Valsalva洞動脈瘤破裂
- 大動脈の起始部のValsalva洞が瘤状に拡張し、破裂する疾患。
- Valsalva洞動脈瘤は大動脈起始部と右心系の中隔の部分に生じ、破裂は主に右心系(右冠動脈洞>右室>右房>>左室)に生じ、左→右シャントを生じる。
- 先天性と後天性のいずれでも発生するが、先天性Valsalva 洞動脈瘤は、先天性心疾患のなかでは発生率が低く、心疾患剖検例の0.08~0.12%で男性に多い。
- 後天性Valsalva洞動脈瘤の原因として、感染(梅毒、結核、細菌性心内膜炎)、動脈硬化、外傷、Marfan症候群などがある。
- 破裂は成人期に生じる(平均31歳)
- 破裂は4:1と男性に多い。
- 単独で生じることもあるが、心室中隔欠損に合併することもあり。
- 破裂するまでは無症状。
- 破裂症状は軽症~重症と様々。突然の胸痛、呼吸困難。破裂を期に進行する心不全が出現することもある。
- 脈圧増大、心雑音(突発性、多様性、右下方への伝播性のある雑音) を生じる。
- 胸部単純X線では、右房、右室に破裂したものは、肺動脈弓の突出、肺動脈量の増加による肺血管陰影の増強、同時に左室の拡大を伴うため、心陰影は拡大。
- 心電図同期のCT撮影で、Valsalva洞動脈瘤の形態および周囲組織との関係を明瞭に把握できる。
- 造影CT で、Valsalva洞動脈瘤と上行大動脈瘤や縦隔腫傷との鑑別ができる。
- 治療は早期に開心術にて心内修復術。