先に結論:肺静脈閉塞症(PVOD)
- PVODは肺の細い静脈が詰まって肺高血圧を起こすまれな病気で、遺伝性(EIF2AK4)・特発性のほか、抗がん剤・膠原病などに続いて起こります
- CTでは肺高血圧(肺動脈の拡張)に加えて、小葉中心性のすりガラス影・小葉間隔壁の肥厚・縦隔リンパ節腫大が見られる一方、左房は大きくないのが特徴です
- 肺動脈性肺高血圧症の薬(血管拡張薬)で肺水腫が悪化することがあるため、治療前にPVODの可能性を考えることが大切です
静水圧の差の増加により起きる肺水腫の原因の一つに肺静脈閉塞症(PVOD:pulmonary venoocclusive disease)があります。
肺静脈閉塞症(PVOD)とは?
肺の細静脈の閉塞により、肺の毛細血管の圧が上昇します。
左房や中枢部の肺静脈の拡張は認めません。
肺静脈閉塞症(PVOD)の原因は?
薬剤性・膠原病などによって続発する二次性のもの、原因不明な特発性のものがある。環境因子としては有機溶剤への職業曝露や化学療法(特にマイトマイシン)が知られる。PVODは肺動脈性肺高血圧症より予後が悪く、肺血管拡張薬で致死的な肺水腫を起こしうるため、低酸素血症・DLCO低下とHRCT所見から非侵襲的に疑うことが重要で、根治治療は肺移植である。遺伝性ではEIF2AK4遺伝子の両アレル変異が知られる。2022年ESC/ERS肺高血圧症ガイドラインでは、PVOD/肺毛細血管腫症は第1群(肺動脈性肺高血圧症)の中の「静脈・毛細血管病変の所見を伴うPAH」に位置づけられている。
肺静脈閉塞症(PVOD)のCT所見は?
これにより、CT上すりガラス影(特に小葉中心性)、小葉間隔壁の肥厚、縦隔リンパ節腫大などを認め、これらは特発性肺動脈性肺高血圧症よりも有意に多い。
症例 50歳代女性 慢性の乾性咳嗽と進行する息切れ

引用:Radiopaedia(Pulmonary veno-occlusive disease)
造影CT(肺野条件)の横断像です。肺動脈幹が拡張し(*、症例報告では約3.8cm)、右肺にはモザイク状の濃度差(矢印)、左肺には小葉間隔壁の肥厚(点線)を認めます。病理で肺静脈閉塞症と確定した症例です。
参考文献
画像診断 vol.24 No.1 2004 P22
- Resten A, Maitre S, Humbert M, et al. Pulmonary hypertension: CT of the chest in pulmonary venoocclusive disease. AJR Am J Roentgenol. 2004;183(1):65-70. PubMed
- Montani D, Lau EM, Dorfmüller P, et al. Pulmonary veno-occlusive disease. Eur Respir J. 2016;47(5):1518-34. PubMed
- Lechartier B, Boucly A, Solinas S, et al. Pulmonary veno-occlusive disease: illustrative cases and literature review. Eur Respir Rev. 2024;33(171):230156. PubMed
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