先に結論:細胞性浮腫と血管性浮腫のMRIでの見分け方
| 細胞性(細胞毒性)浮腫 | 血管性浮腫 | |
|---|---|---|
| しくみ | 細胞が水を取り込んでふくらみ、すき間が狭くなる | 血管から水がもれ、細胞のすき間が広がる |
| 拡散強調像/ADC | DWI高信号・ADC低下 | DWIは目立たずADC上昇 |
| 代表例 | 超急性期脳梗塞、けいれんに伴う変化、脳梁膨大部の可逆性病変など | PRES、腫瘍周囲の浮腫、静脈うっ滞 |
DWIで白いときは必ずADCも確認し、本当に拡散が低下しているのか(T2 shine-throughではないか)を見分けます。血管性浮腫は「血管原性浮腫」とも呼ばれ、皮膚や唇が腫れるアレルギー性の「血管性浮腫(クインケ浮腫)」とは別のものです。
細胞性浮腫と血管性浮腫とは?
正常ではこのように、細胞の間を水は移動しています。

細胞性浮腫が起こると

細胞性浮腫が起こるとこのように
- 細胞が膨張し、
- 細胞間隙が狭くなり、
- 拡散低下します。
つまり、DWIにて高信号を示し、ADCは信号低下します。
- 脳梗塞(超急性期)
- 脳梁膨大部の可逆性病変(薬剤・感染・代謝異常などに伴う。多くは可逆的)(Starkey 2017)
では、この現象が起こります。
関連記事)脳MRIでDWI(拡散強調像)で高信号を見たときの鑑別診断は?
血管性浮腫が起こると

血管性浮腫が起こるとこのように、
- 血管透過性が亢進し、
- 細胞間隙は広くなり、
- 拡散上昇を来します。
つまり、ADCは上昇します。PRESではDWIで等〜低信号のことが多い(Provenzale 2001)。
- PRES
- 静脈のうっ滞
では、この現象が起こります。
急性発症の神経症状を有し、脳MRIを撮影し、DWI で高信号、ADC低下 、T2WI で所見なし、ならば、
細胞性浮腫を反映。脳梗塞では非可逆的なことが多いが、けいれんに伴う拡散低下や脳梁膨大部の病変(MERSなど)では可逆的なこともある(Mullins 2004、Starkey 2017)。
例)
- 脳梗塞超急性期
- 脳梁膨大部の可逆性病変
DWI で所見なし、ADC上昇 、T2WI で高信号ならば、
血管性浮腫を反映。可逆的なことがある。
例)
- PRES
- 静脈うっ滞→静脈性浮腫(細胞性浮腫が混じることもある(Mullins 2004))
ADCとは
- apparent diffusion coefficientの略。単位は×10⁻³mm²/s。
- 微小灌流や軸索流などの微視的運動つまり、純粋な拡散以外の因子が含まれるので、「見かけの=apparent」と呼ぶ。
- b値(傾斜磁場の強さ)を最低2つ設定して(多くはb=0と1000)計算される値。
- 2000や3000などの高いb値を用いればT2 shine throughの影響が減少する。b値が低いほどT2の影響を受ける。
- DWIとADCの違い:DWIは拡散のしにくさにT2の影響が加わった画像、ADCは拡散だけを数値にした地図。拡散低下はDWIで白く、ADCで黒く見える。
- 脳梗塞のADCは発症1週間は低く、2週目に正常値に戻り(偽正常化)、その後は上昇する。(Lansberg 2001)。
DWI-FLAIRミスマッチとは
DWIで梗塞が見えるのにFLAIRではまだ見えない状態です。発症12時間以内の543例では、発症4.5時間以内を感度62%・特異度78%で示しました(Thomalla 2011)。
参考文献
- Schaefer PW, Grant PE, Gonzalez RG. Diffusion-weighted MR imaging of the brain. Radiology. 2000;217(2):331-45. PubMed
- Ho ML, Rojas R, Eisenberg RL. Cerebral edema. AJR Am J Roentgenol. 2012;199(3):W258-73. PubMed
- Liang D, Bhatta S, Gerzanich V, et al. Cytotoxic edema: mechanisms of pathological cell swelling. Neurosurg Focus. 2007;22(5):E2. PubMed
- Lansberg MG, Thijs VN, O’Brien MW, et al. Evolution of apparent diffusion coefficient, diffusion-weighted, and T2-weighted signal intensity of acute stroke. AJNR Am J Neuroradiol. 2001;22(4):637-44. PubMed
- Thomalla G, Cheng B, Ebinger M, et al. DWI-FLAIR mismatch for the identification of patients with acute ischaemic stroke within 4·5 h of symptom onset (PRE-FLAIR): a multicentre observational study. Lancet Neurol. 2011;10(11):978-86. PubMed
- Starkey J, Kobayashi N, Numaguchi Y, et al. Cytotoxic Lesions of the Corpus Callosum That Show Restricted Diffusion: Mechanisms, Causes, and Manifestations. Radiographics. 2017;37(2):562-576. PubMed
- Provenzale JM, Petrella JR, Cruz LC Jr, et al. Quantitative assessment of diffusion abnormalities in posterior reversible encephalopathy syndrome. AJNR Am J Neuroradiol. 2001;22(8):1455-61. PubMed
- Mullins ME, Grant PE, Wang B, et al. Parenchymal abnormalities associated with cerebral venous sinus thrombosis: assessment with diffusion-weighted MR imaging. AJNR Am J Neuroradiol. 2004;25(10):1666-75. PubMed
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