乳癌の放射線治療
- 乳癌の放射線治療には、術前照射と、術後照射がある。
- 特に乳房温存療法では、温存術の後に放射線治療を行なう。
- 合併症は急性障害と晩期障害に分けわれる。
乳がんの放射線治療の急性障害
- 放射性皮膚炎
- 乳房痛
- 放射性肺臓炎(radiation pneumonitis)など
乳がんの放射線治療の晩期障害
- 上腕浮腫
- 放射性肺線維症(radiation lung fibrosis)
- 器質化肺炎(OP,secondary OP)(通常放射線治療後9~16か月以内に約2.5%の患者に発症)
- 肋骨骨折など
※頻度は、上腕浮腫>>その他。
乳がん治療後の放射性肺臓炎
- 放射線治療の後に、照射野に一致する境界明瞭な間質性陰影。
- 放射線治療直後-数週で、放射性肺臓炎(radiation pneumonitis)→数ヶ月後に放射性肺線維症(radiation lung fibrosis)となることがある。
- 注意すべきこととして、時間がかなり経過したあとで出てくることがある。
- また、一旦消えた後、再び出てくることがある。
- 症状としては、咳。発熱が多い。
- 乳癌の場合、照射野外あるいは対側肺に斑状の非区域性多発性陰影を示すことがある(放射線治療後の器質化肺炎(OP))。また陰影が移動することがある。
- FDG-PETで集積することがあるので、肺癌などと間違えないように注意。
症例 40歳代女性 左乳癌温存療法術後→放射線治療後
左側乳房温存術後です。
放射線治療をした接線方向に沿って浸潤影を認めています。
放射性肺臓炎を疑う所見です。
半年後…
浸潤影は瘢痕化していることが確認できます。
動画でチェック!!
症例 60歳代 女性 右乳癌術後、最終放射線治療より8ヶ月経過 OP疑い
こちらは右側乳房温存術後の症例です。
放射線治療から8ヶ月後に、新たに斑状影が2箇所に出現しています。
咳嗽はあるも炎症所見は認めず。感染に伴う肺炎などではなく、放射線治療後の器質化肺炎(OP)と診断されました。
器質化肺炎についてはこちらにまとめました。→特発性器質化肺炎(COP)のCT画像診断の特徴は?原因は?