重複腎盂尿管(duplex collectiong systems)とは?

  • 腎盂のみが重複している(同一側に2つある)頻度は10%程度とよく見られ、重複腎盂と呼ばれる。
  • 重複腎盂尿管とは腎盂だけではなく、尿管も重複しているもの。完全型と不完全型がある。

 

重複腎盂尿管の分類は?
  • 完全型:腎盂から尿管全てにおいて2つある。
  • 不完全型:腎盂+近位尿管のみ重複(部分重複)している。途中の尿管から合流して、膀胱開口部においても1つのみ。

 

  • 完全型の場合、頭側の腎盂につながる尿管は、尾側の腎盂につながる尿管よりも下方に開口する。これをWeiger-Meyerの法則という。
  • そのため、頭側の腎盂のみ水腎症になりやすい。また異所開口した尿管にはしばしば異所性尿管瘤が生じやすい。
  • 尿管は胎生4週末に尿管芽が発達して形成される。この先端が5週までに2分すると不完全型重複腎盂尿管、5週以降に2分すると重複腎盂となる。
  • 重複腎盂尿管や異所性尿管といった解剖学的奇形がある場合、尿路感染を引き起こしやすい。
  • 腎の隣り合う皮質の重なりをベルタン柱と呼ぶがこれが大きく見えることがあり、その原因として、重複腎盂尿管、重複腎盂が挙げられる。
症例 50歳代男性

DUPLEX COLLECTIONG SYSTEMS

単純CT横断像にて前後に重複した2つの腎盂および尿管を認める。

冠状断像においては、これらの重複した尿管が合流する部位が明瞭である。

不完全型の重複腎盂尿管の所見。

一側性の辺縁平滑の腎腫大の鑑別

  • 水腎症
  • 代償性腫大
  • 重複腎盂
  • 多嚢胞腎
  • 急性腎盂腎炎
  • 外傷
  • 腎動静脈閉塞

参考文献:腹部CT診断120ステップ P293-294、イラストはP294 図10を引用改変し作図。

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