円形肺炎とは 小児に多い理由と肺がんとの区別

胸のX線で「丸い影があります。円形肺炎かもしれません」と言われました。丸い影というと肺がんが心配です。子どもに多いと聞いたのですが、大人でもありますか?どうやって区別するのですか?
円形肺炎は、肺炎が丸く固まって写る病気です。子どもに多いのですが、大人にもあります。丸い影は肺がんとの区別が問題になるので、発熱や咳などの経過、以前のX線との比較、抗菌薬で治療したあとの再検査が手がかりになります。X線やCTの見え方と、考え方の筋道を整理します。

先に結論:円形肺炎は「丸く見える肺炎」で、症状と経過が決め手になる。成人の丸い影は肺がんの頻度のほうがずっと高いので、抗菌薬のあとに影が小さくならなければ、気管支鏡や生検などの検査に進む

項目 ポイント
どんな病気か 円形〜楕円形の浸潤影を示す肺炎。X線で「コイン病変」に見え、肺がんと紛らわしいことがある
小児に多い理由 肺胞どうしをつなぐ小さな通り道(Kohn孔)などの発達が未熟で、炎症が広がりにくく、丸く外へ向かって広がるため
起炎菌 肺炎球菌が最も多い。クレブシエラ、インフルエンザ菌、Q熱(Coxiella)、結核などでも丸く見えることがある
成人で見たとき 以前のX線が正常だったか、発熱・咳があったかを確認。症状のある人や若い人では、抗菌薬の後に2〜3週で再撮影する方法がある
縮小しないとき 抗菌薬のあとも影が小さくならなければ、気管支鏡・経皮的針生検などで別の病気を調べる

円形肺炎とは

円形肺炎(round pneumonia、球状肺炎)は、肺炎の炎症が丸い塊のように見える状態です。胸部X線で、肺の中に丸い、あるいは楕円形の濃い影として写ります。肺がんなどの腫瘤(しゅりゅう)と見た目が似るため、X線写真上で「コイン病変」と呼ばれる丸い影の原因のひとつとして知られています。成人では、肺がんとの区別が難しいことがあると報告されています(Wagner 1998)。

円形肺炎は、病名というより「肺炎の見え方のひとつ」です。肺炎自体は抗菌薬でよくなる病気なので、正しく見分けられれば、不要な検査や手術を避けられる可能性があります。一方で、丸い影が見えたからといって、すべてを円形肺炎と決めつけるのも危険です。この記事では、小児と成人で何が違うのか、何と区別するのか、どう経過を追うのかを順に整理します。

肺炎一般のCT所見(小葉中心性結節やtree-in-budなど)は肺炎のCT画像診断のポイントで、マイコプラズマなど非定型肺炎の画像は非定型肺炎とは?細菌性肺炎との違いとCT画像所見で説明しています。

なぜ小児に多いのか:側副換気路が未発達だから

肺胞(ガスを交換する小さな袋)どうしや、細い気管支と肺胞のあいだには、小さな交通路があります。肺胞どうしをつなぐ穴をKohn孔(コーン孔)、終末細気管支と肺胞をつなぐ通路をLambert管と呼び、あわせて側副換気路の働きをします。この通路は、空気だけでなく、炎症で出た液体や細菌も通します。

側副換気路が発達していると、炎症は隣の肺胞へ次々に広がり、葉や区域の全体に及びます。ところが小さな子どもでは、肺胞が小さく、Kohn孔やLambert管が未発達です。そのため炎症が隣へ広がりにくく、中心から外へ向かってゆっくり広がり、輪郭のはっきりした丸い浸潤影になる、と説明されています(Restrepo 2010)。

この考え方は、年齢による画像の違いも説明します。Restrepo 2010には、16歳の女児の例が示され、年長の子どもでは側副換気の仕組みが成熟するため、影の輪郭が不鮮明になることが述べられています。実際、小児の円形肺炎の109例を調べた報告では、平均年齢は5歳でした(範囲は4か月〜19歳、Kim 2007)。

項目 小児 成人
頻度 平均5歳で多い(Kim 2007) まれ。肺がんなど他の病気の頻度のほうがずっと高い(Wagner 1998)
丸く見える理由 側副換気路が未発達で、炎症が外へ向かって広がる(Restrepo 2010) 成人で丸くなる仕組みを直接調べた文献は確認できなかったため、ここでは断定しません
丸い影を見たときの考え方 典型的な症状と画像なら、円形肺炎の可能性が高い(Restrepo 2010) 症状・以前の画像・再検査の結果をあわせて、肺がんなどを除く(Wagner 1998)
経過のみかた 多くは経過で小さくなる(Kim 2007) 小さくならなければ追加の検査を検討(Wagner 1998)

