SAPHO症候群(synovitis-acne-pustulosis-hyperostosis-osteitis syndrome)
- 痤瘡(ニキビ)あるいは手・足の掌蹠嚢疱症などの皮膚疾患に合併する頻度が高い骨関節病変(骨の無菌性炎症性疾患)を一括した概念。
- 日本人に多く、30-40歳代に好発する。
- 皮膚病変と骨関節病変は同時に発症するとは限らない。骨関節病変が先行することあり。
- 原因は弱毒菌感染に伴う自己免疫反応によるという説と、血清脊椎反応陰性関節症の一部とする説がある。
- HLA-B27は陰性で、HLA-DR4が陽性となることあり。
- 慢性再発性多発性骨髄炎(chronic recurrent multifocal osteomyelitis;CRMO)、胸肋鎖骨肥厚症(Sternocostoclavicular hyperostosis;SCCH)、掌蹠膿胞症性関節炎(pustuloticarthro-osteitis;PAO、acne-associated spondyloarthropathy)もこの範疇に含まれる。
SAPHOとは次の頭文字をとったもの
- synovitis:滑膜炎
- acne:痤瘡、アクネ
- pustulosis:膿疱症
- hyperostosis:骨増殖症
- osteitis:骨炎
Kahnらの提唱するSAPHO症候群の診断基準
1〜3のいずれか1つを認めればSAPHO症候群と診断する。
- 多発性、反復性の慢性骨髄炎:通常無菌性、脊椎病変を認めることもある。皮膚症状の有無は問わない。
- 関節炎:掌蹠膿疱症、膿疱性乾癬、重症の痤瘡のいずれかに伴うもの。
- 無菌性骨炎:掌蹠膿疱症、膿疱性乾癬、重症の痤瘡のいずれかに伴うもの。
SAPHO症候群の骨病変と画像所見
- 前胸壁、脊椎(胸椎に多い)、仙腸関節、長管骨、末梢関節に認められる。
- 胸鎖関節・胸肋関節:70〜90%→これらの前胸壁病変へのシンチでの取り込みは特徴的な牛頭の形(bull’s head pattern)を呈する。骨シンチを見ただけで診断できる疾患の一つ。
- 四肢長管骨:30%
- 脊椎:30%→骨転移や脊椎炎類似のMRI所見を呈する。椎体前縁の隅(終板と椎間板接合部)にerosionを認めること、多椎体に及ぶ(DISH様の形態)ことが多い。
- 仙腸関節:仙腸関節炎所見を認める。腸骨側優位に骨侵食や硬化が見られることが多い。片側のこともある。
- その他:長幹骨や扁平骨の骨硬化や骨膜反応、末梢関節炎をきたすことがある。
症例 50歳代女性
右鎖骨内側の過骨症を認めています。
また両側の第一肋軟骨の化骨および過骨症を認め、第一肋骨胸骨関節は融合しています。
その様子はCTでより明瞭です。
SAPHO症候群を疑う所見でSAPHO症候群と確定診断されている症例です。
引用:radiopedia
慢性再発性多発性骨髄炎(chronic recurrent multifocal osteomyelitis(CRMO))とは?
- 小児期にみられることが多い。
- 慢性再発性の肥厚性骨関節症。
- 大腿骨や脛骨、鎖骨、脊椎などに骨髄炎が多発し、繰り返す。
- 病因はいまだに不明。
掌蹠膿疱症は25年、関節炎症状は五年前から胸部の痛みで発作。
歯科の金属アレルギーを指摘されたため三年かけて金属を除去。義歯もチタン素材に変更すると同時にビオチン療法開始。膿疱は完治したが昨年より仙骨が痛み出しリウマチ科でプレドニン、メトレートの投与するも全く体に合わず投与中止。リバウンドを起こし掌蹠膿疱症再発。
吐き戻しと膿疱で休職。6月末より現時点まで休職中。漢方(防已黄耆、麻杏竟甘)を服用して痛みを和らげているがさほどの効果が見られない。