慢性膨張型血腫(CEH:chronic expanding hematoma)とは?
- 全身のあらゆる軟部組織に発生する慢性経過で増大する血腫。
- 1ヶ月以上の経過で増大する血腫であり、長期にわたり血腫が増大する機序は不明。
- Labadieらによれば、血塊内の血球などの破壊産物が炎症を惹起→fibroblastic reaction→血塊周囲に被膜、新生血管が出現し、血腫が形成される。
- 次に血塊から析出するplasminogen activatorにより、血腫中心部が空洞化し、炎症によって透過性が亢進した新生血管からの血液が漏出し、形成された血腫が徐々に増大するとされてい る。
- 慢性硬膜下血腫が原因の類似する疾患と考えられている。
- 発生部位は四肢、胸部で比較的多く、頭部、腹腔内、腎臓、陰嚢、卵巣、後腹膜での発生の報告もある。
- 胸腔内CEH:特に日本に多い。胸郭形成術や人工気胸術、片肺全摘などの結核関連の既往があることが多い。胸腔内が陰圧で呼吸性移動、心拍、咳嗽などにより血管が破綻しやすいために増大する。膿胸関連疾患の一つ。もう一つは膿胸関連悪性リンパ腫。→膿胸関連悪性リンパ腫の画像診断
- 治療は被膜を含めた完全摘出術が最良であり、被膜を残した可及的除去やドレナージ術もあるが再発の危険性がある。
慢性膨張型血腫(CEH:chronic expanding hematoma)の画像所見
- 画像所見は、新旧の出血の混在によりCTでは高濃度部を含む不均一な濃度、MRIでは不均一な信号強度となり、辺縁を主体とした増強効果を認める。
- CTでは散在性に石灰化を認め、MRIではT2WI低信号のrim、モザイク状が典型的とされる。
- FDG-PETでは腫瘤辺縁の一部にわずかに集積(SUVmax1.89)
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