心臓の解剖、特に心膜(Pericardium)の構造って複雑ですよね・・・。苦手な人も多いと思います。
心内膜、心外膜があり、心膜腔もあります。
さらに周りには脂肪組織もあり、位置関係が非常に複雑です。

  • 心膜の構造や解剖がわからない・・・。
  • 心内膜、心外膜はどこかかわからない・・・。
  • 心膜穿刺って結局どこを刺すのかわからない・・・。

そこで、今回心臓の解剖、特に心臓の外側の心膜の解剖についてイラストを用いてまとめてみました。
これを読めば、心臓周囲の心膜の解剖がスッキリするはずです。

心臓周囲の解剖

心臓周囲の解剖を、心臓から外にかけて1つ1つ説明していきます。

今回の記事を動画でまとめましたので、まずは動画を見ていただき、その後記事を見ていただければ、一気に理解が深まると思います。

心腔・心内膜・心筋の解剖


まず、上の図(イラスト)のように、心臓の心筋があり、心腔との間の膜を心内膜と言います。
上の図では、大動脈弁から大動脈が出て行く様子を表しています。
心臓の中の解剖である、左心系(左心房、左心室)、右心系(右心房、右心室)などについては今回は省きます。

心膜下脂肪の解剖


心筋の周りには脂肪層が覆います。

これを心膜下脂肪(epicardial fat)と言います。

心筋とこのあと説明する心膜との間に存在します。

この心膜下脂肪は臨床的に非常に重要で、発生学的には内臓脂肪と同様です。

内臓脂肪といえば、メタボリック・シンドロームを引き起こす脂肪です。

過剰な心膜下脂肪は、冠動脈疾患のリスクとされています。

実際、心臓CTを撮影した場合に心膜下脂肪の体積を測定し、体積が100~125c㎥を超えると冠動脈疾患や心血管イベントのリスクが高くなると報告されています(J Cardiovasc Comput tomogr 7:3-10,2013)

さて、この心膜下脂肪には、心臓を栄養する血管である冠動脈に加えて、上の図に記載しておりませんが、冠静脈、冠静脈洞も存在します。

心膜腔、臓側心膜、壁側心膜の解剖


さらに、心膜下脂肪の周りを、臓側心膜(心外膜)が覆います。
臓側心膜(心外膜)は、大血管基部で反転して、心膜腔を形成します。
そして外側の膜を壁側心膜と言います。

心膜腔には、心臓が摩擦なく、潤滑に拍動に合わせて動けるように15~50mlの心膜液が貯留しています。

この心膜液の量が正常範囲を超えて貯留すると心囊水(pericardial effusion)と呼ばれます。
心囊穿刺(心膜穿刺)の際はここを刺してたまった液体を取り除きます。

臓側心膜と壁側心膜に囲まれた領域を心膜腔といい、そこには心膜液が貯留している・・・

この関係って他の場所でもありましたよね。

そうです。胸膜です。

胸膜も臓側胸膜と壁側胸膜の間に胸膜腔があり、ここには20ml以内の少量の生理的な胸膜液が貯留しています。

正常範囲を超えて存在すると胸水(pleurau effusion)と呼ばれる。
これと同じ関係ですね。
さて、

  • 臓側心膜(心外膜)
  • 壁側心膜
  • 心膜腔

これらの心臓の表面側を覆う3つの構造を合わせて、漿膜性心膜と言います。

線維性心膜(心囊)の解剖


さらに、漿液性心膜の外側には、強固な線維性心膜(心囊)が覆います。
この

  • 漿膜性心膜
  • 線維性心膜(心囊)

を合わせて心膜と言います。
つまり、心膜を構成するものは以下の通りになります。

これで心臓を覆う心膜の解剖はおしまいです。

心膜外脂肪の解剖


心臓の外側にも脂肪組織が存在します。

これを心膜外脂肪(paracardial fat)と呼びます。

この心外膜脂肪は、縦隔胸膜と心膜との間の縦隔に脂肪が沈着したものです。

しばしば胸部レントゲンでも確認することができ、左右(特に左)の心臓横隔膜角部の縦隔脂肪による陰影として認識することができます。

先ほど出てきた心筋を覆う脂肪組織である心膜下脂肪(epicardial fat)と合わせて、心臓周囲脂肪織(pericardial fat)と呼びます。

心臓周囲脂肪織(pericardial fat)とは・・・
  • 心膜下脂肪(epicardial fat):臨床的意義が大きい。
  • 心膜外脂肪(paracardial fat)

を合わせたもの。

心臓を栄養する血管である冠動脈の解剖・番号についてはこちらにまとめました。→冠動脈の解剖・番号は?覚え方のコツを図で解説!

心臓周囲のCT画像診断の特徴は?

CTでは、心膜(漿膜性心膜+線維性心膜)は通常1層の薄い線状の構造として描出され、その厚みは1mm程度です。

2mm以上の心膜は病的だとされます。

ではまずは正常の心膜のCT画像を見てみましょう。

症例 60歳代 女性


冠動脈CTで撮影された造影CT画像の画像です。

  • 心膜下脂肪及びその内部を走行する冠動脈
  • 心膜
  • 心膜外脂肪

の位置関係がよくわかります。
ちょっと心膜は大げさに縁取っています。

では、次に心膜が肥厚したり、心嚢水を認める異常な症例をみていきましょう。

症例 80歳代 男性

心膜の肥厚と石灰化を認めています。
収縮性心膜炎の所見です。

症例 80歳代 女性


心膜下脂肪の周りに水が溜まっています。
心嚢水貯留の所見です。心膜の肥厚は認めません。

症例 60歳代 男性


右側の心膜の不整な肥厚と造影効果を認めています。
上咽頭がんの心膜転移の所見です。

症例 60歳代 男性 原発不明がん


心膜の肥厚とその内側には心嚢水貯留を認めています。
多発転移を認めており(非提示)、癌性心膜炎を疑う所見です。

最後に

今回は、心臓の周囲の構造である心膜の構造と解剖についてまとめました。

さらに、心臓の周囲には脂肪層を構成するところが2箇所ある点もよくわかりましたね。

いろいろな「心膜」がつく名前が出てきましたが、これで整理されましたね。

また実際のCT画像を見て、心膜が肥厚している様子や心膜と心嚢水の位置関係もご理解いただけたと思います。

参考になれば幸いです( ^ω^ )

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