主な起炎菌

円形肺炎の原因として最も多いのは肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)とされています(Restrepo 2010)。そのほか、クレブシエラ(Klebsiella pneumoniae)やインフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)は、まれな原因です。年長の小児や免疫が低下している人では、真菌や結核菌など、典型的でない病原体が見つかることもあります(Restrepo 2010)。

Q熱(Coxiella burnetii)による肺炎では、胸部X線で丸い影が多発することが多いとされます(Marrie 2003)。動物との接触歴など、診察で聞き取る情報が手がかりになります。

X線・CTでの見え方

小児の円形肺炎109例を調べた研究(Kim 2007)では、次の特徴が示されています。

項目 結果(Kim 2007、109例)
病変の数 1個だけ:98%(107/109)
境界 境界明瞭:70%(77/109)
位置 背側(後方):83%(91/109)
肺葉 左下葉36、右下葉33、右上葉28、左上葉7、右中葉4、舌区2
経過 経過観察できた43例のうち、縮小・消失が95%(41/43)、葉全体の肺炎に進んだのは4.6%(2/43)
のちに別の病気と判明 円形肺炎が疑われた112例中3例(2.6%)。内訳は、肺炎に伴う空洞形成を伴う壊死が2例、胸膜の偽嚢胞が1例

画像の見え方をまとめると、背側の下葉に好発し、ひとつの丸い浸潤影として見えることが多い、という傾向です。小児の典型例では、石灰化、空洞、リンパ節腫大、胸水を伴わないことが多いと説明されています(Restrepo 2010)。胸部X線で診断がつくことが多く、CTは、合併症が疑われるときや免疫が低下しているときなど、特別な場面に使うとされています(Restrepo 2010)。

CTでは、円形の浸潤影として見えます。ただし、図でも示すように、CTの形だけで円形肺炎と肺がんを分けるのは難しいことがあり、症状や経過と合わせて判断します。

成人で円形肺炎を見たときの注意

成人の円形肺炎は、小児よりずっとまれですが、報告があります。「円形肺炎かもしれない」と早めに考えることで、不要な検査を避けられる可能性があります。

Wagner(1998)の総説は、成人の丸い影について、次の点をあげています。

  • 円形肺炎は抗菌薬で治療でき、診断を考えること自体が大切。ただし肺がんのほうがずっと頻度は高い。
  • 以前のX線が正常だったことや、咳・発熱の既往は診断の助けになる。
  • 症状のある人や若い人では、抗菌薬を使ったあと、2〜3週後にX線を撮り直す方法がある。孤立性の肺結節の人では、全員でこの方法を考える。円形肺炎は年齢を問わず起こり、症状がないこともあるため。
  • 抗菌薬のあとも結節が小さくならない、または消えないときは、気管支鏡、経皮的針生検などのさらなる検査を行う。

つまり、成人では「円形肺炎かもしれない」と考えたうえで、経過で確かめることが大切です。症状が軽くても、影が残るなら追加の検査へ進みます。

症例 20歳代男性 円形肺炎(胸部X線)

円形肺炎 右上肺野の胸部X線
引用:Su KJ, et al. Indian J Med Res 2015(Fig. 1)(CC BY-NC-SA 3.0)

図:3日前からの右前胸部の痛みで外来を受診した25歳の非喫煙男性。後前方向の胸部X線で、右上肺野に濃い影(矢印)があります。

症例 20歳代男性 円形肺炎(単純CT)

円形肺炎 右上葉の25mm結節の単純CT
引用:Su KJ, et al. Indian J Med Res 2015(Fig. 2)(CC BY-NC-SA 3.0)

図:同じ症例の単純CTで、右上葉に25mmの結節(矢印)が見られます。リンパ節腫大はありませんでした。円形肺炎と診断され、アモキシシリン・クラブラン酸による治療が7日間行われました。喀痰培養からは肺炎球菌が検出されました(Su 2015)。

症例 20歳代男性 円形肺炎(14日後の胸部X線)

円形肺炎 14日後の胸部X線で右上葉の浸潤影が縮小
引用:Su KJ, et al. Indian J Med Res 2015(Fig. 4)(CC BY-NC-SA 3.0)

