先に結論:大動脈瘤破裂のCT
- 大動脈瘤は破裂するまで無症状のことが多く、破裂すると突然の激しい腹痛・背部痛・ショックを起こし、命にかかわります。瘤が大きいほど・速く大きくなるほど破裂しやすくなります
- CTでは瘤のまわりの後腹膜や縦隔の血腫が破裂のサインで、血腫がはっきりしなくても壁在血栓の中の三日月状の高吸収(crescent sign)は切迫破裂を示します(単純CTが重要)
- 腹部大動脈瘤は男性55mm・女性50mm以上、または半年で5mm以上の拡大で治療(人工血管置換術・ステントグラフト)を検討します
※大動脈瘤を指摘されている方で、急な激しい腹痛・背中の痛みが出たときは、すぐに救急車を呼んでください。
大動脈瘤破裂(rupture of aortic aneurysm)
- 大動脈瘤があり、突然、胸腹部の激痛、貧血、ショックがみられたとき、大動脈瘤破裂を疑う。
- 破裂までは無症状であることが多い。
- 腹部の9割以上が腎動脈分岐部より尾側に発生する。
- 破裂のリスクは、5年以内の破裂危険度として、最大径<5cmで2%、5-5.9cmで25%、6-6.9cmで35%、7cm以上で75%という報告あり。(Surgery of the aorta and its branches,Philadelphia:Saunders:107-112,2000)
- 瘤の径が大きいものほど破裂しやすい。
- 日本のガイドラインでは、腹部大動脈瘤は男性で55mm以上(女性は50mm以上)が手術適応の目安とされる。
- 治療は人工血管置換術(開腹・開胸手術)や、カテーテルで行うステントグラフト内挿術(EVAR・TEVAR)。
- 瘤径に応じた間隔(2020年改訂版 大動脈瘤・大動脈解離診療ガイドライン参照)でCTフォローし、動脈瘤の増大スピードを評価する。半年で5mm以上増大する場合は、破裂の可能性が高く、手術の方針とするべき。
大動脈瘤破裂の画像所見
- 破裂した部位により、縦隔あるいは後腹膜に血腫を伴う。
- CTにおいて、周囲の血腫がはっきりしなくても壁在血栓内に三日月状の高吸収領域(crescent sign)があれば、動脈壁の全層破綻はないが動脈壁内に新たな血腫の出現を意味しており、限局した破裂あるいは切迫破裂(impending rupture)と診断する。単純CTで評価することが重要。壁在血栓内への出血から明らかな血管外漏出までには数時間の遅れがあることが多いとされます。また、瘤の後壁が椎体に沿って垂れ下がるように見える所見(draped aorta sign)はcontained ruptureを示唆します。
ステントグラフトの合併症
- 手技により血管損傷、不十分な固定、グラフトの損傷。
- 脊髄虚血
- エンドリーク
腹部大動脈ステントグラフトの適応
- 腹部大動脈瘤
- Aortoiliac型の動脈瘤
- 腸骨動脈瘤
- 外傷による腹部大動脈損傷
- 感染性大動脈瘤
症例 90歳代男性 未治療の腹部大動脈瘤・6時間続く背部痛と低血圧

引用:Radiopaedia(Ruptured abdominal aortic aneurysm)
造影CT(動脈相)の横断像です。壁在血栓を伴う最大径8.2cmの腹部大動脈瘤があり、瘤の左前側方で内腔から外へ造影剤が漏れ出しています(血管外漏出)。瘤の周囲から左後腹膜にかけて血腫が広がっています。
関連記事:Valsalva洞動脈瘤破裂の症状、原因、画像診断
参考文献
- Rakita D, Newatia A, Hines JJ, et al. Spectrum of CT findings in rupture and impending rupture of abdominal aortic aneurysms. Radiographics. 2007;27(2):497-507. PubMed
- Ogino H, Iida O, Akutsu K, et al. JCS/JSCVS/JATS/JSVS 2020 Guideline on Diagnosis and Treatment of Aortic Aneurysm and Aortic Dissection. Circ J. 2023;87(10):1410-1621. PubMed
- Wanhainen A, Van Herzeele I, Bastos Goncalves F, et al. Editor’s Choice — European Society for Vascular Surgery (ESVS) 2024 Clinical Practice Guidelines on the Management of Abdominal Aorto-Iliac Artery Aneurysms. Eur J Vasc Endovasc Surg. 2024;67(2):192-331. PubMed
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