新しい撮像方法となっています。

磁場の不均一に鋭敏な性質を極限まで高めた画像ということで、T2*強調像よりも磁化率を強調したものがSWIだと言えます。

そのため、静脈内のデオキシヘモグロビン(常磁性体)も無信号として描出されます。
これをBOLD効果(blood oxgenation level dependent)と言います。

これらのことから、磁化率効果の感度は T1WI<T2WI<T2*WI<SWI の順に高くなります。

では、実際の画像を見て確認していきましょう。

SWIの正常例

SWI 正常例

このように、脳内の静脈も無信号として捉えます。
広範に蛇行した静脈を認めている、というのが分かりますね。

先ほどのT2*強調像と違い、静脈までも捉えてしまうので見にくいと感じるかもしれません。
SWIでは、このような状況で無信号域を拾っていきます。

T2*強調画像、SWIが診断に有用な病態

T2*強調像とSWIが診断に有用な病態は、以下の通りです。

  • 急性期脳梗塞(出血性梗塞の診断、塞栓子の同定、異常灌流領域の評価)
  • 微小出血
  • 頭部外傷(脳挫傷、外傷性くも膜下出血、びまん性軸索損傷)
  • 脳静脈洞血栓症
  • 海綿状血管腫、静脈奇形
  • その他、出血成分の検出(腫瘍内出血など)

このような病態では、異常な部分を低信号として捉えることができるのでT2*強調像やSWIが有用だと言えます。

では、ここから具体例を見ていきましょう。

症例 60歳代男性

60代男性

T2強調像で見ていくと、両側の基底核に陳旧性のラクナ梗塞を疑う高信号域を認めているのが分かります。
左の放線冠のあたりも、陳旧性の脳梗塞であろうと疑われます。

60歳代男性 脳梗塞疑い

下の方へいくと、脳幹部の橋のところにいくつか無信号があります。
これは陳旧性の微小出血を認めているのではないか、と疑われますね。

その他、左の基底核のところにも無信号が目立っています。
こちらも陳旧性の出血が疑われます。

右の視床にも、陳旧性の脳梗塞がありそうです。

つまり、この症例では陳旧性のラクナ梗塞と微小出血が混在しているのではないか、ということが疑われますね。

では、次にT2*強調像を見てみましょう。
実際の出血の範囲がより明瞭になりますよ。

60歳代男性 脳梗塞疑い

先ほど、T2強調像で無信号だった部分の出血がより明瞭になりました。

それ以外にも、側頭葉の皮質下にたくさんの無信号があることが分かります。
このプツプツと抜けている部分は、全て出血しているところです。

T2強調像では捉えきれない微小の出血を、T2*強調像では拾うことができます。
T2*強調像の威力と言いますか、出血に非常に鋭敏であるといったところがよく理解できますね。

症例 40歳代女性

40歳代女性 CT

2日前に発症した脳出血(皮質下出血)です。
右の頭頂葉のところに高吸収、および周囲に浮腫性変化を認めています。

これをSWIで見てみましょう。

40歳代女性 SWI

このように、周囲の浮腫性変化と共に出血部位で非常に明瞭に無信号となっています。
SWIが、出血や磁化率の変化にいかに鋭敏かということが分かると思います。

症例 80歳代女性

80歳代女性

脳梗塞が疑われて入院1日後のMRIの拡散強調像(DWI)になります。
このように、深部白質や皮質にアテローム形成性の脳梗塞を疑うような異常な高信号を認めています。

これをADCで見てみましょう。

80歳代女性 ADC

先ほどの拡散強調像の高信号に一致して信号低下を認めていますので、脳梗塞が疑われます。
しかし実は、前日の拡散強調像では異常な高信号域は指摘されていませんでした。

その画像を見てみましょう。

80歳代女性 DWI

入院当日の拡散強調像では、翌日認めたような異常な高信号ははっきりしていません。
ただし、脳梗塞を疑うような目で見てみると、ACA(前大脳動脈)、MCA(中大脳動脈)領域の境界領域で少し高信号なのかもしれません。

これをSWIで見てみましょう。

80歳代女性 SWI

入院当日のSWIになります。
このように両側の淡蒼球に無信号を認め、生理的な石灰化あるいは鉄沈着を反映しています。
また脈絡叢では石灰化を反映して、無信号になっていることが分かります。

それ以外に、SWIは静脈を描出するので、蛇行した静脈も無信号として認められています。

80歳代女性 SWI

よく見てみると、右に比べて左の中大脳動脈領域の静脈が太くなっていることが分かります。
明らかな左右差がありますね。

これは灌流静脈が拡張していることを意味します。
つまり、MCA領域の血流が少なくなっており、脳梗塞の手前であることを示唆してます。

これを susceptibility sign と言い、脳梗塞を示唆する所見です。
先ほどの拡散強調像では描出できなかったものがSWIではより早期に認められ、脳梗塞の可能性を考えるという点で役立っています。

症例 40歳代男性

40歳代男性 CT

外傷で来られた方の頭部CTです。
このように、右のシルビウス裂や脳溝に異常な高吸収を認めています。
これは外傷性のくも膜下出血を疑う所見になります。

同日にMRIが撮影されていますので、そちらを見てみましょう。

40歳代男性 FLAIR

MRIのFLAIRでみると、左のシルビウス裂は脳脊髄液と同じようにぬけていますが、右はぬけていません。
異常な高信号域が残っているということで、外傷性のくも膜下出血を疑う所見です。

FLAIRにおいても、くも膜下出血などを鋭敏に捉えることはできるのですが、SWIではどうでしょうか。
SWIを見てみましょう。

40歳代男性 SWI

このように、明らかな左右差をもって無信号として捉えることができます。
SWIはFLAIRよりも分かりやすく、出血に対してより鋭敏だと言うことが理解できますね。

症例 40歳代男性

40歳代男性 

造影のT1強調像が撮影されています。

左の頭頂葉に腫瘤影と、不均一な壁の肥厚を認めています。
花弁状の形とも言われ、神経膠細胞を疑う所見です。

連続性のある側脳室にも浸潤していることが疑われます。

では、SWIでも見てみましょう。

40歳代男性 SWI

先ほどの腫瘍内部に不均一な無信号域を認めていて、腫瘍内の出血を疑う所見であると言えます。

このようにSWIやT2*強調像は出血に非常に鋭敏であって、腫瘍の中の出血も捉えることができることが分かります。

まとめ

T2*強調像やSWIが診断に有用な病態を、実際の症例を見ながら紹介しました。

まずは、急性期脳梗塞でしたね。
出血性梗塞ではT2*強調像・SWIの両方で、古いもの・新しいものを問わず無信号として捉えることができます。
また、SWIは静脈を捉えることができるので、灌流領域の静脈が拡張しているといったところから、脳梗塞があるのではないかと診断することができます。

次に微小出血。
T2*強調像で見ましたが、非常にたくさんの微小出血を捉えることができました。

あとは外傷性くも膜下出血や脳腫瘍内出血がありました。

このようにT2*強調像やSWIというのは出血に非常に鋭敏であり、その他、塞栓子の同定や異常灌流領域の評価にも役立ちます。

ぜひ覚えておいていただけたらと思います。

 

 

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