
リトルリーグショルダー(上腕骨近位骨端線離開)とは、投球をくり返す成長期の子どもで、上腕骨の上端にある骨端線(成長板)が傷むストレス損傷です。X線で痛い側の骨端線が反対側より広がっていないかを比べる見方と、MRIで見える骨端線と骨幹端の変化を、研修医のハジメくんと一緒に整理します。
先に結論
- リトルリーグショルダーとは、投球をくり返す成長期の子どもの上腕骨近位骨端線のストレス損傷。報告の多くは11〜15歳前後の男子。
- X線が最初の検査。外側の骨端線の開大と不整を、反対側と同じ条件で撮って比べる。
- MRIは骨端線の局所的な開大と隣の骨幹端の浮腫。症状のない投手にも変化はあるので、症状・診察と合わせて読む。
目的から読む: リトルリーグショルダーとは / 原因 / 症状 / X線(レントゲン)所見 / MRI所見 / 治療・復帰の期間 / 後に残るもの・予防
リトルリーグショルダーとは?上腕骨近位の骨端線が傷む病気
成長期の上腕骨の上端にある骨端線(成長板)が、投球のくり返しで傷むストレス損傷です。日本では「上腕骨近位骨端線離開」とも呼ばれます。

子どもの長い骨の端には、骨が長く伸びるための軟骨の板があります。これが骨端線(成長板・physis)です。骨端線は周りの骨より力に弱く、くり返しの負担がかかると傷みます。上腕骨の上端(近位)の骨端線は、肩の動きを受け止める位置にあります。
骨端線の損傷を形で分けるのがソルター・ハリス分類です。リトルリーグショルダーは1回の大きなけがではなく、くり返しの負担による骨端線のストレス損傷です。分類の考え方はソルター・ハリス(Salter-Harris)分類とは?で解説しています。
リトルリーグショルダーの原因: 投球のどの時期に力がかかるか
投球で腕を最大に外へひねる時期(最大外旋)のねじれの力と、ボールを離す時期の引き離す力が骨端線にくり返しかかることが原因と考えられています(Osbahr 2010)。

投球動作では、腕を最大に外にひねる時期(最大外旋)と、ボールを離す時期に肩に大きな力がかかります。最大外旋の時期に大きなねじれの力、ボールを離す時期に腕を引き離す力が加わり、リトルリーグショルダーの発症には最大外旋の時期の関わりがもっとも大きいと考えられています(Osbahr 2010)。
どんな子どもに多いか
過去10年の報告を集めた系統的レビューでは、主に11〜15歳の骨格が未熟な男子の、頭より上で腕を振るスポーツの選手に報告されています(Lenz 2026)。早い時期から1つのスポーツに絞ること、複数のチームに入ること、休みが足りないことが危険因子として挙げられています。
2020年までの23研究・266人をまとめた系統的レビューでは、加重平均の年齢は12.8歳(7.4〜17歳)でした(Bednar 2021)。野球の投手が中心ですが、骨端線の負担は投球以外でも起こります。体操選手で倒立やあん馬の動作で痛みが出た上腕骨近位骨端線離開も報告されています(Omodani 2024)。

リトルリーグショルダーの症状と診察
投球に関連した肩の痛みと、上腕骨の上端外側(骨端線のあたり)の圧痛が中心です。後方の関節包の硬さや肩甲骨の動きの異常も見られます(Lenz 2026)。
| 症状・診察 | 内容(Lenz 2026) |
|---|---|
| 痛み | 投球に関連した肩の痛み |
| 圧痛 | 上腕骨の上端外側、骨端線のあたりを押すと痛い |
| 肩の硬さ | 後方の関節包が硬い |
| 肩甲骨の動き | 肩甲骨の動きの異常(scapular dyskinesia) |
リトルリーグショルダーのX線(レントゲン)所見: 骨端線の開大を対側と比べる
X線が最初の検査で、痛い側の骨端線の外側の開大とふちの不整を、反対側と比べて見ます(Lenz 2026)。

系統的レビューでは、X線が今も最初に行う画像検査とされ、外側の骨端線の開大と不整が所見として挙げられています(Lenz 2026)。診察とX線で診断がつくことが多いとされます(Osbahr 2010)。
成長期の骨端線の幅や形は、年齢や撮影の角度で変わります。このため、痛い側だけを見て「広い・狭い」を決めるのは難しく、反対側の肩も同じ条件で撮影して比べるのが基本です。左右を並べると、痛い側の骨端線の外側だけが広がっている、ふちがぎざぎざしている、骨端線の近くの骨幹端に骨の吸収がある、といった差が分かりやすくなります。
| X線で見る点 | 見方 |
|---|---|
| 骨端線の幅 | 特に外側の幅が反対側より広いか |
| 骨端線のふち | 不整・ぎざぎざ(骨幹端側のふちの不整) |
| 骨幹端 | 骨端線に接する部分の骨の吸収(Omodani 2024の例) |
| 撮影 | 痛い側と反対側を同じ向き・同じ条件で撮る |

