副腎白質ジストロフィー(X-linked adrenoleukodystrophy;X-ALD)
・アシルCoAシンテターゼの欠損により、副腎と脳に炭素数が26以上の飽和脂肪酸が蓄積し、広範な脱髄および副腎機能不全を起こす疾患。
・遺伝子座はX染色体(Xq28)で、伴性劣性遺伝の形式をとる。
・男児の2-5万人に1人の頻度で発生。
・病理では脳白質にグリオーシスを認める。
・臨床的に小児型、思春期型、成人大脳型、adrenomyeloneuropathy(AMN)、副腎不全型などに分けられるが、小児型が全体の半数を占める。
・副腎機能不全によりコルチゾール分泌低下→下垂体からのACTHの分泌亢進→皮膚・粘膜に色素沈着を認める。
・次第に、知能低下、性格変化、視力・聴力低下、痙性肢体麻痺、痙攣をきたし、最終的に除脳硬直に陥る。
・通常5-10歳で発症し、1-5年で死亡する。
副腎白質ジストロフィーの画像所見
・両側側脳質三角部周囲白質にT2WIにて高信号(白質脳症)を認め、脳梁膨大部を介して連続する。(頭頂葉〜後頭葉優位の白質変化)
・病態の進行に伴い大脳白質全体に異常な高信号は広がる。
・皮質下U-fiberは早期〜晩期には保たれるが、進行に従い侵されることもある。
・脳幹の皮質橋路や錐体路に沿った異常高信号を認めることがある。
・造影では病変の辺縁に沿った造影効果を認める。
・CTでは病変部に一致して細かい石灰化を認めることがある。
・鑑別診断は、異染性白質ジストロフィー、Krabbe病、Alexander病など。