腎の先天奇形の種類
腎の先天奇形(腎奇形)には以下の種類が知られています。
- 腎無形成(renal agenesis)
- 腎回転異常(malrotation)
- 異所性腎(renal ectopia)
- 重複腎盂尿管(duplication of the collecting system)
一つ一つ見ていきましょう。
腎無形成
片腎が欠損している奇形で、尿管芽の発生不全により後腎組織を誘導できなかった状態です。
ただし、これと診断する際には、異所性腎を否定する必要があります。
腎回転異常
腎門部は内側を向くのが正常ですが、
- 腎門が腹側にあるもの→無回転
- 腎門が外側にあるもの→逆回転
- 腎門が背側にあるもの→過回転
という回転異常が起こる事があります。
また異所性腎の多くは、この回転異常を伴っています。
症例 50歳代男性
右腎門部が腹側を向いています。
無回転に相当する腎の回転異常が疑われます。
異所性腎
腎が本来あるべき場所にない状態です。
- 単純異所性腎
- 交叉異所性腎
- 癒合腎
が知られています。
単純異所性腎では、腎が本来あるべき場所でなく、
- 骨盤内に存在する骨盤腎(pelvic kidney)
- 後縦隔に存在する胸部腎(thoracic kidney)
などが知られています。
交叉異所性腎は、片腎が正中を越えて反対側にある状態です。
癒合腎は、両側の腎臓が癒合している状態で、
- 馬蹄腎(最多)
- S型腎
- L型腎
- 塊状腎
が知られています。
重複腎盂尿管
腎盂および尿管が一つの腎臓から2つ存在する状態で、
- 腎盂と近位尿管のみの重複→部分重複
- 全長にわたる重複→完全重複
に分けられます。
参考文献:腹部CT診断120ステップ P293-294、イラストはいずれもP294 図10を引用改変し作図。