先に結論:抗リン脂質抗体症候群(APS)
- 抗リン脂質抗体症候群は抗リン脂質抗体によって血栓ができやすくなる病気で、動脈・静脈の血栓症と不育症(流産を繰り返す)が主な症状です
- 若い人の脳梗塞・繰り返す深部静脈血栓や肺塞栓・静脈洞血栓症では、APSを疑ってループスアンチコアグラント・抗カルジオリピン抗体・抗β2GPI抗体を調べます
- SLEに合併することが多く、画像ではMRI/MRA・肺血流シンチ・造影CTで血栓の場所を確認します
抗リン脂質抗体症候群(APS)の症状は?
- 動・静脈血栓症
- 習慣性流産
- 腎機能低下
- 皮膚の網状皮斑, 皮膚潰瘍
- 血小板減少症
を発症する。
静脈血栓症は下肢の深部静脈血栓が多い。
他、静脈洞血栓の原因となる。
静脈に比べると頻度は低いが動脈にも血栓を生じることがあり、動脈では脳血管障害(大きな梗塞、皮質梗塞、ラクナ梗塞など)が多い。
さらに腎の血栓性微小血管障害を生じ、腎機能低下を来す。
他、皮膚では網状皮斑, 皮膚潰瘍などが見られることがある。
参考)習慣性流産の原因
- 抗リン脂質抗体症候群
- 転座
- 子宮形態異常
- 頸管無力症 など
抗リン脂質抗体症候群(APS)の原因は?
原因は原発性とSLEなどに合併する二次性がある。
SLEの30-40%で抗リン脂質抗体が陽性となる(APSを発症するのはその一部)。
抗リン脂質抗体症候群(APS)の検査は?
血液検査
検査所見では凝固を抑制し、aPTTが延長する。
- 抗カルジオリピン抗体(抗CL抗体)
- β2GPI 依存性抗CL抗体
- ループスアンチコアグラント
を測定する。分類基準は2023年にACR/EULARが改訂し、臨床項目と検査項目をそれぞれ点数化して両方が基準点を満たした場合にAPSと分類する方式になりました。新基準では、抗リン脂質抗体に関連する臨床所見から3年以内に抗リン脂質抗体検査が1回以上陽性であることを入口基準とし、そのうえで臨床項目と検査項目からそれぞれ3点以上を満たす必要があります。従来の改訂Sapporo(Sydney)分類基準(2006年)に代わるものです。
画像検査
- 脳MRI/MRA
- 肺血流シンチグラフィ
- 血管造影
で血栓像の有無を見る。
症例 20歳代男性 激しい頭痛、行動の変化、羞明、意識低下
頭頂部の横断像で、正中の上矢状静脈洞が帯状に高吸収になっており、脳表の皮質静脈にも高吸収がみられます。血栓による所見で、CT静脈造影でも静脈洞内に欠損が確認されました。ループスアンチコアグラント陽性で、抗リン脂質抗体症候群と診断された症例です。
参考文献)
画像診断 vol.28 No.11 2008 P1145-1146
画像診断 vol.24 No.3 2004 P282-283
STEP消化器/膠原病 P362-363
- Barbhaiya M, Zuily S, Naden R, et al. 2023 ACR/EULAR antiphospholipid syndrome classification criteria. Ann Rheum Dis. 2023;82(10):1258-1270. PubMed
- Miyakis S, Lockshin MD, Atsumi T, et al. International consensus statement on an update of the classification criteria for definite antiphospholipid syndrome (APS). J Thromb Haemost. 2006;4(2):295-306. PubMed
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