先に結論:十二指腸憩室
- 十二指腸憩室は大腸に次いで多い消化管憩室で、下行部の内側、Vater乳頭の近く(傍乳頭憩室)に多く、ほとんどは無症状です
- まれに憩室炎・穿孔・出血や、乳頭や胆管を圧迫して閉塞性黄疸・胆管炎・膵炎(Lemmel症候群)を起こします
- CTでは膵頭部の近くの、ガスや液体・造影剤を含む袋として見え、膵頭部の嚢胞性腫瘍や膿瘍と間違えないことが大切です
- 傍乳頭憩室とは、Vater乳頭のすぐそばにできる十二指腸憩室で、総胆管結石との関連が知られています
十二指腸憩室
- 消化管憩室の中で結腸に次いで頻度が高い。
- 下行部の内側に多く(8割)、特にVater乳頭部に多い。乳頭部近傍に生じる憩室は傍乳頭部憩室とも呼ばれる。
- 次いで、水平部〜上行部(2割)が多い。上部(球部)は最も少ない。
- 単発性が多い。
- 50-60歳代を中心に好発する。
- 多くは固有筋層のない仮性憩室であり、後天性に生じる。
十二指腸憩室による症状、合併症
- 通常は無症状だが、出血、閉塞性黄疸、膵炎、十二指腸閉塞、憩室炎、潰瘍、穿孔などの合併症あり。
- 穿孔は最も重篤な合併症。多くの例で憩室炎が穿孔の原因。
- きわめてまれに、Vater乳頭や胆管、膵管を圧迫して閉塞性黄疸の原因となる(Lemmel症候群と呼ばれる)。
傍乳頭憩室(傍十二指腸乳頭憩室)とは
- Vater乳頭の近くの十二指腸憩室。乳頭が憩室の中にある型(憩室内乳頭)、縁にある型、近くにある型に分けられ、ERCP 381例では51例にみられ、乳頭が憩室内27例・縁19例・3cm未満の近く5例であった(Yildirgan 2004)。
- ERCP 611例の前向き研究では憩室は27%にあり、年齢とともに増えた。胆石は憩室ありで44%、なしで29%と多く、とくに胆嚢摘出後の総胆管結石との関連が強かった(Kim 1998)。
十二指腸憩室の画像所見
- 消化管透視や内視鏡、CTで確認される。
- 十二指腸内腔に隣接する平滑な球形の管腔外突出として描出されるため診断は容易。
- CTでは十二指腸を追うことで管腔外に突出する憩室を同定することができる。ただし内部が液体だけで満たされた憩室は、膵頭部の嚢胞性腫瘍と紛らわしいことがある。典型的な発生部位(下行部内側)であることと、内部の少量のガスを探すことが正しい診断の助けになる。
症例 年齢不詳(成人)

引用:Radiopaedia(Duodenal diverticulum)
バリウムによる上部消化管造影の正面像です。十二指腸がつくるC字ループの内側に、バリウムがたまった袋状の突出(憩室)が見えます。この症例では十二指腸の第3部(水平部)から出た憩室とされています。
※気になる症状があるときは、自己判断せずに医療機関を受診してください。
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参考文献:画像診断 Vol.41 No.4 増刊号 2021 P147
- Macari M, Lazarus D, Israel G, et al. Duodenal diverticula mimicking cystic neoplasms of the pancreas: CT and MR imaging findings in seven patients. AJR Am J Roentgenol. 2003;180(1):195-9. PubMed
- Miller G, Mueller C, Yim D, et al. Perforated duodenal diverticulitis: a report of three cases. Dig Surg. 2005;22(3):198-202. PubMed
- Kim MH, Myung SJ, Seo DW, et al. Association of periampullary diverticula with primary choledocholithiasis but not with secondary choledocholithiasis. Endoscopy. 1998;30(7):601-4. PubMed
- Yildirgan MI, Başoğlu M, Yilmaz I, et al. Periampullary diverticula causing pancreaticobiliary disease. Dig Dis Sci. 2004;49(11-12):1943-5. PubMed
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