ESPRESSO腹部救急画像診断 復習症例28

症例28

【症例】50歳代 女性
【主訴】右季肋部痛
【現病歴】3日前より右季肋部痛あり。本日救急外来受診となる。
【身体所見】BT 37.3℃、P 88bpm、BP 133/84mmHg、SpO2 98%(RA)、腹部:平坦・軟、右季肋部・心窩部に圧痛あり。腹膜刺激症状なし。

【データ】WBC 10100、CRP 0.84、AST/ALT=149/240、ALP 895、LDH 241、γ-GTP 489、T-Bil 4,38、D-Bil 2.83、Amy 831、P-Amy 812、Lip 1223

画像はこちら

胆嚢結石および総胆管結石を認めています。

門脈の一側に低吸収域を認めており、肝内胆管の拡張を示唆する所見です。

次に造影CTを見てみましょう。

わかりやすいので拡張された冠状断像を見てみます。

総胆管結石およびやや拡張した総胆管、総胆管壁の肥厚・造影効果増強を認めています。

これは胆管炎を示唆する所見です。

その目で見ないとこの症例は厳しいかも知れませんが、早期相で肝門部を中心にまだらな造影効果を肝内に認めています。

これは急性肝炎や急性胆管炎で認める所見で、今回の胆管炎にも矛盾しない所見です。

また、肝内胆管の拡張の様子は単純よりもやはり造影CTでわかりやすいですね。

今回膵酵素が上昇していますが、画像上は膵炎を疑う所見ははっきりしません。

ただし臨床的には膵炎もあるのだろうと判断できます。

 

診断:(総胆管結石による)急性胆管炎+胆石性急性膵炎

 

※同日緊急ERCP、ERBDが施行され、抗生剤、タンパク分解酵素阻害薬で加療、8日後に採石が行われました。

その他所見:左腎に造影不良あり。腎盂腎炎を併発している可能性あり。

関連:急性胆管炎のCT画像所見のポイントはコレ!

 

復習症例28の動画解説

お疲れ様でした。

今日は以上です。

今回の気づきや感想などを下のコメント欄にお願いします。


過去のコメント
  1. 追加症例をいつもありがとうございます。
    総胆管下部の結石は嵌頓と考えていいでしょうか。
    動画解説が貼付されていませんでした。よろしくお願いいたします。

    1. アウトプットありがとうございます。

      >総胆管下部の結石は嵌頓と考えていいでしょうか。

      嵌頓と考えてよいです。

      >動画解説が貼付されていませんでした。よろしくお願いいたします。

      すいません、うっかりしていました。
      動画をつけました。よろしくお願いします。