リトルリーグショルダーのMRI所見: 骨端線の開大と骨幹端の浮腫
MRIでは、T1強調像・グラディエントエコー像で骨端線の局所的な開大を、脂肪抑制T2強調像で隣の骨幹端の高信号(浮腫)を見ます(Obembe 2007)。

4人の男子(11〜15歳)の報告では、全員で骨端線の局所的な開大があり、骨端線の信号が骨幹端の側へ伸びていました(Obembe 2007)。この所見はT1強調像とグラディエントエコー像の冠状断・矢状断でよく見え、T2強調像は骨端線の開大を示すのには向きませんでした。T2強調像では、開大した骨端線の隣の骨幹端に高信号が全員に見られました。
| MRIの撮像 | 見える所見(Obembe 2007) |
|---|---|
| T1強調像・グラディエントエコー像(冠状断・矢状断) | 骨端線の局所的な開大。骨端線の信号が骨幹端に伸び込む |
| T2強調像(脂肪抑制) | 骨端線の開大は分かりにくいが、隣の骨幹端の高信号(浮腫)が見える |
MRIでは、関節唇や腱板など骨端線以外の投球障害も同時に見ることができます。投球で起こる肩の障害の全体像は投球障害肩の分類と画像診断にまとめています。
実際の画像: 体操選手の上腕骨近位骨端線離開

引用:Omodani T, et al. Extracorporeal Shock Wave Therapy and the Handstand-Position Radiography for Proximal Humeral Epiphysiolysis in Elite Gymnasts. Cureus. 2024 (Figure 1)。PMC11179844(CC BY 4.0)
倒立やあん馬の動作で3か月左肩が痛んだ13歳男子の体操選手です(Omodani 2024 Figure 1)。Aは健側のX線、BとCはX線とCTで、上腕骨近位骨端線の遠位側に骨の吸収が見られます(矢印)。Dの脂肪抑制T2強調像では骨端を中心とした高信号が見られます。FとGは治療開始後2か月・7か月のX線で、骨の修復が進んでいます。
症状のない投手のMRIでも変化がある
X線やMRIで見える変化が、すべて痛みの原因とは限りません。症状のない10〜12歳のリトルリーグの選手23人の両肩をMRIで調べた研究では、12人(52%)の投球側に、反対側にはない所見がありました(Pennock 2018)。投球側は反対側に比べ、MRIで異常が見つかる可能性が8.5倍でした。
1年じゅう野球をしていることと、野球だけをしていることの2つが異常所見と関係し、危険因子が0・1・2つの選手で異常の見られる割合は25%、71%、100%でした(Pennock 2018)。画像所見は、症状と診察と合わせて判断します。

リトルリーグショルダーの治療と復帰までの期間
治療の中心は投球を休むことで、投球の中止2〜4か月のあとリハビリと段階的な投球再開を行う方法がまとめられています(Lenz 2026)。
発症したときは、3か月の休止のあと段階的な投球プログラムで復帰する保存的治療が多くの場合うまくいくとされます(Osbahr 2010)。過去10年の系統的レビューでは、投球の中止2〜4か月のあとリハビリと段階的な投球再開を行い、短期の成績は良好で、成長障害の頻度は低いとまとめています(Lenz 2026)。
2020年までの系統的レビューでは、何らかのスポーツに戻った割合が94.0%(167人中157人)、元のレベルに戻った割合が92.5%(133人中123人)でした(Bednar 2021)。一方で、復帰後に症状が再発した割合は18.7%(187人中35人)で、骨端線が早く閉じた例が1人報告されています。治療の推奨は、長い休止と投球の全面的な中止から、短めの休止と段階的な復帰へと変わってきました(Bednar 2021)。
| 報告 | 経過の数字 |
|---|---|
| Bednar 2021(23研究・266人) | スポーツ復帰94.0%、元のレベルへの復帰92.5%、再発18.7%、骨端線の早期閉鎖1人 |
| Lenz 2026(過去10年の系統的レビュー) | 投球中止2〜4か月のあと段階的に再開。短期の成績は良好で、成長障害は少ない |
| Omodani 2024(体操選手2例) | 15歳の例で骨端線内側の早期閉鎖と上腕骨の短縮 |

リトルリーグショルダーの後に残るもの(上腕骨の後捻)と予防
リトルリーグショルダーになった選手では、高校生になったときの利き腕の上腕骨のねじれ(後捻角)が大きく、肩や肘の痛みも多かったと報告されています(Ito 2019)。
投球をくり返す選手では、利き腕の上腕骨のねじれ(後捻角)が大きくなります。小中学生のときにリトルリーグショルダーになった高校野球選手10人と、けがのなかった22人を比べた研究があります(Ito 2019)。利き腕の後捻角は、リトルリーグショルダーの群で104°±8°、けがのない群で91°±13°で、リトルリーグショルダーの群が大きくなっていました。肩の痛みは80%と9%、肘の痛みは70%と32%で、リトルリーグショルダーの群に多くみられました。

