先に結論:脳底動脈の窓形成(fenestration)
- 窓形成は、血管の一部が2本に分かれてまた合流し、穴が開いたように見える生まれつきの正常変異で、脳では脳底動脈の根元(近位部)によく見られます。脳底動脈がもともと左右2本の血管が癒合してできることに由来します
- 多くは無症状で治療不要ですが、窓の部分に脳動脈瘤ができることがあるため、MRAでは窓の付け根に瘤がないかを確認します
- 解離や血栓と間違えないよう、MRAの元画像やCTAで2本の血管腔を確認するのがポイントです
脳のMRAの画像を見ていると、主幹動脈に穴が開いているように見えることがあり、これを窓形成(fenestration、読み方はフェネストレーション)と呼びます。
中でも頻度が多いのが脳底動脈です。
今回は、脳底動脈の窓形成について軽くまとめました。
脳底動脈の窓形成のポイント1)2)
- 脳底動脈は2本の縦走神経動脈(Longitudinal neural artery)という原始動脈が癒合して形成される。
- 窓形成(fenestration)はこの2本の動脈の中膜の癒合が不完全な領域に発生する。
- 窓形成は脳底動脈の近位部に多いとされるが、それは癒合は遠位から起こるからと考えられている。
- 窓形成部は前下小脳動脈の分岐部を含む傾向にある。
- 窓形成部に動脈瘤が発生することがある。MRA・CTAの大規模検討では、脳底動脈の窓形成は約1.3〜2.3%にみられ、大部分が近位部に位置した。ただし窓形成部そのものの動脈瘤はまれで、MRA 212例では0例、椎骨脳底動脈系の窓形成93か所では1か所のみであり、むしろ他部位の動脈瘤の合併に注意する。
もちろんMRAのみでなく脳血管造影やCTAなどでもこの窓形成は確認できます。
症例 50歳代男性

脳底動脈の近位部に穴が開いているように見えます。
これが窓形成です。
症例 60歳代男性

こちらの症例も先ほどと同じように脳底動脈の近位部に窓形成を認めています。
また窓形成部から両側の前下小脳動脈(AICA)が分岐している様子がわかります。
- 前下小脳動脈の分岐部を含む傾向にある。
ということがよくわかりますね。
症例 60歳代男性

こちらの症例も先ほどと同じように脳底動脈の近位部に窓形成を認めています。
また窓形成部から右側の前下小脳動脈(AICA)が分岐している様子がわかります。
関連記事:遺残三叉動脈(PTA)とは?MRA画像所見(tau sign)と内頚動脈-脳底動脈吻合
参考文献:
1)知っておきたい頸部~頭部動脈破格 MRAとCTAの読影が楽しくなる! P140-146
2)ケースレビュー脳の画像診断 P176
- Sogawa K, Kikuchi Y, O’uchi T, et al. Fenestrations of the basilar artery demonstrated on magnetic resonance angiograms: an analysis of 212 cases. Interv Neuroradiol. 2013;19(4):461-5. PubMed
- Uchino A, Saito N, Okada Y, et al. Fenestrations of the intracranial vertebrobasilar system diagnosed by MR angiography. Neuroradiology. 2012;54(5):445-50. PubMed
- Gao LY, Guo X, Zhou JJ, et al. Basilar artery fenestration detected with CT angiography. Eur Radiol. 2013;23(10):2861-7. PubMed
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