拡散強調像(DWI)とは?

非常に有名な拡散強調像について、頭部の画像診断ではどのような意義があるのかということについて見ていきたいと思います。

まず、拡散強調画像はdiffusion weighted imageのことで、その頭文字をとってDWIと呼ばれたり、diffusionと呼ばれることもあります。

DWIは、生体内の水分子の拡散を強調した画像です。
より正確に表現すると「拡散を強調したT2強調像」になります。

そのため、T2値が非常に長い(高信号である)と、拡散制限がない場合でも高信号になることがあります。
これをT2 shine throughと言います。

拡散強調像の高信号がホンモノ(拡散制限あり)なのか、ニセモノ(T2値が長いだけ)なのかを判断するには、ADC mapを利用します。
拡散制限がある場合には、ADCで低信号となるのがポイントです。

拡散強調像(DWI)の意義

拡散強調像の意義は、

異常な高信号を見つけることにより病変を類推することができる

というところにあります。

拡散強調像でまわりと比べて異常な高信号がないか、を探すわけですね。
白いところを見つけることが大事になります。
なおかつ、ADCが信号低下を来しているのを確認しましょう。

では、その異常な高信号を見つけた時にどういったことが考えられるのかというと、主にこの3つが挙げられます。

拡散強調像で高信号(拡散制限)を示す機序

  • 細胞性浮腫
  • 細胞密度が高い状態
  • 粘稠度が高い状態

細胞性浮腫で最も有名なのが、急性期の脳梗塞ですね。

細胞密度が高い状態というのは、悪性腫瘍、中でも悪性リンパ腫や肺の小細胞癌などが細胞密度が高いので高信号になるということです。

また粘稠度が高い状態、例えば膿瘍や血腫、高粘稠度な液体貯留といったものが拡散強調像で高信号を示すことが知られています。

では、ここから具体例を見ていきましょう。

症例 60歳代男性

拡散強調像で、右の被殻に異常な高信号を示しています。
まわりの脳実質と比べて異常な高信号であり、脳梗塞(ラクナ梗塞)が疑われますね。
ただし、これがADCで低信号を来しているのかを見る必要があります。

ADCを見てみましょう。

60歳男性 ADC

このように、DWIの高信号に一致してADCで信号低下を来しています。
これは急性期の脳梗塞(ラクナ梗塞)であるということが分かりますね。

なお、脳梗塞の時期については、T2強調像やFLAIRで高信号がどうかによって、急性期の24時間以前か以降かに区別されます。

症例 70歳代男性、肺小細胞癌

70歳代男性 肺小細胞癌 DWI

拡散強調像に置いて、右の半卵円中心の深部白質にリング状の高信号を認めています。
左の方にも複数あり、小脳半球にも認めています。

70歳代男性 肺小細胞癌 DWI

こういった所見を見た場合、脳転移を疑います。
中でも悪性リンパ腫や肺小細胞癌といったような細胞密度が高いものが、このように高信号を示すことがありますので注意が必要です。

これもADCを確認してみましょう。

70歳代男性 肺小細胞癌 ADC

リング状の高信号だった部位に一致して、ADCで信号低下を来しています。
拡散制限がある、ということが分かりますね。

転移性脳腫瘍だからといって必ずしもこのような所見を呈する訳ではないですが、(頻度としては低いものの)悪性リンパ腫や小細胞癌のような細胞密度の高い脳腫瘍においては、拡散強調像で高信号かつADCで低信号で来すことがあります。

症例 70歳代男性

70歳代男性 DWI

左の被殻から広範に異常な高信号を認めています。
また、左側脳室内にも高信号が及んでいます。

これは、血腫(脳出血および脳室内穿破)ですね。
血腫だからと言って必ずしも拡散強調像で高信号になる訳ではありませんが、血腫で濃度が高い場合、拡散強調像で高信号になります。

ADCを見てみましょう。

70歳代男性 ADC

脳室内の血腫や被殻の周りの血腫は、ADCで信号低下を認めています。
拡散制限があるということですね。

このように、血腫においても拡散強調像で高信号を示して、ADCの低信号を来すことがあります。
同日の頭部CTも見てみましょう。

70歳代男性 CT

左の被殻出血があり、脳室内に穿破している様子がよく分かります。
高吸収になっている部分、中でも血腫の密度の高いところが拡散強調像で高信号を示して、ADCの信号低下を来すということがあるということですね。
ただし、血腫だから必ずしもこうなるという訳ではありません。

症例 70歳代男性

70歳代男性 DWI

左の側頭葉の脳実質内に、散強調像で異常な高信号を均一に認めています。
こちらもADCで見てみましょう。

70歳代男性 ADC

ADCでも著明な低信号を来していますね。
このような所見を見た場合には、脳膿瘍の可能性があります。

MRIも撮影されました。
造影のT1WIになります。

70歳代男性 造影 T1WI

辺縁にリング状の造影効果を認めていて、周囲には浮腫性変化を認めています。
この方は、脳膿瘍と診断されました。

このように内部に粘稠な液体が貯まっている場合は、拡散強調像で高信号となり、ADCで低信号を来します。

まとめ

症例で見てきたように、拡散強調像で高信号を示すものには、主に3つの機序があります。

急性期脳梗塞である細胞性浮腫、小細胞癌や悪性リンパ腫のように細胞密度が高い腫瘍というのは拡散強調像で高信号を示すことがあるということですね。
あとは、粘稠度が高い状態ということで、膿瘍や血腫、高粘稠度の液体貯留といったもので高信号となります。

拡散強調像と言うのは異常な高信号を見つけ、その際にADCの信号低下も確認することが大事です。
ADCの信号低下を認めていた際には、先ほど挙げた病態が考えられるので、どれかに合致しないかと考えることが重要となります。

 

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