投球の負担は肘にも及びます。成長期の肘の投球障害(内側型・外側型・後方型)については野球肘の分類とMRI画像診断で解説しています。
予防
予防として、投球数の制限、休養、正しい投球フォーム、1つのスポーツへの絞り込みを遅らせることが挙げられています(Lenz 2026)。痛みの既往、投球フォームのばらつき、肩の内旋の制限(GIRD)、投球のガイドラインを守っているかも、予防で注目される点です(Osbahr 2010)。
よくある勘違い
Q. 上腕骨頭の下に横に走る線があれば、骨折?
成長期なら、その線は正常の骨端線です。見るのは線があるかではなく、外側の幅が広がっていないか、ふちが不整でないかを反対側と比べることです。
Q. 痛い側の肩だけ撮れば十分?
骨端線の幅や形は年齢や撮る角度で変わるので、痛い側だけでは開大を決めにくくなります。反対側も同じ向き・同じ条件で撮って比べます。
Q. MRIで投球側の骨端線に浮腫があれば、リトルリーグショルダーと決めてよい?
症状のない10〜12歳の選手でも、投球側に骨端線の浮腫や開大が見つかった報告があります(Pennock 2018)。投球に関連した痛み・圧痛と合わせて判断します。
今日のまとめ
- 成長期の投球側の肩の痛みでは、上腕骨近位の骨端線を思い浮かべる。線があること自体は正常。
- X線は左右を同じ条件で撮り、骨端線の外側の幅→ふち→骨幹端の順に比べる。
- MRIはT1強調像・グラディエントエコー像で幅、脂肪抑制T2強調像で骨幹端の浮腫。治療は投球の休止のあと段階的に復帰する。
要点の表
| 項目 | ポイント |
|---|---|
| 誰に起こるか | 骨端線が閉じる前の、投球をくり返す子ども。報告の多くは11〜15歳前後の男子(Lenz 2026、Osbahr 2010) |
| X線 | 最初の検査。外側の骨端線の開大と不整。痛い側と反対側を同じ条件で撮って比べる(Lenz 2026) |
| MRI | 骨端線の局所的な開大(T1強調像・グラディエントエコー像)と、隣の骨幹端のT2高信号(Obembe 2007) |
| 経過 | 投球の中止と段階的な復帰で、元の競技レベルに戻った割合は92.5%。症状の再発は18.7%(Bednar 2021) |
根拠(もう少し詳しく)
- 症状のない投手のMRI(Pennock 2018):10〜12歳の23人で、投球側に反対側にはない所見が17ありました。内訳は骨端線の浮腫や開大5、関節唇の断裂4、腱板の部分断裂4、肩鎖関節の異常2、肩峰下滑液包炎1、大結節の嚢胞性変化1でした。
- 上腕骨の後捻(Ito 2019):リトルリーグショルダーの群は小中学生(平均12.6歳、11〜15歳)で発症し、高校生(平均16.6歳)で調べています。非利き腕の後捻角はリトルリーグショルダーの群で84°±12°、けがのない群で81°±10°でした。
- まだ分かっていないこと(Lenz 2026):診断の基準や画像の使い方が報告ごとに違うため、どのくらいの頻度で起こるかは分かっていません。再発や長期の後遺症は研究によって結果が一致せず、決まった形のリハビリが休止だけより良いかについても根拠が分かれています。
- 復帰の基準(Bednar 2021):23研究のうち、スポーツ復帰の具体的な基準を示していたのは11研究でした。
参考文献
- Lenz A, Johnson L, Riederer M, et al. Little league shoulder revisited: a systematic review of the last decade. Br Med Bull. 2026;160(1). PubMed
- Bednar ED, Kay J, Memon M, et al. Diagnosis and Management of Little League Shoulder: A Systematic Review. Orthop J Sports Med. 2021;9(7):23259671211017563. PubMed
- Osbahr DC, Kim HJ, Dugas JR. Little league shoulder. Curr Opin Pediatr. 2010;22(1):35-40. PubMed
- Obembe OO, Gaskin CM, Taffoni MJ, et al. Little Leaguer’s shoulder (proximal humeral epiphysiolysis): MRI findings in four boys. Pediatr Radiol. 2007;37(9):885-9. PubMed
- Pennock AT, Dwek J, Levy E, et al. Shoulder MRI Abnormalities in Asymptomatic Little League Baseball Players. Orthop J Sports Med. 2018;6(2):2325967118756825. PubMed
- Ito A, Mihata T, Hosokawa Y, et al. Humeral Retroversion and Injury Risk After Proximal Humeral Epiphysiolysis (Little Leaguer’s Shoulder). Am J Sports Med. 2019;47(13):3100-3106. PubMed
- Omodani T, Takahashi N, Takahashi K. Extracorporeal Shock Wave Therapy and the Handstand-Position Radiography for Proximal Humeral Epiphysiolysis in Elite Gymnasts: A Report of Two Cases. Cureus. 2024;16(5):e60394. PubMed
症例画像は各図の引用元のとおりです。
画像診断を無料で学べるコンテンツ

腹部画像診断を症例で学ぶ
4日に1回、朝6時に症例が届き、実際に画像をスクロールして読影する講座です。90症例以上・1年以上続く講座で、医師・医学生・放射線技師・看護師など10,000名以上が参加中です。
講座に参加する(無料) →