図:14日後の胸部X線では、右上葉の浸潤影が小さくなっています(矢印)。5日後のX線では右上葉に浸潤影が見られており、この症例の診断は円形肺炎でした(Su 2015)。

このように、画像だけでは丸い影の正体が決まらなくても、症状・培養・抗菌薬後の画像の変化をあわせることで診断が固まります。

肺がん・腫瘤との区別

丸い影を見たときの区別の手がかりを表にまとめます。表の内容は、成人を扱った総説と症例報告(Wagner 1998、Camargo 2008、Su 2015)、小児の画像の特徴(Restrepo 2010)に基づきます。

手がかり 円形肺炎を考えやすい 追加の検査を考える
症状 発熱、咳、胸痛など急性の症状がある(症状がないこともある) 症状が乏しい(ただし、症状がなくても円形肺炎のことはある)
以前のX線 最近の胸部X線が正常だった(Wagner 1998) 過去の画像と比べて、以前からあった影かどうかを確認する
起炎菌の検査 喀痰培養などで起炎菌が見つかる(Su 2015) 起炎菌も炎症の所見も確認できないときは、経過で判断する
抗菌薬後の経過 数日〜数週で小さくなる、または消える 小さくならない、あるいは大きくなる
小児での形 背側の下葉に好発し、単発で境界が明瞭(Kim 2007) 石灰化、空洞、リンパ節腫大、胸水を伴う。典型的な円形肺炎では伴わないとされる(Restrepo 2010)

症状が乏しい成人でも、経過で肺炎だったとわかる例が報告されています。Camargo(2008)は、喫煙歴のある54歳女性に、症状のないまま健診の画像検査で右肺の腫瘤が見つかった例を報告しています。診察は正常で、精査と病期診断のために入院した3週間後には、X線で影が消失していました。この論文は、成人の円形肺炎はまれで、これまでに31例の報告しかなく、うち無症状だったのは1例だけだったと述べています。診断に迷って試験開胸が行われた例や、死亡例も報告されています(Camargo 2008)。

さらに、免疫が低下している人では、円形肺炎が急速に悪化し、敗血症性ショックや呼吸不全に進んだ例が報告されています(Soubani 1996)。「円形肺炎は軽い病気」と決めつけず、全身状態が悪い人や基礎疾患のある人では、より慎重な対応が必要です。

引用元の図 肺がんと円形肺炎のCT

胸膜に接する悪性腫瘤と円形肺炎のCT
引用:Genç H, et al. Medicine (Baltimore) 2025(Figure 1)(CC BY-NC 4.0)

図:(A)右肺の胸膜に接する悪性腫瘤(太い矢印)。(B)左肺の、胸膜に広く接して腫瘤のように見える円形肺炎の病変(細い矢印)。どちらも丸い病変ですが、画像の形だけでは区別が難しいことがあります。

円形肺炎と肺がんを、CT画像から機械学習で区別しようとする研究もあります。円形肺炎24例と、組織で確かめた原発性肺癌24例のCTから107個の画像特徴量を取り出して解析した報告では、最良のモデルで、5つの特徴量を使った場合の感度が0.958、特異度が1.000、正確度が0.979でした(Genç 2025)。ただし、これは少数例の後ろ向き研究で、日常診療で使える段階にはありません。現時点では、あくまで研究段階の技術として知っておけば十分です。

小児で円形肺炎に似た病気

小児では、典型的な症状と画像がそろえば円形肺炎の可能性が高いのですが、似た見え方をする病気もあります。Restrepo 2010は、次のような病気を図示しています。年齢や症状が典型的でないとき、あるいは経過が合わないときは、これらを考えて追加の検査を行います。

似た病気 特徴(Restrepo 2010の症例より)
肺膿瘍 発熱と咳のある幼児で、大きな丸い影に液面(air-fluid level)があり、造影CTで壁が造影された
アスペルギローマ 白血病の乳児で、丸い影が数日後に空洞になり、内部に真菌球が見えた
結核 無症状の乳児で、上葉の丸い影として写り、結核の治療後に瘢痕が残った
肺分画症、先天性肺気道奇形(CPAM) 年長児で、慢性の咳や繰り返す感染がある場合。造影CTで、分画症では大動脈から出る動脈が、CPAMでは空気を含む嚢胞状の腔が確認された
リンパ腫、神経芽腫、胸壁腫瘍 思春期の頸部リンパ節腫大や、乳児の呼吸困難、胸壁の痛みと肋骨の変化など、肺炎らしくない症状や画像を伴う
横隔膜弛緩症 発熱と咳のある幼児で、6週後も影が変わらず、CTで横隔膜の挙上が確認された

