心膜洞とは?(pericardial recess(sinus))

  • 心膜は心臓表面を覆う心外膜(臓側漿膜)の折り返りにより形成される壁側漿膜である。心膜と心外膜間が心嚢と呼ばれる空間となる。心嚢内には、心膜の折り返りや心嚢を大血管が貫くことにより所々くぼみや陥凹が生じ、そこに貯留した生理的な心嚢液が縦隔リンパ節と間違えられることがある。
  • Pericardial recessは心大血管の隙間にはまり込むような形態で、嚢胞のように完全には丸くおさまらないことが多い。
  • 液貯留が見られることがあるのは、上行大動脈の背側にあたる上心膜腔(心膜上洞(superior pericardial recess))が最も多く有名。次に、肺動脈周囲である左外側陥凹(left lateral pulmonic recess)が多い。

下のイラストは心臓、大血管起始部を取り除いたもの。

pericardial recess figure

1)を参考に作図

  • 上心膜腔(superior pericardial recess)
  • 左外側陥凹(left lateral pulmonic recess)

をそれぞれ見ていきましょう。

 

上心膜腔(superior pericardial recess)

  • 中でも、上行大動脈の背側の三日月状の水濃度域を示す上心膜腔(superior pericardial recess)が最も有名。この心膜腔(陥凹)には、
  • preaortic recess(前大動脈陥凹)
  • retroaortic recess(後大動脈陥凹)

がある。前者は臨床的にあまり問題にならないが、後者は、気管前リンパ節や腫瘤の所見に類似するため、その特徴的形態と解剖学的位置を知っておく必要がある。

  • また、superior pericardial recessは上行大動脈に沿ってかなり高位まで見られることがあり(high- riding superior pericardial recess)、注意が必要である。
症例 30歳代男性(造影CT)

pericardial recess CT findings1

 

気管前、腕頭動脈左側に、砂時計のような形をした液貯留あり。

上心膜腔(superior pericardial recess)(なかでもpreaortic recess(前大動脈陥凹))への生理的な心嚢液が疑われます。

症例 30歳代男性(T2WI)

pericardial recess CT findings2

こちらもほぼ同じ位置に液貯留(T2WI高信号域)あり。

上心膜腔(superior pericardial recess)(なかでもpreaortic recess(前大動脈陥凹))への生理的な心嚢液が疑われます。

症例 50歳代男性 単純CT

pericardial recess CT findings

気管分岐部直上の前方に類楕円形の液貯留あり。

一見リンパ節と間違えそうですが、上心膜腔(superior pericardial recess)(なかでもretroaortic recess(後大動脈陥凹))への生理的な心嚢液が疑われます。

この症例を動画で見てみる。

症例 70歳代女性

心膜洞の液貯留(心嚢液)のCT画像診断

 

縦隔に上下方向に伸びるLDAを認めています。

preaortic recess(前大動脈陥凹)とretroaortic recess(後大動脈陥凹)に連続して、心嚢液貯留を疑う所見です。

こちらも(多発)リンパ節腫大と間違えそうです。

動画でこの症例をチェックする。

 

左外側陥凹(left lateral pulmonic recess)

  • 肺動脈周囲に見られることもある(pulmonic recess)。
  • 特に、左外側陥凹(left lateral pulmonic recess)では、正常でも少量の心嚢液を認められる。
症例 60歳代女性

left lateral pulmonic recess

左外側陥凹(left lateral pulmonic recess)及び心膜横洞(transverse sinus)に心嚢液貯留を認めています。

動画はこちら。

この症例では、わずかに上心膜腔(superior pericardial recess)にも液貯留を認めています。

参考文献)
1)画像診断Vol.21 No,3 2001 P332図1
画像診断 Vol.31 No,12 2011 P1150-1151
画像診断Vol.21 No,3 2001 P332-336
画像診断Vol.24 No,6 2004 P705

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