このうち、円形肺炎と診断されたのち、あとから別の病気と判明した割合は、Kim 2007の109例の研究では約2.6%でした。まれではありますが、「治療に反応しない」「年齢や症状が合わない」ときに見直すことが大切です。

経過観察とフォローの考え方

円形肺炎は、適切な抗菌薬で良くなることが多いとされています。経過を追う意義は、「肺炎が治ったこと」と「腫瘤ではなかったこと」を確かめる点にあります。

  • 小児:典型的な症状と画像なら、円形肺炎として治療します。多くは経過で縮小します(Kim 2007)。経過中に画像検査を追加するかどうかは、症状の改善や、年齢・基礎疾患の有無で担当医が判断します。
  • 成人:症状のある人や若い人では、抗菌薬のあと、2〜3週間後にX線を撮り直す方法があります(Wagner 1998)。症例報告では、7日間の治療後、14日目には影が縮小した例(Su 2015)や、3週間後に消失した例(Camargo 2008)があります。ただし、これらは個々の症例の経過であり、一般の目安として決まった期間があるわけではありません。
  • 小さくならない・大きくなる:気管支鏡、経皮的針生検などの追加の検査を行い、肺がんなどの鑑別を進めます(Wagner 1998)。

経過観察の間隔や追加検査の種類は、年齢・喫煙歴・基礎疾患・症状によって変わります。この記事は一般的な考え方を紹介するものです。実際の方針は、担当の医師と相談して決めてください。

よくある疑問(Q&A)

Q. 症状がなくても円形肺炎のことはありますか?
A. あります。Wagner(1998)は、円形肺炎は症状が出ないこともあると述べています。Camargo(2008)が集めた成人31例のうち、まったく症状がなかったのは1例だけで、多くの人は何らかの症状がありました。症状がなくても、画像の影が丸いからといって、すぐに肺がんと決めつけず、経過を追って判断します。

Q. 大人でも円形肺炎になりますか?
A. まれですが、成人の報告があります(Wagner 1998、Camargo 2008)。ただし、成人の丸い影では肺がんの頻度のほうが高いため、症状・経過・再検査を組み合わせて、慎重に判断します。

Q. 抗菌薬を飲んだのに影が残っています。肺がんでしょうか?
A. 抗菌薬のあとも結節が小さくならない、あるいは消えないときは、別の病気を調べるために、気管支鏡や針生検などを検討すると考えられています(Wagner 1998)。ただし、影が残ることと肺がんであることは同じではありません。炎症の跡が残ることもあるため、担当医に相談してください。

Q. 子どもの円形肺炎で、CTは必要ですか?
A. 典型的な症状と画像であれば、胸部X線で診断され、CTは、合併症が疑われるときや免疫が低下しているときなどに限って使われます(Restrepo 2010)。必要かどうかは、お子さんの状態を見て担当医が判断します。気になる症状があれば、医療機関に相談してください。

あわせて読みたい:肺炎のCT画像診断のポイント|小葉中心性結節・tree-in-bud・区域性浸潤影

参考文献

  1. Kim YW, Donnelly LF. Round pneumonia: imaging findings in a large series of children. Pediatr Radiol. 2007;37(12):1235-40. PubMed
  2. Restrepo R, Palani R, Matapathi UM, et al. Imaging of round pneumonia and mimics in children. Pediatr Radiol. 2010;40(12):1931-40. PubMed
  3. Wagner AL, Szabunio M, Hazlett KS, et al. Radiologic manifestations of round pneumonia in adults. AJR Am J Roentgenol. 1998;170(3):723-6. PubMed
  4. Camargo JJ, Camargo SM, Machuca TN, et al. Round pneumonia: a rare condition mimicking bronchogenic carcinoma. Case report and review of the literature. Sao Paulo Med J. 2008;126(4):236-8. PubMed
  5. Soubani AO, Epstein SK. Life-threatening “round pneumonia”. Am J Emerg Med. 1996;14(2):189-91. PubMed
  6. Su KJ, Lin JC. Round pneumonia. Indian J Med Res. 2015;142(4):495-6. PubMed
  7. Genç H, Yildirim M. Machine-learning model for differentiating round pneumonia and primary lung cancer using CT-based radiomic analysis. Medicine (Baltimore). 2025;104(37):e44408. PubMed
  8. Marrie TJ. Coxiella burnetii pneumonia. Eur Respir J. 2003;21(4):713-9. PubMed

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